EVERESTINGとは?
STRAVAという走行を記録するアプリで、コース上にある一つの区切り(セグメント)を上り下りして獲得標高をEVERESTと同じ8,848m上ろうというチャレンジがEVERESTINGです。
いくつかルールがありまして、大きなものだと
・一つのセグメントでのカウントとすること
・必ず毎回頂上まで到達すること
・休憩はしても良いが睡眠は不可
などがあります。
細かいルールなどは以下の公式サイトに↓
達成して記録を申請し、認定されると公式サイトに登録されて表彰?されます。
知ってはいたもののそれほど興味はなかったのですが、昨年友人が挑戦をするのを応援に行ったのがきっかけで自分も挑戦する事になりました。
様々なカテゴリがあるのですが、どうせならやった事がない事をやろうという話になってBROMPTONで達成したって聞いた事がないよねという話になりまして。。。
調べてみたら世界では何人か達成者がいるが日本にはいなそうな事、世界でも10kと呼ばれる獲得標高10,000mのBROMPTONでの達成者はいなそうな事がわかりました。
これが昨年10月の事。
そこから準備してまずBROMPTONでハーフ(公式ではベースキャンプという呼び名)となる獲得標高4,424mをクリア。
昨年末にはロードバイクでEVERESTINGに挑戦して達成、練習を重ねました。
EVERESTINGから10kは獲得標高では1,152mの差しかありませんが、疲労を重ねてから更に上るのは中々きついものがあります。
1/30時点で日本での8,848mの達成者は337人いますが10kは42人しかいない事からもそのきつさがわかります。
肉体的にも疲れますが、同じ道の上り下りになりますので精神的疲労がたまってきます。
特にEVERESTINGを達成した時点で一回緊張の糸が切れるとそこから更に頑張るというのがきつくなるのが練習でわかりました。
今回は最初から10kを目指す、8,848mはあくまで通過点というスタンスで臨みました。
使用車体
英国で製造される折り畳み自転車、BROMPTON。
とにかくコンパクトに折り畳めて丈夫、展開した時には良く走るという事で世界中で人気です。
16インチの折り畳み自転車としては良く走ってくれるBROMPTONですが、堅牢なクロモリフレームは重量があって上りでは不利になります。
今回はフロントフォークやリアフレームをチタンにし、ホイールをカーボンにする事で車体重量8.4kgまで軽量化しました。
古いモデルを工夫してカスタムしましたが、新モデルのP-LINEは販売状態で9.65kgとかなり軽くなっているのでほぼそのままで走れそうです、新型良いですね。
今回は自分の脚力に合わせてかなりギアを軽めに設定。
フロントは38Tの楕円で、リアは12-17-19Tの3段、登りではほぼ19T固定で走っていました。
スピードは出ませんが、とにかく疲れても走り切れる構成にしましたが結果的に正解だったと思います。
コース
使用コースはSTRAVAのセグメントがあればどこでも良いのですが、今回は稲城市にあるよみうりV通りを選びました。
前回ロードバイクでEVERESTING達成した時にも使ったコースで慣れているのも理由の一つ。
東京近辺ですとこのコースで多くの達成者がいるのですが
・ある程度斜度があって(約8%)走行距離がそこまで伸びなくても獲得標高が稼げる
・斜度が一定のため、走りやすく変速にそれほど気を使わなくても良いので精神的に楽
・歩道が完全に分離していて横道がほぼないため、歩行者に気を使わなくても良い
・照明が明るく夜間走行がしやすい
・往復の起点、終点に信号がなく折り返しのロスがほとんどない
・駅が近くにあり輪行でも利用しやすい、またコインパーキングが近いので自動車での利用も可能
・下りも急ブレーキをしなくても安心して走る事が出来る
・コンビニが近くにあり、自販機もコース脇にあるので補給やトイレの利用がしやすい
など多くの利点があって良く使われるコースになっているのでしょう。
実際上記の利点に助けられる事が多く、これから挑戦される方は別の場所でも同じような利点を軸に考えるとコース選びがしやすいかと思われます。
さて、ここからは実際に挑戦した時のお話です。
挑戦途中に睡眠を取る事が出来ないため、スタート当日は昼過ぎまでゆっくり休んでから出発。
私は自動車を持っていないため、輪行で現地近くまで移動しました。
リュックサックをスタート地点近くに置いてスタート。
着替え途中でスタッフサックが外に出ていますが、実際は20Lリュック一つに収めています。
気温差が激しいと雨が降らなくても結露するのでウェアや食料、その他用品と必要に応じて分けてビニール袋やスタッフサックに分けて収納しています。
色々用事もあってすっかり暗くなってからのスタートとなってしまいました。
後半になると疲れもたまりますし夜間寒くなるとペースが落ちますので、もう少し早めのスタートをお勧めします。
ボトルは補給用に温かいコーヒーを入れたサーモスの保温ボトル。
走行中は自転車用のウォーターボトルを使いましたが、気分転換や眠気覚ましのカフェイン補給を兼ねて保温ボトルを用意したのは正解でした。
適宜自販機で缶コーヒーを足しながら休憩時にリフレッシュ出来て良かったです。
満月に近く、月や星が綺麗でテンションが上がりました。
照明はあるので明るさ自体には問題ないですが、やはり暗闇よりは気分的に走りやすかったです。
道路状況で1本8~9分ぐらいのラップタイム。
急激なダウンを避けるため、とにかく最初からゆっくりと一定ペースで走る事を心掛けました。
時々ラップボタンを押し忘れていますが、最後までほぼ同様のラップタイムで走れたので、今回のペースメイクは成功だったと言って良いでしょう。
成功の要因としては、想定のラップタイムに余裕を持って設定した事。
ギリギリ頑張れる設定にしてしまうと、何かトラブルがあったりすると体力的にも精神的にもダメージを受けてリカバリーが難しくなります。
遅れた分を取り戻そうと頑張ると、ペースが乱れて余計に消耗してしまいます。
EVERESTINGの挑戦には特に精神的な余裕が肝心だと思います。
実際、今回は半分ぐらいから変速の不調で一番軽いギアしか使えなくなってしまって平坦での速度は稼げなくなってしまいました。
それでも走り切れる余裕を持った想定にしていたので、特段慌てる事もなく一定ペースを刻む事が出来ました。
補給
精神的、体力的に余裕を持つために必要なのが補給。
小休憩の時はスポーツドリンクやエナジーゼリー、喉飴などで補給していましたが、カロリー的には足りているはずなのですが何故か身体に力が入らなくなる時がありました。
細かく見ていなかったのですが、時間帯によっては氷点下になっていました。
ボトルに入れているドリンクが凍ったので気付いたのですが、低い気温で走っていて体力を消耗したようです。
そんな時は大休止してコンビニで温かい食べ物を補給しました。
しっかり休憩と補給がロングライドでバテない、気持ちと体力を切らさないために必要と改めて認識しました。
メーター読みで9,458kcal消費ですとどれだけ補給してもし過ぎる事はないですね。
あまりに疲れると食べて消化、吸収するエネルギーもなくなってきますので、そうなる前にしっかり補給する事が大事です。
疲れたけれどコンビニまで買いに行く時間を節約したい時は、コース脇の自販機で缶飲料を補給していました。
塩分や糖分補給、温かさの摂取に最適です。
そんなこんなで二日目の夕方に5,000mを突破。
基本的に同じコースの往復で一人で走っていたので走行中の写真はありません。
時折休憩時にSNSで途中経過をつぶやきながら、走る、休む、食べる、充電をサイクルしながら走り続けました。
二日目の夕焼け、雨が降らず天気がもってくれたのは僥倖でした。
景色を楽しむ余裕があったので、この頃はまだ元気でした。
二日目の夜は、寒さと眠さでペースが上がらず淡々と。
疲れてきて写真を撮る元気もなくなってきました。
日が暮れてしばらくしてライトの電池が切れたので2本目に交換、モバイルバッテリーを持ってきていてGARMINの充電などもしていましたが、ライト本体もトラブルに備えて予備は持っていた方が良いと思います。
3日目午後にEVERESTINGは達成。
計画通り、ここは通過点と決めていたので気合を入れなおして残りを走りました。
ここで、SNSを通じて挑戦を知った方が応援に来てくれました。
それまで面識がなくても、自転車を通じて広がる輪というのは嬉しいものです。
午後五時三十九分、無事達成しました!
流石に疲労困憊だったので、そのまま最寄り駅まで走ってから輪行で帰宅しました。
ただ、前回ロードバイクでEVERESTINGを達成した時よりは身体への負担は少なく感じ、ブロンプトンの良さを改めて実感しました。
回復してから記録を申請する時に、BROMPTONでの達成者がいるか質問してみたところ
EVERESTINGの達成者は何人かいるが、10kの達成者は多分初めてと返信がありました。
ということで、ある意味世界初?の坂バカ挑戦記でした。
決して速くなくても、取り組み次第で達成出来るのがEVERESTINGの面白いところだと思います。
ヒルクライムは自分への挑戦なので、シンプルなのも良いです。
EVERESTINGには様々なカテゴリがありますし、何台か所有しているバイクもあるのでまた機会を作ってそれぞれに挑戦してみたいと思います。
冬のライドに使用したウェアについては、また別記事で紹介させて頂きます。
坂バカ、楽しいですよ♪