ワイズロードオンラインの石澤です。
暖かくなると、スポーツバイクで出かけたくなりますよね!
中には自走だけでなく、輪行と組み合わせて、自力だけではいけないどこか遠くへ 知らない街へ行ってみたい方も多いはず。
そんなわけで、鉄道輪行にお役立ちいただける参考情報をまとめてみました!
輪行とは?
輪行とは、電車やバス、飛行機などの公共交通機関に自転車を持ち込んで運ぶことです。
公共交通機関を組み合わせて移動することで、自宅から遠く離れたサイクリングコースや景勝地に走りに行くことを可能にします。
また、勾配が激しい、道路事情が悪い、同じ道を二度走りたくないなどの理由で、片道を自走、もう片道を公共交通機関で移動する手段にも利用できます。
自転車の楽しみの幅を広げ方の1つが輪行です。
鉄道会社の規定をチェックしよう
輪行袋に自転車を入れれば、どんな場所へでも自転車を持っていける・・・というわけではありません。
交通機関ごとに荷物の持ち込みに関する規定があり、それを守る必要があります。
JR各社の場合
国鉄の路線網を継承した全国のJR各社では、持ち込める手荷物のルールが共通のものとなっています。
「携帯できる荷物で、タテ・ヨコ・高さの合計が250センチ(長さは2メートルまで)以内、重さが30キログラム以内のものを2個まで」となっています。
ただし、自転車については、「解体し専用の袋に収納したものまたは、折りたたみ式自転車においては折りたたんで専用の袋に収納したもの」という規定があります。
「解体し」というのは、折り畳み以外の自転車の場合は最低限車輪を外したものが該当します。
「専用の袋に収納したもの」なので、
・ごみ袋に入れる(=専用の袋でないもの)、
・袋からサドルなど一部がはみ出している(=収納できていない)
などの状態では持ち込めません。
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また輪行袋には「ほどける、または突き破る恐れがある素材及び形状の袋は持込不可」という指定があります。
逆に言うと、自転車本体側が輪行袋を突き破るような形状になっているとNGなのですが、キックスタンド(特に後輪近くに取り付けるサイドスタンド)はこの規制に引っかかる恐れがあります。
また泥除けは前後輪を外した時に飛びだしてしまうため、輪行時には注意が必要です。
普段街乗りに使っているクロスバイクなどではスタンドや泥除けを装着しているケースが多いため、必要に応じて取り外すなどの対策をしておきましょう。
私鉄各社の場合
2024年現在、大手私鉄16社(西武・東武・京成・東急・小田急・京王・京急・相鉄・東京メトロ・名鉄・近鉄・京阪・阪神・阪急・南海・西鉄)はJRに準ずる内容で輪行が可能です。
これ以外の中小私鉄についても同様のルールとなっている会社がほとんどですが、一部路線では有料のケースもあります。
例としてわたらせ渓谷鉄道では、1回の乗車ごとに1個につき290円の手回り品料金がかかります。
始めて行く地域では、事前に乗る路線の鉄道会社に確認しておきましょう。
サイクルトレインを活用しよう
これらの規定とは別に、区間や列車、期間を限定して、「自転車をそのまま車内に持ち込める」制度がサイクルトレインです。
・常に全区間で利用可能な路線
・区間や期間・時間帯・曜日を限定したもの
・イベントに合わせた臨時運行
など、路線によって規定は様々。場合によっては別途料金がかかったり、予約が必要な場合もあります。
国土交通省などが情報をまとめているので、目を通しておくと役立ちますよ!
画像は都内で珍しくサイクルトレインを実施している、西武多摩川線。
時間や曜日に指定があり、またスタンドを装着していていることが条件ですが、4両編成の1両で輪行袋なしで自転車が持ち込み可能です。
マナーを守って気持ちよく!
輪行は鉄道ができたときから当然あるルールではなく、先人たちの努力で成立し、心がけで維持されているものです。
現在のルールも、マナーを守り、様々な人が不利益を被ることなく鉄道を利用できるという前提に決められています。
輪行が他の利用者の迷惑にならないよう、交通機関を使うみんなが快適に使えるよう配慮しましょう。
自転車を置く場所に気遣いを
車内に自転車を持ち込んだ時、置き場所によってはトラブルの原因になります。
出入りをふさぐドア付近や通路には自転車を置かないようにしましょう。
混み合う路線では、編成の端付近など、人が密集しない場所を選んで利用することも重要です。
新幹線や在来線特急のデッキはある程度の広さがありますが、鉄道会社によっては「やむを得ない場合を除いては極力利用を避けてほしい」としていることもあります。
特に車椅子用座席の周辺は通行の妨げとなるため、様々な方が利用できるようスペースを確保しましょう。
集団輪行は乗る場所を分散
複数人でツーリングをするとき、行き帰りの話に花が咲くこともあるでしょう。
しかし、輪行袋が同じ空間に密集するのは圧迫感があるもの。
狭い空間を占拠してしまうと周囲の迷惑になるので、混まない場所で分散して乗車しましょう。
極端に混雑する路線は避ける
人が詰め込まれる大都市圏の朝ラッシュ。
その混雑の中に輪行袋を持ち込んではいけないというルールは明文化されていません。
でも、実際にやったら何が起きるかは想像に難くないでしょう。
あなたの自転車が乗客に押しつぶされるだけでなく、逆に自転車が乗客を傷つける可能性もあります。
路線と時間を考慮し、どうやっても混雑が見込まれる場合は使用を避けましょう。
列車別荷物置き場ガイド
東京近郊や関西の各駅停車で使用されているロングシート(座席が進行方向横向きになっているもの)であれば、比較的輪行はしやすいですが、それ以外の車両、特に特急列車などでは置き場所が制限されます。
ここでは各列車ごとに、輪行がしやすい座席や設備をご紹介しましょう。
ロードバイク編
特急列車のほとんどでは、ロードバイクを輪行できるようなスペースは一か所、つまり
「車両最後尾の座席のうしろ」
に限定されます。
デッキは通路なので基本的に輪行袋を置くのは推奨されておらず、荷物置き場も輪行できるような広さではありません。
最後尾の座席を確保し、その後ろに輪行袋を置くのが一般的です。
東海道・山陽・九州・西九州新幹線では、3辺の合計が160cm超250cm以内の荷物については「特大荷物スペースつき座席」を予約する必要がありますが、この座席というのがまさに車両最後尾の座席です。
実は自転車はこの座席を確保しなくても輪行ができる…というのがルールなのですが、ロードバイクを入れた輪行袋が収まるスペースはこの特大荷物スペースくらい。
支障をきたす場所に置くくらいであれば、このスペースを事前に予約しましょう。
これ以外の新幹線(東北・上越・北陸・北海道・山形・秋田)や在来線特急では、特大荷物スペースつき座席の制度はありません。
同じ位置の座席を事前に確保しておけば、快適な輪行が可能です。
ただし、どちらの場合でも座席後ろスペースは他の乗客との共用です。
大きな荷物同士がブッキングを起こした場合はお互いの荷物の配置を工夫したり、車掌さんに確認するなどしましょう。
フォールディング編
ロードバイクに比べはるかに小さく輪行が可能なフォールディングバイクであれば、座席後ろ以外にも選択肢が広がります。
東北・上越・北海道・北陸・秋田・山形を走る新幹線、E5/H5/E6/E7/W7/E8系は、客室内に荷物置き場が設置されています。
フォールディングバイクの輪行袋が収納可能な空間が確保されており、客室内なので安心して輪行が可能です。
世代の古いE2系(やまびこ/なすのの一部列車)/E3系(つばさの一部列車)では、デッキに荷物置き場が設けられています。
新世代の車両よりスペースが限定されているので、折り畳みサイズが大きい車体の場合は避けた方が良いかもしれません。
東海道・山陽新幹線の16両編成の「のぞみ」「ひかり」「こだま」には、座席後ろの「特大荷物スペース」のほかに、「特大荷物コーナー」のついた座席も販売されています。
こちらはデッキに設けられており、客室からは離れていますが、施錠も可能です。
サイズは上段で80x60x50cm、下段では80x60x40cm。
K3やBROMPTONなど、小さく折りたためるモデルなら大丈夫な空間です。
在来線特急では、一部の新世代の列車に荷物置き場が設けられていることが多いです。
特急「あずさ」「かいじ」「富士回遊」「はちおうじ」「おうめ」に使用されるE353系は、客室内に荷物置き場を設置。
画像のように、K3であれば余裕をもって収納が可能です。
これ以外にも、「南風」「しまんと」「うずしお」「あしずり」に使用される2700系、
「ひだ」「南紀」に使用されるHC85系には、デッキに荷物置き場が設置されています。
わたくしが乗った範囲内では上記列車のみですが、
・空港アクセス特急
ここ5年以内にデビューした車両
では、荷物置き場が設置されているケースが多いです。
岡山と高松を結ぶ「快速マリンライナー」は、転換式クロスシートの自由席と、2階建て車両の指定席があります。
自由席でももちろん輪行は可能ですが、指定席のうちグリーン車の2階席には荷物置き場があります。
また高松寄り、運転席直後のパノラマグリーン席は座席後ろに余裕があり、ロードバイクの輪行も可能です。
新潟-酒田-秋田を結ぶ特急「いなほ」のE653系には、荷物置き場は特に設置されていませんが、グリーン車に特色があります。
この車両のグリーン車は、通勤色が強い特急列車の普通車を改造して作られたもの。
元の普通車で8人が座っていたスペースを、わずか3人で占有できる広大な空間が魅力です。
すべての座席は前後がパーティションで区切られ、座席後ろにも余裕があります。
フォールディングバイクであれば余裕をもって収まる広さなので、グリーン席を確保した際は活用してみてはいかがでしょうか。
寝台特急編
ただし、特急列車の中でも他とは全く違う輪行ルールが必要な列車があります。
それが、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。
岡山駅まで瀬戸と出雲が併結され、そこから瀬戸は香川県の高松市、出雲は島根県出雲市を目指し走る列車です。
サンライズ瀬戸&出雲は、現代のプライベート指向に合わせ、そのほとんどが個室寝台。
今後サンライズ瀬戸/出雲で輪行したい方のため、各個室での輪行のしやすさについてまとめてみました。
・1人用A寝台「シングルDX」:もっとも余剰スペースの広い個室。ロードバイク2台の収容が可能。
余裕があれば幹事室として押さえておきたい。出入りの階段が窮屈な点には注意。
・1人用B寝台「シングル」:サンライズエクスプレスで最も多い個室。展望の良い階上、揺れの少ない階下、揺れは多いが高さにゆとりのある平屋の3タイプがあり。
2階席のほうが床面積が広く、ロードバイク1台がギリギリ収容可能。折り畳み自転車であれば余裕あり。
・1人用B寝台「ソロ」:カプセルホテル並みのスペースなので輪行は困難。料金はシングルより¥1,000安いだけなので、積極的に選ぶ理由はあまりない。
・1/2人用B寝台「シングルツイン」:平屋部分を利用した2段ベッドのある個室。1人でも2人でも使用可能(料金は利用人数によって変化)。1人で利用し、自分は上段ベッドに寝て下段ベッドを輪行スペースに使えば、車体次第で2台の輪行が可能。下段はあくまでベッドなので汚さないように。
・2人用B寝台「サンライズツイン」:サンライズ唯一の二人用個室。2つのベッドの間に隙間があるが、ロードバイクの収納は1台が限界か。シングルDX同様、通路が狭いのに注意。
・普通車指定席「ノビノビ座席」:寝台料金不要(乗車券と指定席特急券だけで乗れる)の雑魚寝スペース。フェリーに乗ったことがある人ならイメージしやすいか。個室ではない(隣席とはパーティションとカーテンで仕切られる)ので自転車は通路やデッキに置くことになる。盗難が心配な場合は選択肢から外れるが、防犯に気を配れれば格安で移動できる。
こちらはサンライズの中で唯一のA寝台(上位グレード)、シングルデラックスの室内。
ここまで広ければ余裕をもった輪行ができますが、他の個室でも一工夫すれば自転車を載せられます。
これ以外の様々な列車にも、輪行に使えるスペースは数多くあります。
事前に鉄道会社のHPなどをチェックして、快適な旅のスタートを切りましょう!