みなさんこんにちは。Y’s Road松山店 関です。
今回の作業は、、
2019 EMONDA SL6
ヒルクライムに最適な軽量レースマシン
このバイクの軽量ハンドル、セラミックBBカスタムです。
ヒルクライムに向けたカスタムです。
しかし、作業は思わぬ展開へ、、
***ご注意***
オーバーホールや修理の内容は店舗により若干異なります。
作業内容や修理の可否は事前に担当スタッフにご確認ください。
分解開始
もとのハンドルステム
既に一度カスタム済みで、軽量アルミステム、快適性の高いクッション入りアルミハンドル。
ボントレガーのステムはブレンダーシステムによってサイコンやライトのマウントを直付けできるのが特徴。
ワイヤーはアルミの超軽量タイプ
ハンドル交換に伴ってワイヤーを交換するためにブラケットカバーをめくると、、、
なんじゃこりゃ!!?
STI下側のネジが錆びて原型をとどめていない、、
今回はこのネジを無視しても作業できますが、今外さないともう二度と外せなくなります。
もう既に外れないかも、、
このネジがこんなになるなんて見たことない。
嫌な予感が、、、
ステム付近にもサビや汗の痕跡が。
あぁ、やはりヘッドベアリングもサビサビに。
下ベアリングもこの有様。
問題発生!
今までのサビはパーツを交換すれば修復可能でしたが、、
ワイヤーのフレーム内装部分。
この小さなネジが腐食し、外れなくなってしまいました。
ここが外れないと二度とワイヤーが交換できない可能性も、、
しかも4箇所中3箇所!
1箇所はネジが固着し動かず、
2箇所はネジの土台自体が腐食し空回りするという最悪の事態。
無事に取れた一箇所。白く見えるのはアルミの腐食
ネジの皿部分(見えている部分)を慎重に破壊すれば内部の腐食部分はフレーム内部に落ちてアウター受けが取れるはず、、はず!
ネジ破壊!
取れた、、、(汗)
ネジ固着部は六角穴がグズグズになってしまったので逆タップで救出しようとしましたがネジの頭だけが取れて軸が残留してしまいました。
ドリルでネジ穴ごと破壊も試みましたが、ネジは素材が固く、これを排出するには相当な時間がかかりそうです。
お客様にバイクをお返しするタイムリミットが迫っているのでこの1箇所は他とは別の方法で修理することにします。
外したアウター受け。
写真上側の物が特に腐食が進んでいたトップチューブのブレーキワイヤ入り口に使っていたもの。
腐食によって左の突起部分がフレーム内部で分裂してしまっていました、、
取り外し時ではなく自然に分断した証拠に切断面も真っ白に腐食しています。
まるで数年間海没していたかのよう、、
先程の突起が取れたことでブレーキワイヤーの引きに耐えられずもう少しで事故になっていたかもしれません、、
そして今回はここに埋もれている黒いパーツを再利用しないといけない、、
裏から叩き出します。
救出成功!
破壊したネジ穴部分に新しいネジ穴を新設!
新しいアウター受けを装着
取り付けにあたってはまた固着しないように隙間にグリスをギッチリ詰め込みます。
もちろんネジにも
余分なグリスを拭き取ったら完成
ネジを救出できなかっった一箇所は接着剤で固定してしまいます。
ここを固定してももう一箇所が修復できたので、今後も問題なくワイヤの交換ができます。
STIのサビネジも外しましょう
まずはサビ落とし剤を漬け込みます。
ネジ山は死んでいましたがなんとか外せました。
シマノのポリマーコーチィングワイヤーが錆びているのを初めて見ました、、
サビや汚れを落とします。
内部も十分グリスアップ
新しいネジにはこれでもかとグリスアップ
これは今まで使っていたアウターワイヤー
スレによって危険なほど削れています。
これもブレーキが急に効かなくなって危ない状態。
錆びの原因
このバイクはどうしてここまで錆びてしまったのでしょうか??
その原因は、、、
汗です!!
自転車に乗れば汗はかきますが、特に注意が必要なのが、
ローラー台とトライアスロン
トライアスロンでは身体についた海水がバイクにかかってしまいます。
ローラー台ではいつも以上に汗をかき、風が無いので汗がバイクにかかります。
今回のお客様はタオルなどで対策していましたが、錆びてしまいました。
その他にもドリンクの飲みこぼしは放置すると良くありません。
汗をかくことは当然ですし、ローラーで毎日トレーニングをするのは素晴らしいことです。尊敬します!
タオルなどの汗対策の他に、定期的な洗車や毎年のオーバーホールなどでダメージが溜まらないようにしましょう。
ようやく通常のメンテに戻ります
改めてフレームやパーツを洗浄。
クランクシャフトにはキズとサビが!
ヘッドのベアリングを新品に交換。
錆びや水分が入らないようにたっぷりのグリスでガードします。
水分の入り口になる上側は特に厳重に!
トップキャップやスペーサーの隙間にもグリスアップ!
特別仕様です。
チェーンは外して洗浄したうえで、、
超音波洗浄!
見た目は綺麗でも隙間から黒い汚れが染み出てきます!
数回繰り返すと洗浄液はまっくろに!
完成!!
オイルは高性能ながら悪条件に強いワコーズのチェーンルブリキッド エクストリームを使用
究極のヒルクライムカスタムパーツ
ボントレガー XXX Integrated Road Handlebar/Stem
¥71,280
ステム一体の超軽量ハンドル!
重量なんと231g!!
普通は軽量パーツでも
ハンドル190g
ステム90g
合計280g程度ですがそれより50g近くも軽い!!
驚異的な軽さでヒルクライムはもちろん、ハンドルやサドルが軽くなると重心が下がり、コーナリングやダンシングで有利になります!
スギノ BB90 スーパーセラミック
¥20,570
スギノからBB90用のセラミックBBが登場!
約2万円とセラミックとしてはリーズナブルで信頼性もバツグン!!
BBも水分が侵入しないようにグリスで密閉します。
いよいよ完成!!
完全復活!!
このハンドルでこそエモンダらしい!
滑らかな曲線がいかにも軽そうな一体部分
このハンドルもブレンダーシステムでライトやサイコンを取り付け可能!
余計なマウントでの重量増は必要ありません。
バーテープは、、
少しでも軽くしようと一番薄手の物をチョイス。
ヒルクライムに出るならバーテープの重さもバカに出来ません。
アウターワイヤーが削れてしまっていた部分はチューブでガード。
アウターワイヤーは破損部分を排除。ステムが短くなったのでギリギリ長さを確保できました。
インナーは交換ですが、ここにも苦労があって、、
このアウターは軽量な特殊構造で、外から見えるアウター本体(ビーズ)と中を通っているライナー+インナーワイヤーで構成されています。
ライナーも傷んでいるので交換しますが、一般的な物では微妙にサイズが違いビーズの中にライナーが入らない。
細いライナーを使うと今度はインナーワイヤーが入らない、、
結局ビーズを少し加工したり、日泉の細いインナーを使ったり工夫して組み戻しています。
ピカピカになった足周り
スプロケも清掃済み
チェーンは自信作。
チェーンの状態は駆動抵抗に直結する大事な部分。
今回は取り上げていませんがフレームも磨いてあります!
接着剤で固定した箇所。
修復した箇所。
白く見えるのは防水のグリス。
無事にハンドル・BB・ワイヤーを交換し、傷んだ箇所も修復することが出来ました!
今回の費用は約¥140,000
修理費用が約¥13,000程で残りがカスタム費用です。
大掛かりなカスタムと同時の修理だったのでかなり費用を押さえて作業できました。
再び錆びることが無いようたっぷりグリスを使って組み立てましたので、安心してお乗りいただけます。
今回は思いがけず大掛かりな修理になってしまいましたが、ヒルクライムのカスタムや相談も得意なのでお任せください!!
お客様、ヒルクライム頑張ってください!
ワイズロード松山店主催 サイクリングイベント「サンデーライド」
!!毎週日曜開催中!!