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【定休日のTech便り】異音のお話し

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川崎店】小林 彰規 22年02月22日

ワイズロード川崎店Techコーナーです。
本日のTech便りは色々な意味で非常にデリケートなテーマで、お客様からのお問い合わせが多い、「異音」のお話しをしたいと思います。

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色々な意味で非常にデリケートと言うのは、
・そもそも異音か異音じゃないか
・異音がしている原因を特定する事が出来るか
・そして異音自体を解消する事が出来るか
等々、診断から修理まで、考えられる可能性を一つ一つしらみ潰しにして行く必要のある、修理の中でも手間も時間もそれに比例して工賃もかかる作業だからです。
今回はそんな「異音」について順を追って出来るだけわかりやすくご説明して行きたいと思います。
長いですがよく読んでいただければ異音についてかなりご理解して頂けるでしょう。

 

「異音」とはいったい何?

「異音」とは、
「異常な音」「通常とは異なる音」です。

スポーツサイクルと言えど走行していれば必ず何らかの音は出ています。
ただ音自体がママチャリなどに比べ小さめなので、走行時の風を切る音にかき消されているだけです。
ここで言う「異音」とは、言うなれば通常の走行音や動作音では無い、主に部品のダメージや経年劣化、ネジ類の緩みなどの原因により発生する音を指します
では、その音が異音か異音ではないか、異音の正体は何かをどうやって判別するのか。
その判別方法も、可能性のある所を一つ一つしらみ潰しにして行く形となります。

 

可能性A:そもそも異音では無かった

え?と思われるかもしれませんがこれが意外にも多いこと。
つまり「安全上問題の無い通常の作動音」がある時たまたま耳に入っただけという場合です。

ただの走行音だったり構造的な作動音がしているのが、
ただ気になってしまったというパターンです。

その場合でも、店舗で車体に何らか手を加えればもちろん工賃は発生します。
健康体の人が念のため健康診断をした場合でも当然お金がかかるのと同じです。

構造的な作動音というのはチェーンが単にギア歯に乗る音だったり、
前後ギアの組み合わせによってはチェーンが勝手に落ちないようフロントディレーラーの羽に若干擦る音であったり。
ディスクブレーキのローターが時々僅かだけパッドに擦る音だったり。
前のタイヤが地面の細かい砂利を巻き上げてそれがダウンチューブに当たる音だったり・・。 

これらの音は走行上・安全上問題はありません。

安全上問題のある音が「異音」です。

 

可能性B:それが異音だとして

では、その音が安全上問題のある「異音」だとして、
次のステップに進むため必要になるのはその音の「情報」です。

まずはいつからその音がしているか

そしてご自身が乗られている自転車のメーカー名と車種名も必須です。
車種によって車体に付いているパーツ構成が異なって来るからです。

聞こえてくる音の詳細な情報により原因を想定した上で、現車を確認し異音の正体を突き止めます。

いったいどこから
どんな時に
どのような音がしているか

これらの情報によって、
・異音の出ている「箇所」(パーツ)
・異音が出る「状況」(シチュエーション)
・異音の「症状」(重症度)
をそれぞれ絞っていく事が大切です。

 

いつから、どこから、どんな時、どんな音

 先ほども書きました、

・いったいどこから → 異音の出ている「箇所」(パーツ)
・どんな時に → 異音が出る「状況」(シチュエーション)
・どのような音がしているか → 異音の「症状」(重症度)

はとても重要です。

異音の作業ご依頼を承ると、こちらからお客様に上記の質問をさせて頂く事になるかと思います。

その時にしっかりお答えいただけるように、乗っていて異音がした時にはしっかりと観察をして頂けるようお願い致します。
走行中の異音は普段からその車体に乗られているお客様ご自身でないと耳に出来ません。
いざ店舗に持ってきたら音が再現出来ない(聞こえない)という事も非常によくあります。

どこからどんな時にどういう音がしているかが分からなければ、修理に手を付ける箇所も特定出来ず作業内容も増え、時間も作業料金も多くかかってしまいます。

病院に行ったときにお医者さんに「どこかわからないけど具合が悪いんです」と伝える人は居ないはずです。
どこがどう具合が悪いのか具体的に伝えることで、お医者さんも病名を特定しやすくなるのと同じで、異音の修理も自転車の病院と考えればそこはご納得いただけるかと思います。

しかし、自分で自転車をいじるような詳しい方はいざ知らず、普段は乗るだけで自転車について特に詳しくはないというお客様はどうすればいいのでしょう。

では次は、実際どうやって異音を観察するか。

 

乗車前点検をしてみる

以前Tech便りでお伝えした乗車前点検を使って異音がする箇所を特定してみるのも一つの手です。

 

 

各部パーツの名前を知らなくてもこれを見ながら順番にチェックして行き、音がする部分を実際確認出来れば、乗車しなくてもこの点検で異常箇所が特定出来る事もあり時間の短縮になります。

そういう意味でもやはり普段の点検はとても大事です。 

 

実際に乗車して異音を観察する

いざ乗りながら異音に耳を澄ますのは周囲への注意が散漫になり危険な為、広場のような開けた場所でなおかつ人の少ないところで、出来れば晴れた日に行いましょう。

では、実際に異音の正体を絞って行きましょう。
下の3つの質問に答えるだけでかなり肉薄出来ます。

 

1:その音は車体のどこから聞こえていますか?

・ハンドルまわり ・ブレーキ(前/後) ・サドル近辺
・ペダル/クランク ・ホイール(前/後)
・ギア(前/後)/チェーン ・その他

 

2:その音はどんな時に鳴りますか?(複数回答可)

・ハンドルを切った時 ・ブレーキをかけた時
・坂道(登り/下り) ・発進時
・ペダルを漕いでいる時 ・ペダルを漕いでいなくても鳴る
・立ち漕ぎしている時 ・座って漕いでいる時
・ギアを前_段目、後ろ_段目に入れている時
・(右/左)足のペダルが(上/下/前/後ろ)の位置の時

 

3:その音はズバリどんな音ですか?

・パキパキ ・ミシミシ ・ギシギシ ・カチカチ
・チャリチャリ ・キュルキュル ・コツコツ ・サッサッ
・シュッシュッ ・ジャリジャリ ・ガタガタ ・ゴトゴト
・ガリガリ ・その他

 

異音がする時の情報を整理し正体を特定する

上の1~3の質問の答えで、我々作業スタッフは異音の「箇所」「シチュエーション」「重症度」のある程度目星を付ける事が可能です。
これらが揃えば異音の正体が格段に見付けやすくなり、それによってお客様の時間やかかる工賃も節約することが出来ます。
後は目星をつけた異音の正体を確認し、実際に車体に手を加えて異音を解消するだけです。
実際の異音解消作業はその原因や重症度によって、汚れを掃除するだけで済むもの、軽い調整のみで直るもの、症状が酷いと新しいパーツを取り寄せて交換してやらないと直らないものまで多岐に渡ります。
修理に必要な作業内容の重さによってかかる時間やパーツ代と工賃にも、大きな開きが出てきます。
異音に気付かないで乗り続ける事、異音に気付いていながら修理をせず乗り続けることで症状は酷くなり、そのため時間もお金も多くかかる事となります。

 

 なお、すべての修理・作業は予約制で先の方より順番に行っておりますので、

こちらをご覧いただき前もって作業予約を取られた上で、ご予約の日時に車体をお持ち込みくださいますようお願い致します。

 

やっぱり乗車前点検は大事

日頃の乗車前点検を心がけていれば重症になるまで乗り続けてしまう事も防げ、症状が軽いうちに異音に気付いて修理に持ち込む事が出来るので、繰り返しにはなってしまいますが自分で乗車前点検をする

のは安全のため本当に大事な事だと思います。

今回の記事で異音やセルフでの点検に興味を持って頂き、こまめに自分で乗車前点検をして愛車の健康にも気を配りつつ、日々楽しいスポーツサイクルライフを心がけて頂ければと思います。

 

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