最近雨が多いので、防水素材「GORE-TEX®」について深堀りしてみます。
所有GORE-TEX採用ウェア枚数(INFINIUMなども含む)>サイクルジャージ枚数の「GORE-TEX大好きおじ」が解説します。
そもそもGORE-TEX素材とは?
「うひょー!見て見て!流石はGORE-TEX!水を弾く弾く!水玉になって落ちていく!」
…って喜んでいた時期が私にもありました。軽い黒歴史です。
表面で水玉になって落ちていくのは、GORE-TEXの効果そのものではなく、表面のナイロンに施されたDWR(耐久撥水加工)によるものです。
GORE-TEX素材とは、表面のナイロンの内側にある薄いフィルム状のメンブレンと言われるものです。
外からの水や風を通さない性質(防水性・防風性)を持っていながら、中の水分は外に出す(透湿性)性質を持っています。
表面の耐久撥水加工は水に濡れ続けるといつか効果がなくなり、表層のナイロンに水が染みるようになります。
が、GORE-TEXメンブレンにダメージがない限りは水を通しません。
余談ですが、耐久撥水加工はあて布をしてアイロンを当てると多少回復できます。
そんな防水素材GORE-TEXにもいくつか種類(GORE-TEXの中で)があるので、分けて解説します。
GORE-TEX PACLITE®
特性
名前の通り「コンパクトに畳める薄さで軽量な特性」を持った素材です。
レイヤー数でいうと2.5層です。
表地のナイロン(1)、メンブレン(1)、と裏側のメンブレンを守るコーティング(0.5)です。
サイクルウェアでもレインウェアなどの薄物に良く使われています。
安価なGORE-TEXジャケットは大体このPACLITE®です。
Paclite®の裏地
裏地のニットなどの層がないので、コーティングされたメンブレンが剥き出しです。若干ザラつきがあります。
長所・短所
長所
軽い。
薄くて畳めてコンパクトになる。
安い(GORE-TEXで比較的安価なものは大抵PACLITE®)です。
短所
肌触りが良くない。
裏地がないのでメンブレンが傷つきやすい。
GORE-TEX (3-LAYER)
特性
一番オーソドックスな3層構造のGORE-TEXです。
基本的には、DWR加工の施された表面のナイロン(1)、GORE-TEXメンブレン(1)、裏地のライナー(1)の3層で構成されています。
裏地の種類はいくつか存在し「C-KNIT BACKER」や「MICRO GRID BACKER」などがあります。
防水性は高く、裏地にメンブレンが守られているので耐久力も高いです。
また裏地は肌触りの良いニット素材のものが多いので、着心地も良いです。
GORE-TEX ( 3-LAYER)の裏地
目の細かい格子状のナイロンのライナーです。
画像のCASTELLI GAVIA JACKETの場合、袖などの伸縮性の必要な箇所は特殊なTOPO®素材になっています。メンブレンも表地の伸縮性にあわせて伸び縮みできるように特殊な構造になっています。
CASTELLI GAVIA JACKETはもうないですが、現行品だとCASTELLI TEMPESTA JACKETが似たような性能の防水ジャケットです。
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長所・短所
長所
着心地が良い
多少暖かい
耐久力がある
短所
若干重いといえば重い
GORE-TEX SHAKEDRY™
特性
自転車用で最高峰なのは、こちらの素材じゃないでしょうか。
最強の撥水・防水性能を持ち軽量なまさに自転車向きの素材です。
その設計は例えるなら…
零戦
表地のナイロン層を無くしコーティングされたメンブレン剥き出し…防御を完全に捨てています。極限まで機動性と撥水性に特化した設計をしています。
流派でいうと示現流、某人気ゲームでいうととくぼうとすばやさが150でぼうぎょ10みたいな種族値です。
ただ、割り切った性能に私は心惹かれるものがあります。
実際どのぐらいかというと…
このジャケットを着る場合、バックパックなどの擦れるようなものは身につけられません。
※SHAKEDRY™でも一部バックパック背負えるモデルもあるようです…
Shakedry™の裏地
裏地はPaclite®に近いですが、着心地はこっちのほうが好きです。
ただ、自転車用だとレーサー体型向けのハイエンドモデルしかないので、タイトフィットでおじさん体型には厳しいものがあります。
長所・短所
長所
落ちない撥水性
軽量
短所
デリケート
高価
GORE-TEX PRO
特性
GORE-TEX PRO most rugged technology(モスト ラギッド テクノロジー)を採用した最強のGORE-TEXです。
画像のジャケットはArc'teryxの「ALPHA SV」です。
SV(シビア=過酷)な環境用のジャケットです。雪山などに挑戦する冒険家に愛用されるブランドが「過酷な環境」用と設定したジャケットです。最早アーマーに近いです。
雨などのとくぼうに加えてぼうぎょにも優れているジャケットです。
自転車用でGORE-TEX PROを採用しているブランドは知る限りはないです。「意外と柔らかい」みたいな声があるのが信じられないぐらい生地がバチバチに硬いので、自転車用には全く向かなそうなので当然といえば当然です。
GORE-TEX PROの裏地
マイクログリッドバッカーというハイエンドな裏地なので、硬い素材なのに着心地は良いです。
番外編 GORE-TEXのバッグがない理由
初めて着たGORE-TEXのウェアに感動した私はこう考えました。
「これバッグとかもGORE-TEXだったら最強じゃん!」
でもどこを探しても「GORE-TEXのバッグ」なるものは存在しませんでした…
答え:「バッグには透湿性がいらないから」
とにかくバチバチに目止めをして、水の侵入をシャットアウトして中身を守れば良いバッグに必要な防水性と人間が着るウェアに必要な防水・透湿性は異なります。
防水バッグといえばドイツのORTLIEB
MADE IN GERMANYにこだわる防水アイテムに特化したブランド「オルトリーブ」
特にこの4.1リットルの容量でロールトップ式の高い防水構造を備えた「サドルバッグ2」は使いやすくておすすめです。
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最後に
いかがでしたでしょうか。
これを読んで、GORE-TEXについて興味・関心を持っていただければ幸いです。
更にGORE-TEXのウェアが欲しいと思っていただけたら最高です。