ワイズロード東大和店の高橋です。
昔からTTバイクに憧れはもっていたもののなかなか手を出せずにいました。TREKのSPEED CONCEPTが欲しいですが、そんなお金があるはずもなく。。。
今回棚ぼたでTT用のハンドルとシフターを入手しました。
そして私の所有するARIAは元々BIANCHIのTTバイク「AQUILA CV」のエアロテクノロジーを受け継いだモデルです。
TTバイクの血がARIAには流れている――
ならば!!
ARIAはTTバイクに進化できる筈だ!!
と、血迷った挙句、TTバイク化する事にしました。
ディスクブレーキの車体ですが機械式ディスクでリムブレーキ用のSTIを使用しているため 、便宜上タイトルは「12sリムブレーキの場合」としています。
油圧の場合、今回の内容とは必要なパーツが異なりますのでご注意ください。
カスタム前の状態
ハンドル:CONTROL TECH COUGER CARBON HANDLEBAR 400mm
シフター:SHIMANO ULTEGRA Di2 ST-R8150
ブレーキはEQUALを使っている為、シフターはリムブレーキ用のものです。
認知度が低いですが、リムブレーキ用のDi2レバーは有線です。無線ではありません。
同じカスタムをする場合でも必要になるエレクトリックケーブルの本数が異なる場合がありますのでご注意ください。
必要となったパーツ
今回入手したのはST-R8060の左右セット。
11s世代のものですが、最新のファームウェアにすることで12sでも動かすことが出来ます。
そして一緒にくっついてきたSW-R671-R。こちらは残念ながら使うことが出来ません。
代わりにSW-R9160を使用します。
ハンドルバーとレバー、シフター以外で必要になった物は以下の通りです。
・SM-JC41 内蔵用ジャンクション
今回サッと手に入る物が4ポートのジャンクションだったため後の作業で苦戦しましたがこれから揃える方はおとなしく下記の5ポートの外装ジャンクションにしたほうが吉です。
・EW-SD50 ×3(150mmが1本,300㎜が2本)
・EW-JC130 SS
5ポートのSM-EW90を使う場合はEW-SD50が5本あればOKです。
・EW-AD305
組んでみましょう
まずはファームウェアのアップデート
SM-PCE02を使用しPCとシフターを接続。
ver 3.3.0にアップデートすれば12sで動かすことが出来るようになります。
ダメ元でSW-R671もアップデートしてみましたが、残念ながら....
ファームウェアのアップデートがされていない場合や、互換性のないパーツが混じっている場合、互換性のあるパーツを組み合わせていても動きません。
いざ組付け!ダメです!〇〇が足りません!
アップデートを終えていざ組付け!
っと、ここで問題発生。
ハンドル内部にエレクトリックケーブルを通してそれぞれ接続。
あれ?
チーン。。。。
ダメです!
ポートが足りません!
「なら3つ又ケーブル使ってシフトレバーを左右統合させればいいじゃん。」とベテランスタッフから助言をいただき、
EW-JC130-SSを使って
こんなルーティングになりました。
加えて忘れてはならないのが
EW-AD305
このパーツ。
12sDi2に使われるエレクトリックケーブルはEW-SD300
11s世代に使われるエレクトリックケーブルはEW-SD50
太さも違い、当然ながら互換性はありません。
そこでEW-AD305を介して変換。バッテリーとジャンクションを接続します。
ハンドルの取り付けなどは概ねロードバイクのハンドルと変わらず。DHバーもさして特殊では無いので割愛させていただきます。
バーテープの巻き方もやっぱり特殊
一般的なバーエンドと違い、バーエンド内径とシフトレバーのクランプ径はピッタリ設計。バーテープをハンドルバー内部にねじ込む隙間はありません。
そのためハンドル末端に両面テープを貼り付け、バーテープは予め斜めカットしておきます。
巻き終わりは一般的なバーテープ巻き同様にテープで閉じればOKです。
ちなみに、巻く量がごく少ないのでドロップハンドルに巻いた時のあまりの部分でも足りるくらいです。
今回、同じタイミングでスタッフ遠藤がバーテープ交換をしていたので「残った部分ください!」と頼み込んで端っこをいただきました。
マイナスオフセット可能なエアロシートポスト
このバイクを組んだ時から思っていたのですが、ARIAのシートクランプは前後逆でも取り付けができてしまいそうな形状をしています。
ロードバイクとして乗っていた時には特に極端な前乗りをすることはなかったため、通常の組付け方法で乗り回していましたが、TT化するとポジション的には前乗りになります。
これは。。。
やっていいのか...?
形状的に大丈夫でも設計上対応していなければ応力が加わった際に破損してしまいかねません。
この点をメーカーさんに聞いてみたところ、2つ返事でOKと言われました。
「トライアストンなどをする方向けにDHバーを付けて走行することも想定しています。そうなると前乗りポジションになる方もいるかと思いますが、そういった使い方もできるように逆付け出来るようにしています。」
さすが、AQUILAを礎としているだけのことはある---
ということで違和感120%な見た目になりました。
TT化すれば速くなる?
完成後、山中湖や山伏峠まで行ってきました。
結論から言うと
速くなる
これは間違いないと思います。
もちろん、都市部のようなストップ&スタートを繰り返す場所などではロードバイクの方が速いこともあると思いますが、開けたペダルを回し続けられる場所では圧倒的に速く走れるようになりました。
ただし、
楽にはなってない
というのが正直な感想です。
要因は大きく分けて3つ
・パワーが出にくい
・アップダウンのあるコースは首や腕が疲れる
・重心が前に寄っている
1つ目の出力の低下。
これはまだこのポジションに慣れていないからなのかもしれませんが、明らかにパワーが出しにくくなっています。ドロップハンドルの状態だったときは出力200wで心拍数150bpm前後だったのですが、このハンドルに変えてからは180wで150bpm以上となっています。
出力が低下している分、筋肉の疲労こそ少なく感じるものの、心肺機能は常時追い込んでいるような感覚です。
特に登りではこの出力の低下は致命的で全然スピードが出ません。
ここ最近身体に不調が生じてしまったためそのせいかとも思いましたが、ロードバイクに乗るといつも通りの出力で楽にパワーがでます。不思議ですね。
2つ目は下りにおいてやはり首がかなり疲れる点。
前傾すればするほど首を持ち上げなければいけなくなります。
平地ではさして気になりませんが下りとなるとさすがに辛い。。。
加えてドロップハンドルのように上向きに突起しているパーツが無いため、下りでの前方向への踏ん張りが効きにくいです。より握力が必要になるほか、テクニックもロードバイク以上に必要となってくるため腕も疲れます。
3つ目はやはりロードバイクとTTバイクのジオメトリ(設計)の違いによって生じる重心位置の不自然さです。
詳しくは後程説明を入れますが、ロードバイクをTTバイク化すると重心位置はかなり前になってしまいます。それ故に下りで前方向への踏ん張りが必要になったりしてしまっていたのです。ホンモノのTTバイクならもっと違った感触なのでしょうね。
とはいえ、やはり空力的には圧倒的に優れています。
同じ出力でもスピードがまるで違ってきます。平坦では圧倒的に”楽に””速く”走れます。
まさか52Tのチェーンリングを使っていて「ギアが足りない!!」と感じる日が来るとは思ってもいませんでした。
そして、やはりTTバイクとはアップダウンのあるコース向きでは無いのだな。と身をもって実感しました。
とはいえ、まだなんとなくTTバイクっぽくしました。という状態。
何が正解なのか全く分かっていません。まだ私が全然扱いこなせていないだけ。というのも十分にある話です。そのため「楽にならない」という言い切りの形ではなく「楽にはなっていない」という言い回しにしています。
TTバイクのことなら”お茶の水”!
餅は餅屋。TTバイク・トライアストンバイクならワイズロードお茶の水店です!
ということで行ってきました。
店内に入るといきなりCerveloの試乗車が!
憧れのTREKのSPEED CONCEPTもズラリと並んでいます。
凄ぇ~~...
そして気になっていたTTバイクのあれこれ聞いてきたのですが、さすがにすべて書くと長くなりすぎるため内容を絞ってお届けします。
Q,ロードバイクのハンドル周りをTTハンドル+DHバー。サドルを前に出して前乗りポジションにしたところでTTたり得る?
A,限界はあるが近いものにできるバイクもある。専用設計であるTTバイクが上回るのは言うまでもないけど、最近は手ごろな価格のTTバイクは存在しないから、ロードバイクでトライアスロンに向けのカスタムをすることが多い。
特におすすめなのはCervelo S5にDHバーを付けるパターン。ロードバイクとしても優秀だし、TTバイクに近しいものも持ち合わせている。みんながみんなトライアスロン一筋とはいかないから、そういう人も含め良い選択になると思う。もちろんARIAもコスト面含め全然アリ。
ただ、TTバイクに比べてフロントセンターが短いロードバイクでは重心が前になりすぎてしまうから不安定感は否めない。そこはやっぱり専用設計か否か、違いが出てしまう部分の1つだと思う。
フロントセンターとは画像で示した青色の線の部分の距離。
ロードバイクとTTバイクの違いを考えるうえでジオメトリは勿論確認したつもりでしたが、これは見落としていました。
なんでこんな大事なところを見落としたのだろうと帰り道に考えていたところ、このフロントセンターというものは一般的にジオメトリ表に表記されない部分だったことに気付きました。
一般的にフロントセンターが長くなると直進安定性が高まる反面、機敏な動きはしにくくなります。
今回の場合、問題となっていたのは重心位置ですが、私が感じた下りでの疲労などもこのフロントセンターの影響ではないかと思いました。前重心になってしまうことでよりブレーキングにリソースを割く必要があったこと。また、不慣れなポジションによる緊張。この2つが疲れを生んだのではないかと。
Q,DHバーの形状、たくさんあるけどどれを選べばいいの?
A,そこはBIORACER AEROで実際に乗ってみてかな。
「エアロ??」
初耳フィッティングコースに疑問を抱きつつ、案内されたのはお茶の水店の地下。
そこにあったのはBIORACER STANDARD以上のコースで使用する機械+数多のハンドル(DHバーも)。
お恥ずかしながら私は新米のため、この機械の存在こそ知っていたものの、実際に稼働しているところを見るのは初。
ミリ単位の調整を電子制御で行う様を目の当たりにして「これはロストテクノロジーにしてはダメだ!」と確信。
東大和店では現在諸事情により稼働を停止。BIORACER STANDARDは無期限で中止していますが、これを機に再稼働させたいところ。
皆さま乞うご期待くださいませ。
お茶の水店の皆さま!お忙しい中お邪魔してすみませんでした!ありがとうございました!
ARIA TT化はまだまだ始まったばかり
さて、ようやく動くようになったTT ARIAですが、これはまだスタートライン。
この機体のために着々と新しいパーツを揃え、「買っちゃった(-◡- )ムフ-」を繰り返しています。
散財の秋。
近日中に公開しますのでお楽しみに!