今回ご紹介するのは、しばらく放置してしまった自転車の修理です。
保管に適さない環境で放置すると、比較的短期間でも急に劣化して、正常に動作しなくなってしまいます。
今回はそんなバイクを元通り、いや、元以上によく動くようにするためのオーバーホール作業をご紹介いたします。
車体は TREK DOMANE ALR
軽量アルミフレームに振動吸収機構IsoSpeedを搭載したエンデュランスロードです。
チェーンはサビで真っ赤に、
スプロケットにもサビが進行、、
レバーは転倒の衝撃で内側に曲がってしまっています。
いたるところにクモの巣が、、
タイヤやブレーキシューは数年前の購入時のまま。
消耗具合によらず、経年劣化が進んでいるので交換しましょう。
今回は、タイヤ・チューブ・ブレーキシューなどのゴムパーツ、
錆びや劣化の見られるチェーン・ワイヤ・バーテープ・BBなどの主要な消耗パーツを交換。
フレームやコンポパーツを清掃して、組み戻します。
さっそく作業開始!!
まずはフレームから全てのパーツを取り外します。
BBを叩き出そうとしますが固着して外れません!
圧入BBは叩き出すほか手段がありませんが、油を注したり、固定方法を変えたり試行錯誤してもびくともしません、、
こうなっては仕方ないので、BB内部を切削!!
工具が掛かる隙間を作って、、
BBのベアリングのみを叩き出します!
ベアリングさえ取れてしまえば、中で突っ張っている物がいなくなるので、残りも簡単に摘出できます。
切削と言っても、削るのは交換するBBのみなので、一番確実で安全な方法なのです。
次にフレームのチェック。
ディレーラーハンガーが大きく曲がっていました。
転倒の衝撃でしょう、、
ここが曲がると、変速が大きく狂うほか、走行中に折れれば自走不能になるだけでなく、変速機、フレーム、ホイールまで破壊する可能性があります、、、
黒い部分を交換します。
次にパーツの清掃とグリスアップ
チェーンは流石に交換、、
新しく使うチェーンは上のグレードで、錆びにくいですが、月に1回程度の注油は必須です。
スプロケットは予想以上にサビていましたが、、
丁寧に洗う事でここまできれいになりました。
クランクやホイールには謎の頑固汚れが、、
虫の巣の跡?
なかなか落ちないのでワイヤーブラシで除去!
ホイールはそれ以外にも鳥のフンなどで汚れていたので、気持ちよく使えるように洗剤で丸洗いしています。
RD。
固まった埃と油のカスが溜まっています。
スプロケ同様No.92で完全脱脂!
強力な洗剤なので洗浄後の注油は必須です。
[ysid 4589873410018]
ピカピカ!
裏側もこの通り!!
FDはくすみの他、裏面が錆びてしまっています。
表面はメッキ処理されているので錆びにくいはずですが、、おそらく、インナー×トップなどチェーンが斜めになるギアの組み合わせで、トリムの調整をせずに長期間乗った結果、表面のメッキが剥げてここだけ錆びてしまったのでしょう。
・インナートップ・アウターローなどチェーンが斜めにかかる組み合わせは使用しない。
・チェーンが変速機に擦れてカタカタいうときはトリムを使う
これらを気を受けることでパーツが傷みにくくなります。
*よくわからない方は店頭で聞いてください♪
洗浄で汚れを落とし、錆も若干改善しましたが、、、
強力な錆落としで溶かします!
赤さびが黒くなった!
とどめに磨くことでほぼ完全に錆びを除去できました。
真鍮ブラシの色が移って金色に見えます。
ブレーキ。
クモの巣を取り除いて、、
ブレーキシューを交換。
シマノのシューに交換したので、若干ながら性能も上がっているはず!
ヘッドのベアリング。
外側に若干のサビが見えますが、回転に異常はないので今回は清掃して再利用します。
これ以上錆が進行しないよう、組み付け時には十分にグリスを塗ります。
サドルやグリップ部分はゴムにも優しいフォーミングマルチクリーナーで洗浄。
ホコリや皮脂の汚れもスッキリ落ちます!
ここからはフレームを磨いていきます。
もともとまっくろという事はありませんが、クモの巣、固着したホコリ、油や汗などでくすんでしまっています。
まずはフォーミングマルチクリーナーで全体を掃除。
ほとんどの汚れはこれで落ちますが、、
⇩
頑固な汚れや傷は一つずつ消していきます。
⇩
目立ちやすい白部分もスッキリ!
⇩
⇩
ロゴ上の線キズを消して、光沢も復活!!
⇩
ワイヤーが擦れたキズでしょうか?
軽く研磨して目立ちにくくしました。
汚れと傷が消えたら撥水&光沢出しのコーティングをして完了!
フレームが新品の様にキレイになりました!!
組み付け。
新しいBBを圧入。
固着しないようグリスも忘れません。
普段使いもしやすいようにキックスタンドも付けます。
車体の性能を引き出せるよう、慎重に、丁寧にパーツを組み付けていきます。
完成したのがコチラ!!
バーテープはグラデーションタイプ!
フレームカラーとピッタリです!!
タイヤはボントレガーのAW3
全天候型タイヤの名の通り、雨天など様々な状況でしっかりグリップし、転がりも軽い。
ロングライドなどに適したタイヤ。
光沢が復活したブレーキ!
掃除に加え、必要箇所に注油し、超低抵抗のワイヤを使って、組み付け、微調整しているので、尋常じゃなく軽い握りに仕上がりました!!
新品並に美しく輝くパーツ達を見てください!!
そして美しく輝くフレーム!
性能はもちろん、見た目までも完全に復活しました!!
生まれ変わった愛車で、気持ちの良いサイクリングをお楽しみください!
長期間乗らない時は、雨風・直射日光・高温多湿を避け、可動部分に十分注油してからカバーをかけて保管しましょう。
久しぶりに乗るときは、空気の補充、注油はもちろん、パーツの劣化やネジの固定も点検しましょう。
おおよその費用
今回の作業は工賃・パーツ込みでおおよそ6万6千円です。
お客様の用途に合わせて最適なメンテナンスをご提案し、期待に応えられるよう丁寧なオーバーホールを心掛けています。
メンテナンスのご相談はレジ横テックコーナ 関まで!
相談、点検だけでもお気軽にご相談ください。