スポーツシューフィッター有資格者がおくる、靴選びに役に立つかもしれない情報や、シューフィッター目線での製品情報などお伝えしていきます。週一回のポストが目標。
今回は前回の続き!どうそのサイズと向き合うかの方法を解説いたします。
日本フットウェア技術協会(JAFT)が定める【スポーツシューフィッター】の有資格者である私が、その知見を活かして皆様の靴選びの役に立つ(かもしれない)情報や、フィッターならではの目線で話題のプロダクトを見る。そんなコラムにしようと考えております。
週一更新を目標に、あれこれ書いていこうと思います。
スポーツシューフィッターの資格は2019年夏に取得しました。
今現在そのノウハウを基にお客様の靴選びのお手伝いをさせていただいております。
今日は前回の記事で少しお話しさせていただいたサイズ選定の具体的なメソッドについての続きをお話しさせていただきます。
前回の記事ではまず靴選びのスタートはサイズ=縦寸法という事を解説しつつ強調させていただきました。
おさらいも含めつつ、進めていきましょう。
サイズが重要です、ともう一度伝えさせていただきたい。
前回の写真と同じでごめんなさい。
ただ、ここがおさらいポイント。
靴選びの出発点は”サイズ”が重要、そしてそのサイズというのは”ご自身の縦方向の実測長が対象となる靴の対象となるサイズに対してどれほどの割合を占めるか”とい点で適正なものがどれなのか考えていく、というのを前回お話しさせていただきました。
結論から言ってしまうと、上段の状態が最適、と言える状態です。
あっさりしててごめんなさい。
この2枚の写真はどちらも私の右足なのですが、それをSHIMANOの”39(上段)””40(下段)”というサイズ表記のシューズ(今回は現在発売中のRC3というモデルのインソールを使用しました)に踵をしっかりあわせた際のつま先側の”余り”をできるだけ正確に視覚化したものとなります。
下段の方がやや余り方が強く出ていて、上段は余ってはいるがほぼ最長の指(この場合親指)の先に空間はありません。
ではなぜ上段の状態が最適なサイズなのか、それを解説いたします。
先の余りは1cm!?なんじゃそりゃ!
さて、なぜ上段の写真が適正なのか…それを紐解いていきましょう。
これをお読み頂いてる方の中には、靴を選ぶ際に「靴を履いて指一本入るくらいが最適!」とか「1cmくらい余ってるのがいい!」なんていう言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
これ…サイズ選定の考えとしてはある意味間違ってないんですが、なんでこういう数字や具体例が出てくるのかということを真面目に考えたことってありますか?
…意外となかったりしますよね。
私もこういったことに興味を持つまでは、これらのワードはただ履ける履けないという感覚の補助をするくらいの意味しか持ち合わせていませんでした…が、ここ、実はめちゃくちゃ重要なんです。
人間の足(この場合足首より先の部分)というのは、人間の骨の造りを考えていったときに、全身の中でもかなり複数のパーツ(骨)が集まって一つのパーツ(足)を形成している部分なのです。
手と似ています。
手先足先はその複雑かつ繊細な動きと強度を生み出すため、必然的に複雑な構造となっています。
それゆえ骨ひとつひとつの動きも、それに伴う筋肉の動きも他部位に比べるとより大きくダイナミックなものとなっています。
しかも足を使う、という状態は、必ずといっていいほど自身の”体重”がかかります。
それ故に荷重が掛かっている時とそうでない時の変化が大きい、ということです。
そう、これが上述した1cmの余りが必要な理由です。
「踏めば動く」すなわち見かけ上の大きさ(この場合は平面的に考えて)が変わることへの余白が必要ですよ、ということを平易なワードに置き換えたもの、というわけです。
しかし…
実際はね、1cmきっかりなんて測れないわけです。
そして測らなくてもいい。
インソールに乗っていただくことのメリットとして、荷重をかけていない時の縦方向占有率、そしてそのまま立ち上がっていただければ「荷重時の縦方向占有率」も視覚的に簡単にわかるのです!!!
荷重時においても縦方向において指がこぼれることなくインソールに収まり、かつ余りの少ない状態が維持できていればOK。
これならば知識や理論を知らずとも、簡単にそのサイズが合っているのかいないのかを判別することができるはずです。
上段の写真の状態がより適正といえるのは、この考え方を基にしています。
ではそのサイズ、なぜ適正なのか。
さて、適正なサイズの選び方はこんな感じとお伝えできました。
では何故に適正なサイズが必要なのか…何故上記のような状態が適正と言えるのか…その点について考えてみましょう。
難しいことではないのですが、縦寸法が実測に対して大きくなる(余白が多くなる)と、当然ですが靴に対して足の大きさ(占有率)が小さくなるということですから、余りが生まれてきます。
この余りが適正と思われる範囲を逸脱してしまうと動作をした際に縦方向に動きが出てしまい、踵の不安定感を誘発したり、足先の不快感が出てしまったりして、非常に不安定な感覚に陥りやすくなります。
ここを抑えたいがために、まずは適正なサイズ(縦方向)が必要となってくるわけです。
ここまで熱心に読んでいただいた方…
紐(ダイヤル)締めればいいじゃん!!!
とツッコミを入れたくなる方もいるかもしれません…
しかし!実はそれ、あんまり良くないアプローチなんです。
それは何故か…
靴選びにはもうひとつ需要な「ボリューム」という考え方があるからなのです。
ここを経た先に、良い履き心地が待っています。
そこで、次回からは靴選びに重要なもう一つの考え方である「ボリューム」についてお話しさせていただきたいと思います。
本日はここまで。
次回もよろしくお願いします。