横浜店松野です。
各社ディスクブレーキを採用したロードバイクがドカッと増えてきました。
ディスクブレーキと一緒に採用されている「スルーアクスル」についてちょっと書いてみたいと思います。
スルーアクスルとは!
ホイールとフォーク(フレーム)を固定するための方式の一つです。
従来のロードバイクはフロントはほとんどが「9mmQR」といい、名前の通り外径9mmの中空のシャフトがハブについてます。(リアは10mm)
フレームやフォークのエンド部分に差し込むとシャフトの上に乗っかり、QR(クイックレリーズレバー)で左右からギュッと締め付けて固定されます。
さてスルーアクスルですが
9mm(or 10mm)ではなく、一般的に内径20~10mmの中空シャフトがハブに付いています。
エンド部分が切れ目のない円になっていて、ホイールを取り付けるとエンドがシャフトとピッタリ合わさります。
そこに太いアクスルが貫通して
最後にレバーをギュッと固定。
この固定方法がスルーアクスルの肝なので覚えておいてください!
どうしてディスクブレーキにスルーアクスル?
ディスクブレーキとスルーアクスルはセットです。
なぜなのでしょうか?
剛性が高い
QRは細いシャフトを挟んで固定していますが
スルーアクスルは太いアクスルを差し込んで止めています。
ディスクブレーキはホイールの中心付近を強い力で制動するのでエンド部分に負荷がかかりますし
しかも制動力が左側のみにかかるので捻じれる力が加わりますね。
太くて剛性の高いアクスルの方が捻じれに強いのでディスクブレーキに最適なのです。
固定力が高い
ブレーキをかけた時のフォークエンドへの力のかかり方を考えてみます。
回転しているホイールにブレーキがかかると、キャリパーを中心に回転方向に反力がかかります。
リムブレーキではキャリパーがエンドから見て上の方にあるので
ハブシャフトがフォークエンドを後ろに押すような力がかかります。
ディスクブレーキの場合エンドから見て後ろ向きにキャリパーがあるので
ハブに対して下向きに力がかかります。
リムブレーキに比べると矢印がほぼ真下になっていますね。
QRはブレーキの力に対しては摩擦力で頑張っているのです。
強いブレーキングの際にほんの少し動いてしまい、ブレーキが擦れてしまうこともあります。
でもスルーアクスルの場合エンドは閉じた円形なのでハブが動くことは絶対にありません!!
※一部のメーカーではフォークエンドを下向きではなく斜め前に向けていたりします。
ハブがズレない
構造上、QRの場合はハブ(ホイール)が傾いたまま固定が出来てしまいます。
レバーを締めこむ際に車体が傾いてしまうと例えばこんな風に
タイヤが左に寄っていますね。
上記の通りスルーアクスルはアクスルを貫通させているので
どう頑張ったってこんな風に斜めに固定はできません(笑)
スルーアクスルの種類
「アクスルの太さ」×「エンド幅」で種類がいくつかあります。
アクスルの太さ
MTBではフロントが15mmだったり
ダウンヒルバイクでは20mmもありますね。
MTBほど剛性が必要なく、軽さとのバランスがいいのか
ロードバイクの場合は前後とも12mmが主流です。
エンド幅
ロードではフロントはQRと同じく100mmですが、リアは142mmになります。
余談ですが最近のコンポでクランクのチェーンライン広がったのは
このエンド幅が理由の一つみたいです。
ちなみにMTBの場合はBOOST規格と言って、大きくなったホイールの剛性確保のために幅が広がっています。
フロントは110mmですが
リアは148mmになっており
「スーパーBOOST」という、157mmのDHバイクの規格から派生した幅もあります。
アクスルシャフトの種類
最後に厄介なのが、アクスルシャフトについてです。
実は規格として決まっているのはシャフトの太さだけ!
ネジ部分の長さやピッチ(ネジの粗さ)だとか
シャフトの全長、フレームと当たる部分の形状などなど
フレームやフォークメーカーが好き勝手に作っているので
アクスルシャフトを純正以外に交換する際はご注意ください!