ワイズロード東大和店の高橋です。
巷で話題のJTEKTの「鬼ベアリング」を搭載したホイールが東大和店にやってきたので、試乗してきました。
今回お借りしたのはノーマル状態のMAVIC KSYRIUM SLと鬼ベアリングを搭載したCOSMIC SLR 32。
理系の私は何かを比較する際はできる限り条件を合わせたいタイプです。
特にサイクルスポーツは風の影響を大きく受けるため、その条件に差異が生じては正確なレビューは非常に困難です。
そのため、この10年に1度と言われる寒波が押し寄せ雪が降る真夜中に、多摩サイを2往復するなんとも頭の悪いことをしてきました。
「ネットでは情報が飛び交っていて、数値上はよく回るみたいだけど実際どうなの?」というところ。
空転性能だけ高めたいのであればシールレスベアリングを使用して、グリスをギリギリまで抜けば良いのですが、もちろんそれでは実際に応力が掛かった瞬間にその性能は破綻します。
今回はパワーメーターを使用し、どう変化したのかを数値として見ることもできましたので忖度なしのレビューをしていきたいと思います!
鬼ベアリングの詳細に関しては下記のブログで記事にしていますので、ご参照ください。
話題の【鬼ベアリング】開発者に質問をぶつけてみた!! 緻密な内部設計とは!?
回転性能『鬼』ヤバい!究極のセラミックベアリング『鬼ベアリング』
検証方法
時間を開けてしまうと風向きが変わってしまうため、テストは連続して行います。
場所は多摩川サイクリングロード、通称「多摩サイ」。下りは平均パワーは180wを意識し、上りは平均速度25km/hを目標に設定します。
多摩サイまでは10kmほど走りますが、街中では信号や車の挙動などによって正確なデータが録れないため、その区間はウォーミングアップ程度に感覚を確かめながら走行します。
1回目でノーマルベアリングのキシリウム。
2回目で鬼ベアリングのコスミックをテストしました。
検証結果
結論から言うと、間違いなく楽に・速くなります。
走り出す前、家から道路までの数メートルを押して歩くだけでもその滑らかさを体感することができ、そしてその滑らかさが実際の走行中にも発揮されます。
ただ、どんなに御託を並べたところで「そんなの知ってるよ」という話ですよね。
長い前置きはナシにしてデータを見ていきましょう。
MAVIC KSRYUM SL ノーマルベアリング
MAVIC COSMIC SLR 鬼ベアリング
ラップ2が多摩サイ下り。
追い風、下り基調。
平均パワー180wを意識。
ラップ3が多摩サイ上り。
向かい風、上り基調。
平均速度25km/hを意識。
安定したデータが録れたラップ3のデータを挙げると
ノーマル:24.6km/h=186w
oni:24.8km/h=173w
ノーマルと比較して10w以上の削減効果が得られました。
コースや服装・ポジションなど、揃えられる条件は揃えていますが環境は刻一刻と変化しています。完全に同条件とは言い難いかもしれませんが、それでもここまでの大きな差として現れるのは鬼ベアリングあってこそです。
ライド全体を見ても、同じワット数で平均速度には差異が生じています。
ストップ&スタートの回数や車の通りなどに違いがあるため、条件は変わってしまいますがすべてのデータで鬼ベアリング優性です。
このアップチャージは誰のため?
違いを体感して、数値でも十分な効果があることを証明しました。
しかし価格は12万円。決して安いとは言い難い価格設定です。何せKSYRIUM SL DISC本体よりも高いのですから...。安易に「いかがですか?」とは言えない金額です。
ではこの鬼ベアリング、一体誰にオススメできるのか。それはズバリ、
MAVICのホイールの乗り心地を気に入っている人です。
ホイールの選択とは難しいもので、高価なものが必ず合うとは限りません。
脚力に自信がない人や、ゆったり走るのが好きな人にレーシングモデルの高剛性ホイールは合わないことが多いですし、フレームとの相性もあります。場合によってはバイク全体のバランスを破綻させてしまう可能性も孕んでいます。
安易に別のホイールに手を伸ばすよりも、好きな乗り心地はそのままに回転性能だけを超絶グレードアップさせたほうが有効かもしれません。
2月3日より今度はワイズロード神戸店にて体験イベントが開催されます。関西圏の方、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?