チェーンメンテナンスの話をしたい
当ブログをお読みの皆様こんにちは!
新宿クロスバイク館の藤平です
皆様・・・
チェーンオイル塗ってますかぁ~!!
すみません、つい大声を出してしまいました
スポーツサイクルという乗り物はメンテナンスが必須のものですが、正直に言ってしまうと街中で見かける物も、店舗に修理や点検で持ち込まれる物も、自転車イベントやレースの会場で見かける物でさえ適切なチェーンメンテナンスがされている車体は稀です
今回はチェーン注油の重要性の話をしましょう
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そもそもなぜチェーンに油を注すの?
チェーンに注油する目的は潤滑と防錆です
多くのスポーツバイクに採用されている外装変速システムは、構造上車体に対してチェーンが斜めに掛かって動作するので変速の無い物(シングルスピード)に比べ駆動時の負担が大きく潤滑は必須
また、シティサイクルのように駆動系を保護するカバーが無いのでタイヤから飛んだ異物や水でオイルが汚れたり落ちたりしてしまい、手入れを怠ると汚れや錆が発生しやすいんですね。
万が一チェーンを錆させてしまうと凸凹になった金属の表面がヤスリのように他のパーツを削ってしまいますし、強度が落ちて走行中にチェーン切れを起こす可能性が高くなり危険です
錆びてしまったら錆び取り剤などで表面を綺麗にしたとしても強度が元に戻らないので、一発アウトで交換が必要です。(交換費用はグレードによりますが¥6,000~程度)
お手入れの頻度は?
保管環境や使用するオイルの種類によりかなり差はありますが、一般的には走行距離200㎞以内で一回程度です
雨天走行をしたり雨が当たるような保管環境ならばもっと頻繁に(※上記画像は雪中走行後)
タイヤから異物が飛びやすい環境(オフロードなど)での走行をした場合はすぐに清掃と注油をしましょう。
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通常であれば月に一回程度の注油になる方が多いと思いますが、通勤通学など乗る距離が長くなりがちな用途のユーザーならもうちょっと頻繁なメンテナンスがオススメ
慣れてくると駆動音の変化にいち早く気付けるようになり、ある程度注油タイミングが感覚で分かるようになります
どんなオイルを使えば良いの?
色々なメーカーから色々な種類が販売されていますが自転車のチェーン用オイルとして販売されている物であればなんでも大丈夫です。(※いわゆる万能オイルと呼ばれるカテゴリの物に関してはチェーン専用品に比べ専門性が低いためオススメしません)
自転車業界の中でもケミカルに関しては特に「推し」や「信仰」のような概念が強く、お店やスタッフによってオススメされる物が変わりやすいですが私の経験から言うのであれば適切な注油状態を保てばどんな物でも確実に効果があります。
逆に言えばどんなに高性能なオイルを使っても注油のやり方が間違っていると性能を発揮しないどころか、駆動系の寿命を縮めてしまう事さえあります。
もちろん使用するコンディション別で使い分けたり出来れば理想的ですが、一般的な使い方であれば一本のチェーンオイルを使い切るのにかなり時間が掛かるので複数の種類を所持する必要性がありません
まぁそんな事言っている私の家にはチェーンオイルのボトルが沢山並んでいるのですが(笑)
オイルの種類については紹介すると長くなってしまうので今回の記事では割愛します
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ちなみに当店で在庫してるのはVerityです
スプレータイプもスポイトタイプもあります
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注油の前にまず清掃
「適切な注油状態」とはただ油まみれにすれば良いというわけではありません
シャンプーとコンディショナーのようにまず汚れを落としてからお手入れをするというのがとても重要です
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よくある失敗の例が清掃せず注油のみをしていて、駆動系が真っ黒になってしまっている物
オイルの中に砂などの異物や駆動に伴って出た金属粉などの粒子が混じり、その粒子がチェーンや歯車を攻撃してしまっているパターンです
せっかく注油をしているのにパーツの寿命を縮めてしまっておりとても勿体ないですし、ズボンの裾や車体が真っ黒になったりするので使用していても不快感があります
リムブレーキ車の場合制動面にオイルが飛び散り後輪のブレーキに影響してしまっている事も少なくありません
走行する距離が長いユーザーほどやらかす事が多いパターンで、ほとんどの場合お店に持ってこられた時にはパーツが手遅れになっています。
最近は清掃用のケミカルも性能の良い物が多いので手間を掛ければちゃんと綺麗に出来ますが、真っ黒のペーストが視認出来るレベルまで汚れている物を個人でピカピカにするのは結構な労力なのでプロの洗車業者に依頼するのも一つの手段だと思います。
経験上真っ黒になった物を綺麗にするよりも、綺麗な状態を維持する方が労力が少なく快適に使用出来ます。
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汚れを避けるアプローチで重要なのはチェーン表面の拭き取り
余分なオイルは汚れ付着の原因になるので適宜拭き取る必要があります。
特にスプレー式の物は表面に付着する量が多いのでこのプロセスが重要になります
チェーンのコマ内部に残るオイルだけで十分に効果を発揮するので、表面はしっかりと拭いておきましょう
この時点で拭き取りがしっかりと出来ている場合通常の使用で大きく汚れる事は無いので、洗浄剤を使った清掃は注油5~6回に一度程度でも問題ありません。(※目視確認して判断)
走行に伴い振動や遠心力で汚れたオイルがチェーンから滲み出てくるので、注油直後だけでなくある程度の距離を走ったら拭き取りをしましょう。
こちらは当店の試乗車
店内保管かつ晴れた日しか走っていないので注油メンテナンスの頻度は低めで良いとはいえちょっと放置気味でしたね
積算走行距離160㎞ほど走っていました
黒ずみが出始めています
オイルの状態が悪くなっていなければ拭いただけでも表面は割と綺麗になりますが、凹んでいる場所や内側は綺麗にならないので定期的にケミカルを使った清掃はしましょう(※画像は拭き取りのみの状態)
ちょっとコストは掛かりますがマイクロファイバータオルを使用すると拭き残しが少なく綺麗な仕上がりになります。(※吸水性の悪い物だと汚れを塗り広げるだけでいくら拭いてもあまり綺麗になりません)
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いざ注油!
最初に自転車の変速を一番重い組み合わせ(アウタートップ)にします
チェーンと歯車を目視確認し、黒ずみなど汚れが強いようなら洗浄剤を使って清掃(※清掃後は乾燥時間が必要です)
あまり汚れていないなら表面を拭き取ってからそのまま注油します
万が一茶色く錆びているようならチェーンの交換が必要です。
スポイト式のオイルは変速機をガイドにしながらチェーンに垂らして注油
スプレー式の場合は当て布などで周辺に飛び散らないようにしながら少しずつ注油をします
どちらの場合でもブレーキ面に付着しないように気を付けましょう
つい「いっぱい注油すれば良いよね!」と思ってしまいがちですが、注油する量が多ければ効果が強く発揮されるわけではありません
多く注しても余分なオイルは後で拭き取るのでもったいないです
変速機のプーリー回転軸にも少し注油をします
走行中に髪の毛や紐などの異物を巻き込みやすい箇所なので目視点検も兼ねて
何か巻き込んでいるようなら除去しましょう。
チェーン一周に注油したら拭き取り
ドライ系のオイルなら6時間~程度の被膜乾燥時間を置いてからの方が効果的(※乾燥時間は使用する物により異なりますので説明書を確認しましょう)
ウェット系ならすぐに拭き取ってしまっても問題有りません。
マイクロファイバータオルでチェーンを軽く下向きに引きながらクランクを後ろ向きに回転
変速機のプーリーやクランク、チェーンリング周辺も汚れが溜まりやすいのでついでに拭き取りましょう
画像ではしていないですが、ゴム手袋などで手を汚さないようにするのも良いと思います
目指すのは70点以上の出来具合
最初から100点満点を目指すのは難しく、ちゃんと出来ないとやる気をなくしてしまう事でしょう
実際私も昔は駆動系を真っ黒にしていましたし、今でも常に100%の出来で乗れている訳ではありません(上記画像が普段私が使っている時の状態。少し汚れが出始めていて感覚的には75%くらいの状態)
まずは7割程度の完成度で回数をこなし、少しずつクオリティを上げていけば妥協点が高くなるので七割でも十分に綺麗な状態を保てるようになります。
例えば私の今の妥協点は「パーツの元の色がちゃんと見える」という事
シルバーのチェーンや歯車ならばしっかりとシルバーのままであるというのが最低限のラインです(こちらの画像は注油後130㎞ほど走行したもの)
こちらはNG状態の画像
オフロード走行の場合ドライコンディションでも一時間ほどでこうなってしまいます
砂が歯車を削るので寿命がマッハです
元が黒いバーツだとついサボってしまいがちですが、一度汚れが溜まると落とすのが大変なので頑張りましょう。
手間に対するリターンはちゃんとある
チェーンメンテナンスを正しく行っていればオイルの性能をしっかりと発揮出来るので駆動抵抗は少なく軽快で静かな乗り心地に
車体や服などに汚れもつきにくくなりますし、駆動系の寿命にもかなり好影響
パーツの異常にも気づきやすくなるので出先でのメカトラブル率も下がります。
自分で手を掛ければ愛着が沸いて他の部分のメンテナンスも考えるようになったりしますし、何より駆動系が綺麗な自転車はカッコいい!
「自転車のメンテナンスはお店に任せるものだ」という考え方も間違いではないのですが、こういった日常のメンテナンスはどうしても必要です
皆様のご自身の自転車を確認してみましょう!