こんにちは、シマノホイールアンバサダーのスタッフ古谷野です。
毎月定期的にインプレッションを発信してきますのでよろしくお願いします。
早速ですが、株式会社シマノ様
より新作ホイール
WH-R9270 C36 TU
をお借りしましたので使ってみました!。
(一番軽量ホイールが最初に送られてくるとは!)
R9200シリーズのディスクブレーキ対応ホイール内で
最軽量(カタログ重量ペア1154g)モデルです。
・36mmリムハイト
・チューブラータイヤ
の山岳ステージ向けのホイールです。
試乗ホイールにはVITTORIA CORSA TU(25mm)が付属していました。
軽量クラスタイヤでホイールとの組み合わせはピッタリですね!。
さて、本ホイールはチューブラータイヤモデルです。
最近はチューブレスタイヤの方が勢いがあるので
チューブラーホイールが欲しいという声は少なくなりました。
また、作業依頼減りましたね・・・。
しかしプロレースではチューブラータイヤは主流です。
これはタイヤの性能はトップクラスなのは間違いありません。
タイヤ・チューブ一体型による乗り心地の良さ、
構造上リム打ちパンクはありません。
もし何か刺さってパンクしてもサービスカーがすぐにやってきて
ホイール交換してくれますからね。
一般ユーザーは、スペアタイヤを持たなければいけない
わずわらしさなどをを考えると、チューブラータイヤから
徐々に離れていくことは仕方ないかもしれません。
しかし一般ユーザーでもレーサーでここぞと言うレースでは
パンクリスクを承知の上、チューブラータイヤを使う方もいらっしゃいます。
そういうここぞという場面でこのホイールが一番生きると思います。
シマノらしい高級感があるハブ。
ベアリングはレース現場からでも評価が高いカップ&コーン式を歴代採用しています。
流石と言うべきか、全くその構造を感じさせない回転のスムーズさです。
本世代からリアのフリーハブに大幅な変更が加えられています。
ダイレクトエンゲージメントという面ラチェット式になっています。
これまでのチリチリ・・・、と言うシマノらしい小さな音は無くなってしまいましたが、
ジーと言う、よりかかりが良い構造になりました。
これは個人的にもかなり好印象でした。
ラチェット音はそんなに響かないので耳障りではありません。
このR9200シリーズホイールはシマノ12速のみ取付けの対応になっています。
フリーボディー形状が従来の物とあえて形が変えられているからです。
フリーボディーの溝をより細かくして、軽量化と、力の伝達を良くしています。
11速以下で使用したいという方には残念なお知らせとなりますが、
このような細かいことまでNEWデュラエースホイールは設計されているのです。
画像だと分かりづらいですが、
スポークは超エアロのものが付いています。
根元の部分が2.0、エアロ部分が1.5で他社の最高級クラスの物です。
こういうところもこのホイールに対する設計の熱意を感じます。
ディスクローターはメジャーなセンターロック(CL)式。
試乗ホイールについていたのはデュラエース・XTRグレードの
SM-RT900でした。
元はMTBのローターでしたが、プロ選手からの評判により
新しいデュラエースと統合されました。
試乗編
軽量ホイールなので一番いきるシチュエーションとしては山岳コースです。
プロ選手並みには走れませんが、インプレッションでも山岳を意識したコースを走りました。
まず、乗る前にバイクを持ち上げただけでも軽くなっているのが分かります。
普段使用しているホイールが前後45mmリムハイトホイール(1500gぐらい)&チューブレスタイヤの組み合わせです。
リムハイトが少なくなった&チューブラータイヤによる軽量化は
持っただけでも体感することが出来ました。
「おおっ、〇(まる)だ。」
チューブレスやクリンチヤーに慣れ過ぎて
久しぶりにチューブラータイヤに乗りましたが、
乗り始めからその真円を感じる取ることが出来ました。
路面からの突き上げを無くしてくれます。
いいですね、やはりこの乗り心地の良さがプロ選手が
いまだにチューブラータイヤを使う理由の一つでしょう。
まずは箱根へ。
箱根に着く前からちょっとした坂や漕ぎ始めで
ホイールの軽量化による効果はすぐに感じとれました。
「うほほ」と声が漏れてしまいました・・・。
普段使っているホイールはそれほど重い方では無いですが(1500gぐらい)、
それから比べても漕ぎだしや坂が軽い軽い!。
初めてホイールアップグレードで感動した時を思い出しました。
坂道でギアが1枚軽くなるというのはうそではないです。
登ったのは国道一号線の方で、勾配がそんなに高くないです。
緩い勾配のところではスピードが少し乗る所が多く、
この場所とホイールの相性は良いと思いました。
ホイールの剛性は高い方ではありません。
なので感動するほど加速するというのは感じられませんでした。
古谷野個人的には剛性が高いホイールは脚力を削るのであまり好みではありません。
どちらかと言うと後半にも脚を残せるほうが好みです。
シチュエーションにもよりますがグイグイ踏んで進むより、
ケイデンスを上げてあげればスピードが乗る感じがしました。
ベアリングのカップ&コーン式の影響でしょうか。
芦ノ湖沿いのアップダウンのコーナーではスピードの
落ちはあまり気になりませんでした。
その分コーナーでバイクを倒しても一定スピードを
維持したままなのでコントロールしやすかったです。
(カップ&コーン式のベアリングは斜め方向の負荷にも強いです。)
それはチューブラータイヤの影響も大きいでしょう。
箱根~長尾峠を下ってその次は山中湖まで淡々と上ります。
一定勾配の登りがずっと続きます。
普段ならいつも避けるところですが(笑)、
箱根の登りで感動したのでいこうかなと。
それは山中湖手前の籠坂峠でも感動しました。
軽量な分登りでも脚が残せます。
厳しいシチュエーションほどこのホイールの良さが生きるでしょう。
山中湖へ到着。
いつもなら体力的にここから引き返すところですが、
この日のインプレは山岳コース。
まだまだ先へ行きます。
要らなくなったボトルを切って作ったスペアチューブラータイヤ&ケース。
私物ですが、何年前の物だかわかりません(笑)。
普段のトレーニングの際は携帯必須です。
(=ボトルスペースが一つ無くなるので要注意)
忍野八海へ寄り、
都留方面へ下ります。
ここの路面はあれていてきれいではないのですが、
チューブラータイヤとラテックスチューブで
感動吸収性が明らかに良いです。
ホイールの剛性がそんなに高くないのも影響していると思います。
都留の手前から道志みちに抜ける
都留道志線(個人的に道志峠と呼んでいます。)
が最後の踏ん張りどころ。
メンタルはもうやられていますが、脚は不思議と残っています。
C36を履いていなかったらまず行こうとは思わないですし、
身体への負担も大きかったはずです。
これはレースを走るうえではかなり大きい差になります。
道志みちに出て後は宮ヶ瀬方面まで。
基本的に下り基調ですが、たまにアップダウンがあります。
こういった場面でも回転性のとホイールの軽量性が生きて
ハイスピードで下って、切り返しの登りでもクイクイ進んで行くところ
がローハイト&ミドルハイトホイールの良い所です。
距離190km、獲得標高3395mでした。
久しぶりにたくさん走りました。
今回の走行以外にもこのホイールで
130km、獲得標高1900mほど走っています。
繰り返しますが、このように走っても
不思議と身体への負担が少なく
終盤でも脚が踏めるほど残っていました。
流石レース向け軽量ホイールモデルと言うべきでしょうか。
このような過酷なシチュエーションでその軽量性が生きること間違いなしです。
長距離や登りがあるレースではもちろんですが、
ヒルクライムでもその効果が発揮できるでしょう。
国内では長距離ロードレースのツールドおきなわや
勾配がそれ程きつくなく距離が長い富士ヒルクライムにオススメです。
このワンペアを持っておけばほどんどのシチュエーションで
活躍する汎用性があるのはミドルハイトリムホイールらしいです。
驚いたのがこのホイールは前後ペアで23万円台
(正式には¥233,530、この記事作成時)という事です。
デュラエースのホイールはこれまで30万円台と言うイメージがありましたが、
大幅に値段が下がりました。
かと言って悪くなったりしていません。
新しいハブの構造など魅力的なポイントが増えています。
正直な所、有名なホイールブランドのレース向けホイールが
30万円以上のラインアップが多い中、かなりコストパフォーマンスは高いです。
チューブラータイヤの為、走るシチュエーションは限られてきますが、
レース機材として非常におすすめです。
これから毎月シマノのニューデュラエース、アルテグラのインプレッションをお送りします。
次回をお楽しみください。
2022/2/13 古谷野