痛みシリーズ「手が痛い」「腰が痛い」「足が痛い」「お尻が痛い」「首肩が痛い」クリックで記事に飛びます。
自転車に乗っていると「膝の痛み」により楽しく走れなくなる方が一定数います。
乗り越えられる人もいれば、そのままフェードアウト・・・なんて方もいます。
少しでも悩んでいる方の役に立てればと思っています。
1.自転車が原因と考えにくいもの
・変形性膝関節症:年とともに軟骨や半月板などの変化や骨の形成不良などで痛みがでるもの
・半月板損傷:膝に強い衝撃が掛かり起こることが多い。
・前・後十字靭帯損傷:膝などへのタックルなどの外力がかかることで損傷する。
・オスグッド病:成長期に急に背が伸びると起こる膝痛です。
*まずは病院で診てもらいましょう。
2.痛みの部位とどんな時に傷むかを知ろう
膝:①皿の上下、②膝上内側、③膝内側、④膝下内側下方、⑤裏側上、⑥真裏、⑦膝外側、⑧裏側下
*痛みがあるときは「安静+アイシング」が基本です。
*疲労が溜まり柔軟性が低くなっていることも多いのでストレッチも有効です(痛みのでない範囲で行いましょう)
①大腿直筋(黄マーク)
・場所:腿の前・中央の大きい筋肉。
・動き:ペダリング時の踏み込みが主の働き、副としてペダリング時の腿の引き上げ/主:膝を伸ばす(膝関節伸展)・副:腿を上げる(股関節屈曲)
・傷む部位:大きな筋肉そのものが傷むこともありますが、筋肉の付着部である「膝の皿」上下あたりに痛みが出やすいです。筋肉そのものも固く柔軟性が落ちていると押すと痛みが出たり張りがあったりします。
・原因:使いすぎ・強度が高すぎる練習などにより(やりすぎると筋断裂・重いと肉離れ)、筋疲労が溜まり柔軟性が落ちているなど。
・対応
①まずは柔軟性を保つためにストレッチを行う(痛みの出ない程度「いた気持ちいい」)
②練習メニューの見直し。使いすぎ・強度が高すぎるので強度を落としてみる。
③ポジションの見直し。大腿直筋に負荷がかかりすぎるポジション(サドル高が適正範囲を超えている)やペダリング(踏み込み過ぎ)になっているかもしれません。
②内側広筋(緑マーク)
・場所:膝の上部内側に筋腹が大きく出てるところ。
・動き:ペダリング時の踏み込み/膝を伸ばす(膝関節伸展)
・傷む部位:膝の皿の上、内側。
・原因:足を伸ばしきるときに大きく働く筋肉で、使いすぎなど。
・対応
①まずは柔軟性を保つためにストレッチを行う(痛みの出ない程度「いた気持ちいい」)
②ダンシング含めたペダリングフォームの見直し(膝が伸びきってないか、踏み込みばかり使って足が回ってないかなど)
③サドルが高すぎないかなどポジションの見直し
③内転筋群・薄筋(青〇)
・場所:太もも内側の筋肉群
・動き:膝を内側に入れる(股関節内転)。全然正しくないがペダリング時に膝を内側に入れながら踏み込むのにも使える。
・傷む部位:膝の内側(股関節の内側(お股)が傷むこともある)
・原因:本来のペダリングに使う筋肉ではないのに、過度の使用。X/O脚など膝のアライメント不良が関係することもあります。
・対策
①ペダリングフォームとスキルの見直し(過度に膝が内側に入って踏み込み動作をしてないか)
②脚のアライメント調整。足部ウェッジやカントなどを使う。
③筋トレなどにより関節の保持力を上げる。膝の安定性(運動時の膝の左右へのブレ)を高めることが大切です。
④鵞足(がそく)(右側の膝の絵)
・場所:膝の内側(内下方)につながる筋肉群
・動き:ペダリングの補助的な役割として、膝を曲げる。半腱様筋(股関節伸展、膝関節屈曲)、薄筋(股関節/膝関節屈曲)、縫工筋(股関節/膝関節屈曲)
・傷む部位:膝の内下方に痛みが出ることが多い。各筋に張りや痛みが出る(先に痛みなどが出ていることもある)
・原因:半腱様筋以外は大きい筋ではなく、補助的な役割の筋であり痛みが出るということは使いすぎ・負荷が高すぎるなどが考えられる。X脚など膝関節の構造により負担が増している方もリスクが高くなります。
・対策
①ペダリングの見直し(過度に膝が内側に入って踏み込み動作をしてないか)
②脚のアライメント調整。足部ウェッジやカントなどを使う。X脚などの場合は足部とのバランスも考えて調整し、Qファクター(ペダル間の距離、足幅)も調整する。
③ペダリング・フォームの見直し。主動筋である筋肉でなく補助的な役割の多い筋肉の集まりの鵞足が痛くなるということは、主動筋がうまく機能していない可能性があります。
⑤半腱・半膜様筋(茶マーク)
・場所:腿の裏側の大きい筋肉2つ
・動き:ペダリング時の踏み込みと膝を曲げる/腿を下げる(股関節伸展)・膝を曲げる(膝関節屈曲)
・傷む部位:大腿部の後面、ひざ裏の左右(上方)。
・原因:使いすぎ・強度が高すぎる練習などにより(やりすぎると筋断裂・重いと肉離れ)、筋疲労が溜まり柔軟性が落ちているなど。
・対策
①まずは柔軟性を保つためにストレッチを行う(痛みの出ない程度「いた気持ちいい」)
②練習メニューの見直し。使いすぎ・強度が高すぎるので強度を落としてみる。
③ペダリングの見直し。
大腿直筋もそうですが2関節筋(膝関節・股関節へ働く)はその動きのバランスが難しいです。しかも「基本となる人の動き(歩く・走る・飛ぶ)」と自転車のペダリング運動は違う使い方を筋肉がしないといけません。連動させるためにペダリングスキルを上げる必要があります。ペダリングスキルを上げるためには強度を上げて行うとスキルが身に付きにくいように思います。けがのリスクも上がりますので低強度で練習するのが良いと思います。
⑥腸脛靭帯(+中殿筋)(赤マーク)
場所:大腿部の外側(殿筋群から膝の外側へつながっている)
働き:膝が内に入らないように支えます。
傷む部位:大腿の外側
原因:使いすぎ・ペダリング時に膝が開いている・O脚などが考えられます。
対策
①もともと柔軟性が乏しく血流も少ないので痛みが出やすく抜けにくいので、十分なストレッチやマッサージも有効です。
②脚のアライメント調整。足部ウェッジやカントなどを使う。O脚などの場合は足部とのバランスも考えて調整し、Qファクター(ペダル間の距離、足幅)も調整する。
③ペダリングの見直し。過度に膝が開いてないかどうかチェックして下さい。
参考↓
⑦膝窩筋(ひざ裏の△マーク)
・場所:膝の裏側(奧)
・働き:膝を曲げる(膝関節屈曲)
・傷む部位:膝の裏側(真ん中あたり、奥の方が痛いという方が多いです)
・原因:使いすぎとペダリング時の使い方により痛みが出る場合があります。ペダリング時に膝伸展動作中に膝を曲げる力を入れると痛みが出やすいように思います。
*具体的には下死点に向かって踏み込みの力が残っているのに、5時→7時までの動きを早めて死点を早く終わらそうとすると膝窩筋の負荷が大きくなり痛み出すということ起きる方もいます。
・対策
①ペダリングの見直し
クランク一周に対して、どの位置でどの筋肉を使い連動させるかをしっかりと身に付ける必要があると思います。
②クリート角度の見直し。クリート角度が付きすぎると(かかとが内側、つま先が外側を向く)、より負担がかかるので注意が必要です。
⑧下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)(ピンクマーク)
・場所:ひざ下、裏側の大きな筋肉。
・働き:膝を曲げる(膝関節屈曲)、足首を伸ばす(足関節伸展)
・傷む部位:ひざ裏の左右(下方*1)。(ふくらはぎ自体が攣る人も多いのではないでしょうか)
・原因:使いすぎ・強度が高すぎる練習などにより、筋断裂(重いと肉離れ)。筋疲労が溜まる、柔軟性が落ちているなど。ペダリングスキル不足により過負荷になっているなど考えられます。サドルの高さなどポジションによっても痛みが出たり攣ったりします。
・対策
①まずは柔軟性を保つためにストレッチを行う(痛みの出ない程度「いた気持ちいい」)
②練習メニューの見直し。使いすぎ・強度が高すぎるので、頻度や強度を落としてみる。
③ペダリング・ポジションの見直し。
*1=膝の裏側の左右が痛い場合は、上の半腱様筋と半膜様筋を筋肉に沿って追って触って下さい。次に下のふくらはぎの筋肉に沿って追って触って下さい。触って、痛み・違和感などがある筋肉がわかれば、対策をしましょう。
総括
膝の痛みについては、大体網羅できていると思います。
ポジションとフォームやペダリングに行き着くことが多いので、これらを一つずつクリアにしていくことが大切です。
体が変わるとポジションやフォームも変わるので追求し続けることが必要ですが、それこそがスポーツの楽しさと奥深さだと思います。
ポジション→フォーム→ペダリングの順で詰めていくと早いと思います。
これらについてもブログで上げていく予定です。
ペダリング矯正アイテム
シューズ内のインソール下に入れる「ウェッジ」というものがあります。
足先部の矯正にウェッジを入れます。
「力が入りやすくなった」という人も多いアイテムです。
踏み込み時に膝が内側に入るのを矯正します。
[ysid 20422295]
シューズとクリート間に入れる「クリートウェッジ」もあります。
シューズ内が窮屈にならずに足部の矯正ができます。
足先部の矯正にもなりますし、足部全体(かかとの角度)の矯正もできます。
自分は左1枚/右2枚入れています。
[ysid 20422110]
画像はスピードプレイ用ですが「2つ穴(SPDなど)」「3つ穴(SPD-SL/LOOKなど)」もあります。
上記ウェッジは使い方を間違えるとより痛みなどを引き起こすことがあるので、慎重にお使い下さい(試して違和感あれば使わない)。