手組ホイールという選択
完組ホイールが主流となった昨今。性能も良くなり、精度も上がり、価格も下がって、各メーカーの特色もある。
選択肢の幅も広いので悩みに悩みうれしい悲鳴です。それでも、実は完組ホイールもハブは他社のハブメーカー。スポークも他社のスポークメーカーのものをアッセンブルしていて、餅は餅屋!と言わんばかりのホイールもたくさんあります。
それなら、すべてのパーツを好きなメーカーの物同士で組み合わせて、餅は餅屋で最高の手組ホイールを作りたい‼といったお話が、今回のご依頼でした。とても組むのが楽しみです!!
ハブは8カ月待ったDT SWISS 180
ハブメーカーとしてあまりにも有名なDT SWISSをチョイス。
この180ハブは国内のカタログに載らない完全受注生産。本国からの返事を待って、8か月後に入荷しました。
重量はなんと188g(リア)と94g(フロント)‼お値段も驚きの、、、ペアで税込み¥122,100(販売当時)。
ギリギリまで削ぎ落としたハブフランジを見ればメーカーの努力が垣間見られます。
スポーク数は24H。ディスクブレーキのロードバイクの最初期では考えられないスポーク数です。技術も成熟し、24Hで強度の確保も見込めることが分かったせいか、お客様も24Hをチョイス。
(余談ですが、ディスクブレーキ用の20Hリムが存在します。非現実的で怖い、、、)
ならば24Hのディスクブレーキリムか、、、お客様のご指名はMAVICでした。
リムはOPEN PRO CARBON UST
世界最大のホイールメーカーMAVIC。最新のUST規格を普及させた偉業は記憶に新しいかと思います。
実はMAVICの手組用カーボンリムが販売開始されたのはここ数年の出来事。今までは金属リムのみの販売でした。
リムハイト32mm、重量は約400g。
COSMICじゃないの?と思われるかもしれませんが、お客様のご要望は登れるオールラウンド軽量ホイール。OPEN PROの32mmハイトがドンピシャのはずです。
スポークはもう写真で見えているSAPIM CX-RAY。
64 pcs x 260 mm時で272g。1本で4.25gの計算で軽量。しかも強靭、かつ超エアロです。
スポーク単体で触ってみると本当にペラペラでしなるので、CX-RAYで組む時は毎度「こんなスポークで強度が出るのか」とやきもきするもんですが、完成が近づくにつれて別物の様にパリッと仕上がります。
このCX-RAY。引き合いに出される軽量スポークは数知れませんが、1本単位で注文できるのが最大の強みです。
他のメーカーだと50本単位、或いは100本単位でないと注文できない事が多く、ストレートプルのエアロスポークだとバテッド部分のせいで長さの融通が利かないのも玉に瑕。
CX-RAYは一本税込¥423と割高に思えるかもしれませんが、リペアの時に一本ずつ注文できると考えたら、長い目ではお買い得?
お客様もそんな理由でのチョイスでした。
アルミニップルは怖い?
軽量化のために同じくSAPIMのアルミニップルをチョイスしました。
アルミニップルはガルバニック腐食だ、強度が無いだ、散々な評価ですが、メーカーも何も対策してないわけではありません。
SAPIMはPolyax Nipplesなる技術を用意しています。ニップルの頭をR形状にしてラウンドさせることで、リムとニップルの間でボールジョイントのように機能。スポーク/ニップルラインがまっすぐになるため、スポークを折れ難くしています。
ガルバニック腐食?に関しては、この腐食自体は有名な現象ですが実例はかなり少なく稀です。
敢えてこの腐食の実例を挙げるなら、アルミリムに直接ネジが切られており、リムに直接ニップルがボルトオンされてしまっているホイールです。このケースだと腐食=リムの腐食になるため再起不能です。
今回は専用ニップルも専用スポークも無い独立したパーツチョイスのため、腐食が起きても交換すれば大丈夫!!
安心して組上げていきます。
重量はなんと。。。
実測した際の写真を撮り忘れていたんですが、実測で約1300g!!
ディスクブレーキのホイールは重い、という常識を打ち破るホイールに組みあがりました!!
実際に乗ってみても、加速とダンシングがとにかく気持ちいい、、、。
ディスクブレーキのバイクだから、、、と半分あきらめていた車体の振りの軽さが復活しました。
胸をすくような乗り心地です。
当店ではホイール修理はもちろん、オーダーメイドもお時間を頂戴しますが承っております。
完組ホイールを買ったけど、前だけ軽量化したい!後ろだけ剛性アップしたい!
などなどのご要望にもお応えできますので、お気軽にご相談ください。
府中多摩川店 吉田