こんにちは。二子玉川店の旅好きスタッフ長山です。
先月、秋田県へ輪行ツーリングに行って来ましたので、
レポートをお届け致します。
雪国のサイクリングは2014年以来、4年振り。
すっかりサボっていましたが、今回は理由があり、
どうしても自転車で行きたいと思いました。
レポートその1では、その経緯について書きますので、
ライドのみ関心のある方は読み飛ばしてレポートその2をお待ち下さい。
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私が秋田へ足繁く行くようになったのは、
父方の、大正時代以前の先祖の足跡が大館市と阿仁町(現・北秋田市)にあり、
ふとしたきっかけから、それを探訪してみたいと思ったからでした。
東京で生まれ育った私は、当時、秋田県には行ったことが無く、
秋田のことは何も知りませんでした。
2004年、今は無き寝台特急あけぼので初めて秋田県入り、
約83km走り、当時もっとも手がかりの多かった
阿仁町の阿仁合にたどり着いたのが18時過ぎでした。
(2004年4月26日)
たどり着いた感傷に浸り、しみじみ探索したり、写真を撮ったりしていたら、
町の店が一斉に閉まり始めました。
ハッと気づき、時計を見たら19時を回っていました。
田舎町の夜は早い、ということを、すっかり忘れていたのでした。
実は、この時の旅はテント携行の無宿者。
コンビニも無い山中の静かな町、食料はほとんど携行しておらず、
いきなり食料難民になってしまいました。
野宿装備積載で峠越え含む83kmの走行後とあれば、腹はペコペコ。
途方に暮れながら町を行くと、一件だけ、まだ明かりの漏れる、
シャッターの閉まっていない商店がありました。
恐る恐る入ると、商店のおかみさんが「はい、いらっしゃい!」
と元気に出てきました。
来訪時間と風貌から、何か訳ありの人だな、という視線を感じたので、
ここに至った事情を話すと、まず、テキパキと役場の方に電話して、
テントを張れる場所の確認をして下さいました。
初来店で、しかもまだお客さんにもなっていないのに、
親身な応対をして頂き、感謝感激。
更には、湯を沸かして、カップめんを用意して下さいました。
湯を入れてふたを閉じる重しとして出してきたのが、
そろばん、というのが、ますます泣かせました。
めんをすする間、町の歴史などいろんなことを話して下さり、
「ドラマよドラマ。人間、みんなドラマがあるのヨォ!」
と、ノリノリでドラマを連発するのが、それに憧れる純粋な少女のようで、
大変微笑ましく思いました。
このおかみさんが、秋田県で知り合いとなった、初めての方でした。
以来、1~2年に1回の頻度で秋田県を旅する時は、
極力、ここを訪ねるようになりました。
商店のご主人も一緒になって「よぐ来だなぁ」と、優しく迎えてくれました。
田舎の親戚を訪ねていくような親近感がありました。
(2009年1月15日)
このことは、大正時代以前の先祖の古い足跡だけ、という
心もとない手がかりだけでスタートした
秋田探訪の、大きな心の支えとなりました。
そのおかみさんが、昨年、亡くなられていたことを、たまたま知りました。
昨年の2月に旅行で訪ねた時、おかみさんは「ちょっと疲れた」ということで
入院されていて、会えませんでした。
今年も2月に秋田行きを検討しており、そこで会えるかな、
と期待していた矢先の訃報だったので、大変、がっかりし、泣きました。
そして、一気に行く決心が付きました。
手元に、おかみさんが写った写真が何枚かあるので、
それをプリントして、ご主人に届けようと思いました。
冬の秋田に行くのは、2008年、2009年、2013年、2014年、2017年、
に続き、今回が6回目。
雪と寒さ厳しいこの時期に行く頻度が高いのは、
仕事的に閑散期で休みが取りやすい、
というのが発端ですが、雪の秋田というのが実に味わい深く、
魅せられたからでもありました。
ただ、2017年は自転車抜きでした。
雪ライドは、現地の足として便利なだけでなく、
それそのものの面白さも魅力ですが、防寒装備を含めた重いバッグを
背負いながら、平時と段違いの走行抵抗やバランス取りと向き合います。
時には吹雪いたり、強風と闘ったりもします。
そういったタフな面が多分にあることから、
けっこう気力が充実していないと、出かける腰が上がりません。
それで、2014年以来、ご無沙汰していました。
でも、今回は絶対に自転車で行こう、と思いました。
自転車で旅することで出会ったご縁、
愛車と共に訪ねたかったですし、訪ねる前に走って、
心の準備をしたかったのです。
走り抜きでいきなり訪ねたら、気持ちの整理が付きづらいと思いました。
走りに選んだコースは、阿仁合駅の一つ隣、荒瀬駅から
森吉山の中腹、阿仁スキー場までの約12km、
ゆるやかなヒルクライムコース。
2008年、初めての冬の秋田で、ヒルクライムしたコースでした。
(2008年2月15日)
山の方へ突っ込むのは、私が坂好きだからですが、
今回は別に理由がありました。
羽黒山伏の本を読んでの受け売りですが、
「さくら」は、さ:田の神、くら:神様のおわす場所・神様をお迎えする坐、
の意で、春に田んぼが始まる前にさくらが咲くのは、
山からさくらの木に神様が降りてくるからだと言うのです。
そして、人は、亡くなると、三十三回忌までは里に近い山にいて、
それを過ぎると、奥山に行って神様になる。
と、書かれていました。
(2014年4月29日、阿仁合の桜)
感覚的に違和感のない、腑に落ちる捉え方でした。
それが本当かどうかは人間にはわかりっこありませんが、
なんとなく、そんな気もするな、と共感しました。
それなら、山の方へ行ったら、故人にご挨拶出来るかな、
そんなことを考え、阿仁のシンボル、森吉山方向へ向かう
このコースを選びました。
すっかり前置きが長くなってしまいましたが、自転車での旅路は
「体の運動だけでなく、心の運動でもある」
ということの一例をご紹介してみたく、書いてみました。
次回は、実走レポートをお届けします。
その2へつづく
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