組んだはいいのですが、まだ一ミリも乗れていない我が「RB800(0.8K)」。
現状店の置物に成り下がっています。
ただ経緯はどうあれ、愛車となったことでチポッリーニは気になるブランドの
上位にランクアップ。
来年は萩原真由子選手がチポのチーム(アレ・チポッリーニ)に移籍も決定。
さらに注目ブランドになること間違いなし!
というわけで。
チポッリーニブースの担当奥平に「THE ONE(新型RB1K)」に乗せて!
と言ってみたところ。
・・・ないだと?
話題の新型なのに??
フレームが空路でイタリアを出たのは間違いないのだけれど、
本社に届くのにはあと2~3日かかるとの話。
マジか!
ここで乗せんでどうする!!
と思いながらも、流石は「ハンドメイド・イン・イタリーだなぁ」と
妙に納得してみたり。
というわけで路線変更。
チポッリーニの中核モデル「BOND」に乗ってみました。
〇乗ってみての第一印象。
いい意味で普通。
大ボリュームのBB周りを見る限りとんでもなく剛性が高いバイクに思えますが
漕ぎ出しは重くも軽くもなく・・・特に身構えずにスルっと乗れてしまいます。
「THE ONE」のキービジュアルやPVでも明らかですが・・・
引退後も見事なマッチョ体形を維持してるシニョール・チポッリーニ。
彼の様に恵まれた体格が無くても、このモデルならイケます。
〇加速性能。
これもまた普通。
派手さはないもののジェントルにスピードを上げていきます。
うん、乗りやすい。
まるで自分のバイクかのような振る舞いをみせます。
「こう踏まないと進まない」「進ませ方がわからない」といったクセもなく
若干のルーズさを保ったまま、スルスルと加速していきます。
ただ、スプリンター「チポッリーニ」のイメージありきで乗ってしまうと
もっと暴力的な加速感があっても・・・と思わなくもないのですが。
〇乗り心地。
これもかなり良好。
太く、メリハリが効いたフレーム&フロントフォークの形状からすると、
もっとゴツゴツしていてもおかしくないですが、嫌な振動は感じません。
ハンドリングにも神経質なところはなく、バイク任せでチンタラ流していても
安心感・安定感は抜群です。
今回の試乗コースの最大の難関。
オーバーパスを超えた先、コース横断する雨に濡れた金属性の網(側溝の蓋)にも
これなら自信をもって突っ込めます。
〇総合的に見て
ポジティブな見方をすれば、極めてニュートラル。
ネガティブな見方をすれば、没個性的。
現役時代の派手なジャージを着たスプリンター「スーパーマリオ」ではなく
スーツに身を包んだ今の「マリオ・チポッリーニ」といった感じでしょうか。
もちろん根っこの部分は一緒なのでしょうが
アウトプットの仕方が違うので、なんというかちょっと面食らいます。
それもあって「バイクに何を求めるか」によって評価が大きく上下しそうな
モデルと言えるでしょう。
これはお国柄なのかそれとも伝統なのか、多くのイタリアブランドは
「ひとつのコンセプトを元に価格でグレード分けした階層的なモデル開発」
をするのが苦手に思えます。
逆に「色々なキャラクターを用意しておいたけど、どのタイプが好き?」
と問うようなモデル展開を好んでいるような。
アメリカブランドに代表される多くのメーカーが
「エントリー→ミドル→アッパーミドル→ハイエンド」
(ヴィッツ→カローラ→カリーナ→マークⅡ→クラウン→セルシオ)
とバブル期のトヨタやドイツ車の様なヒエラルキー型・ステップアップ型の
商品ラインナップを作りがちなのに対して
イタリアブランドはいい意味で自由と言うか、系統立てた商品開発ではなく
各モデルの個性にフォーカスを当てたピンポイント型の展開に思われます。
「BOND」には「BOND」の個性が、「RB1K」には「RB1K」の個性が
それぞれに与えられていて「どっちがエライ」という不毛な上下関係よりも
「どっちが好きか」という事を大切にしているように思えてなりません。
これはチポッリーニ自身がロードバイクを「美しい女性」と見ていることも
間違いなく影響しているでしょう!!
そういう意味では「チポッリーニの魅力を万人に知ってもらう」ために
敢えてニュートラルな味付けが個性して与えられたこの「BOND」。
初めてのロードバイクとして、もしくは初めてのカーボンバイクとして
まさにピッタリのセレクトです。
だからと言って、乗り味も「初心者向け」かと言うと案外そうでもなくて
「時速70㎞オーバーで下りをカッ飛んでる時の安定感は抜群!」
と語っていたスタッフもいたくらい、走りのポテンシャル自体は高いので
その点はご安心を。
(今回のコンディションでは安定感ばかり目立ってしまいましたが。)
スーツを着ていても、ジャージを着ていて、チポはやっぱりチポなんだなぁ・・・