〇DEROSA IDOL ¥268,000-+TAX (フレーム価格)
機能ありきのカーボンロードバイクの世界に「美しさ」の要素をもたらした
初代アイドルから数えて3世代目。
(カクカクした2世代目もあれはあれでカッコいいのですが)
T1000&800と価格を考えれば望外に高弾性なカーボン素材を使った
この麗しきカーボンフレームの乗り心地はいかに。
〇まずは見た目。
真っ先に目に入るのは、もはや「アイドルのアイコン」と言ってもいい
緩やかにラウンドしたトップチューブと、そこからスムースにつながる
シートステーへの一連の流れ。
見た目以上に実物は複雑な形状で、カーボンならではの造形美を感じます。
ダウンチューブはいまどきのバイクと考えると少々細め。
プロトスのようにマッチョな太さでもなく、流行のカムテール形状でもないのは、
フレームトータルでのデザインやバランスを優先とした、いったところでしょうか。
グループセットはカンパニョーロのコーラス(とアテナ)、ホイールはユーラスと、
カンパ・フルクラム好きの小西からすると、違和感なく乗れるありがたい仕様。
「デローザはカンパじゃなきゃダメでしょう!」とまでは言うつもりもないですが、
シマノとカンパとスラムのどれが似合うか?と聞かれれば・・・
やっぱり「カンパニョーロ」と答えてしまいますね。
フレームサイズは54.5SL。
いつもサイズが合わずに指をくわえてみていることが多いので・・・
今回はある程度自分のポジションが出せる大き目のサイズが来たことで、
俄然テンションは上がります。
日直商会さん、ありがとうございます。
〇乗ってみての第一印象。
踏み出しがやたら軽く、スルスルと足が回ります。
回りが軽すぎて、自分のイメージよりも早め早めのシフトアップが求められる
そんな感覚です。
低速域ではやや軽めのハンドリングで、慣れるまでは少しヒラヒラした、
ちょっと重心位置が高めな印象を受けました。
〇乗り心地。
高弾性カーボンフレームでホイールがユーラス(カンパ系ホイールは総じて硬め)、
ということを考えれば、「かなり乗り心地は良い」と言っていいでしょう。
乗り心地を売りにした、いわゆるエンデュランス系バイク程ではないにしても、
ギャップで跳ねたり弾かれたりして「うお!」っとなるようなことはなし。
路面からのゴツゴツ・ザラザラした振動も、不快に感じないくらいのレベルまで
いなしてくれる印象です。
〇加速性能。
ここは乗り手によって評価が分かれるところかもしれません。
ケイデンス低め・高トルクでのペダリングで良く進む(そうしないと進まない)
バイクに慣れているので、はじめは同じような乗り方をしていたのですが・・・
今ひとつ思ったように加速していきません。
踏みどころがわからないというか、加速のさせどころがわからないというか。
なので、ちょっと乗り方を変えてみることに。
常に少し軽めのギアを選んでその分ケイデンスを上げるような乗り方をすると・・・
しっかりと加速しました。
ゴリゴリとコぐようなバイクではなく、見た目どおり?エレガントかつスマートに
サクサク回すペダリングを好むようです。
例えるなら。
最近流行の低回転・大トルク型の小排気量ターボエンジンではなく、
回すほど力感が増す高回転NAエンジンであることを求めてくる、
と個人的には納得したのですが・・・わかりにくいですね。
〇登り性能。
今回走ったコースは通勤で使う一般道なので、派手な登りや下りはありません。
いつもダンシングの練習に使う、緩やかに登るオーバーパスでもがいてみたところ。
やはり軽めのギアを回す方が進みます。
横着して重めのギアで切り抜けようとすると、どうしても加速が鈍るので、
シフトダウンを余儀なくされる。
あれ?これって・・・
高回転型でパワーバンドが狭いエンジンを積んだ4輪や2輪のレーシングマシンに
こまめなシフトチェンジで回転数を合わせながら乗ってるみたいな気分です。
これはこれで面白い。
〇下り性能。
このバイクの想定するスピードレンジが30km/h以上なのでしょう。
チョイ乗り程度のスピード(~20km/h)ではやや落ち着きのなさを感じる
ハンドリングが、この辺りの速度域からしっかり感を増していきます。
流麗なフレームワークからすると、ややゴツめなヘッド周り&フォークが
効いているのでしょう。
通勤コースに大した坂はないのですが、35~40km/hくらいの速度でも
体感ではそれより遅く感じるくらい、落ちついたふるまいをみせてくれました。
これは下りが楽しいバイクです。
〇50kmくらい乗ってみての総評。
最近は「トップモデル」とそれに紐づく「ダウングレードモデル」という、
わかりやすいモデルラインナップを構成するメーカーが多い中。
デローザは「IDOL」に「IDOL」としての独自のキャラクターをきちんと
与えてきた印象です。
「PROTOS」の弟分でも「SK」の兄弟でもなく、「IDOL」としての個性。
デローザらしい美しいデザインと、そのイメージにピッタリの乗り心地のよさ。
本気で走ろうとするとそれなりのテクニックを求めてくる乗りこなす面白さ。
どちらで選んでも満足できる、バランスの良いバイクに仕上がっています。
何も考えずに乗っても、誰が乗っても速い!といった類のバイクではありませんが
ウーゴの考える良いバイクとは?を想像しながら乗りこなしていく楽しみは、
「IDOL」に限らず「デローザ」ならではのものなのでしょう。
流石はイタリアンブランド。
なんというか、一筋縄ではいかないですね。