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【石川ライドインプレ】チューブレスタイヤAGILEST【アジリスト】と新ETRTOについて

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上野アサゾー店】石川 康輔 23年02月05日

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個別にタイヤのインプレをしてみようと思います。今回は発売した春頃から半年ほど使ったPANARACER AGILESTのTLRタイヤをインプレッションしていきます!

新時代のロードタイヤ

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このAGILESTが登場して世の中で何かが変わりました。それはETRTOというタイヤの規格が新しく改定されたという事が日本のサイクリストの間で知られるきっかけになったという所です。

それにまつわる小ネタで

インプレに入る前に認識を共有しておきたいのでお話しさせてください。

それまではずっと古い規格のままだったため、ロードタイヤの場合ほとんどがリム幅15mmの時にどのぐらいのタイヤサイズになるという規格でタイヤが作られていました。その為、25cタイヤを使っている人でも実質27mmや28mm以上のタイヤを履いていることになっていたという事もあります。もっと言うと23c時代でも新しいホイールを買っていた人はすでに25mm近いタイヤの太さになっちゃっていたので知らず知らずワイドなタイヤを皆さん使っていたんですよ!

新ETRTO規格

パナレーサーさんが展開している表になりますが、AGILESTは以下の通りに設計が改定されています。

例えばこれまでも旧規格の25cタイヤを使っていた方がそのホイールに25cのアジリストタイヤを入れると基本的に細くなります。例えば内幅19mmというホイールが今は一般的なのでそれで考えると、旧ETRTOの25cタイヤを入れるとタイヤの太さが大体27mmぐらいになります。そうすると、近似値で考えると新ETRTOでは25cよりも28cタイヤの方が近いサイズとなるのでタイヤ選びの難しい所です。

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という前提のお話をしたところでインプレッションの話になります。

AGILEST28cと30c

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というわけで春頃同時期に30cと28cのAGILESTを使い始めたのでサイズによる差の話とタイヤのオイシイ期間やそれに伴う耐パンク性能など話していきます。

まずはAGILESTのTLRモデル全体としての印象

一番に感じるのはグリップ感としなやかさ(薄さ)です。これはパナレーサーのコンパウンドの特性なのかベタっとへばりつく感じのある独特のフィーリングです。それに合わせて比較的薄いので路面への追従性下りやコーナーでの安定感がすごくありました。

ベタっとするから走りが重いのかと言われるとそういうことはなく、タイヤの薄さもあってタイヤの変形ロスみたいなものが少ない事もあり平地の巡行はかなりスムーズな印象。これが数多のタイヤの中でトップレベルかと言われるとそこまでではないものの、タイヤの軽さとコーナーの安定感も総合的に考えてレースでも戦えるレベルにはなっていると、グルメライダー目線ではありますが感じました。

薄いタイヤはこれ以外にもいろいろありますが、プロテクションのない薄くしなやかなタイヤの中で比べると非常にパンクに強いタイヤではないでしょうか。

薄さによるものなのかデメリットとしてはやや空気が漏れやすい印象はあります。とはいえ数日単位で何となく空気圧が下がりやすいというぐらいで、ラテックスチューブのように1日の間にどんどん抜けるというレベルの話ではありません。

施工のコツとしてはラテックス系のシーラントで最初は多めに入れて、できれば家の周りをそのまま走って全体になじませてから余分に入れた量を注射器等で抜くといいと思います。エア保持に関してはどちらかというとシーラント頼りな感じはありました。シーラントの種類でこの辺は印象変わりそうです。

サイズによる違い

使ったのは28cと30cをそれぞれC19リムとC21リムにつけて表記ピッタリサイズで使いました。

まずは28cから

まずは28cの印象ですが、旧ETRTOでいう25cの様な使い心地で走り出しの軽さや転がりのスムーズさを感じるタイヤです。私の基準で行くと乗り心地は多少犠牲にして軽さを重視するレース向きのタイヤという位置づけになります。新ETRTOの25cは別のタイヤで以前試しましたが、23cタイヤを使っているようなリムにダイレクトに振動が伝わるような走りの硬さが気になり私の中でミニマムサイズで新ETRTOの28cが確定した瞬間でした。

AGILESTはグリップ面が少し広めにとられているので旧ETRTOのタイヤと比較してもコーナーへの侵入が安定している感じでバンピーな路面のダウンヒルなどでもかなり安定して下れました。

250gという重量は中々軽量でこのぐらいになってようやくクリンチャータイヤに肉薄する重量面の軽さになります。軽い事を第一に考えている方はこのタイヤ一択ぐらいにこの重量は魅力的だと思います。走りにもその軽さは現れているので私もヒルクライムシーズンは次回もこれにすると思います。

続いて30cタイヤのインプレッションです

これが私の中で30cが普通に使えるサイズなんだと認識を改める切っ掛けになったタイヤです。30cの時代が来たなと確信を得られた理由とその裏付けとして、先ほどの新旧ETRTOのお話になります。

まずはフィーリングとしてはベタっと張り付くようなコーナリングがより顕著に感じられ普通の舗装路であれば多少荒れていようが関係なくスムーズに走れる安定感が最大の特徴です。重量的にも270gと30cというサイズからは考えられない軽さになります。

タイヤをそれぞれ見比べてみた時にどこの寸法が変わっているのかを観察したときにグリップ面が3mm程広くなりタイヤのサイド部分はほんのわずかに変わっただけという寸法の違いがあります。

普段の巡航速度に関しては差を感じない優秀なフィーリングで、ネガティブな面は20gという重量差と生地量の多さからくる走り出しの重さがわずかに感じられます。速く走るという目的であれば悪路がメインのコースでない限り28cタイヤがバランスとしては良いという判断です。

ですが、速さ以外の安定感クッション性などライダーが疲れない為の要素としては全て30cが上回っているというのが、私の中で30c最高!という感情が芽生えた理由でもあります。

有名な峠などに走りに行くことが多い方はアスファルトがひび割れてバイクがブルブルと震えるような経験ありませんか?25cも28cもパワーロスの少なさからそういった路面からの影響をもろに受けてしまう為脳が揺さぶられるような事もある事でしょう。

所が30cというサイズ感になると空気圧も4barぐらいで走る事になる為路面ひび割れも感じはするものの気にならないようになってくる絶妙なサイズ感です。

ここからが大事な所で新旧ETRTOのマジック

C21のリムに旧28cを入れると31mmぐらいになったと記憶しているので(実測したのがかなり前なのでたぶん)むしろ旧28cを使っていて気に入っているようでしたら新30cタイヤがベストサイズという感覚の方も多いと思います。

そうなんです。実は旧28cユーザーは30cはある意味すでに使っているサイズだったという怖い話でした。それはしっくりくるよねって話です。

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外幅28mmのSCOPEホイールに取付するとこんな感じです。おさまりがよく剛性の高いホイールとクッション性の高いタイヤサイズとがベストマッチだと思います。心なしか以前つけていた旧28cタイヤよりもスッキリした見た目に見えますね。

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ここから先はネガティブに感じるかもしれない話

誰にとっても聞きたいいい話をメインでここまではしてきましたが、このタイヤはレーシングなモデルという事が前提となっている為、寿命という事に関してはかなりシビアだと思います。

まずは一般的にレース向けのソフトなコンパウンドを採用しているタイヤがどのぐらいその性能を維持するのか私なりの見解を踏まえて話します。

過去のタイヤ紹介記事でも書かせていただきましたが

寿命というのは

【運が悪ければパンクする】—-/—-【運良ければパンクしない】

の境界を指します。

一度パンクしたタイヤは当然すでにパンクしているので寿命という観点では天寿を全うしていますが、運良ければパンクしないという状態は永続するのでその状態になったタイヤをどの程度まで延命させるかは運次第ですね。

対して、鮮度の良いしっかりとしたタイヤはパンク自体は例えば未舗装の道を走ったとしても運悪く釘のようなものを踏んだりしない限りは中々パンクしません。

鮮度が落ちているかどうかの見極めは非常に難しいのですが、例えば洗車しているとタイヤにわずかにしわが寄っていたり、何かを踏んでできた貫通する手前の穴があるなど不安を感じる状態になったら”境界”に差し掛かっている状態だと思っていいと思います。


 

というのが私なりのタイヤ寿命の基準です。

まだ走れるというもったいないを基準にすると、タイヤが裂けてタクシーで帰宅なんて事になればその時点で赤字です。

運よく輪行バッグを持っていて運よく駅が近くにあって鉄道で帰宅できたとしても、機会損失という面でタイヤの整備を怠ってしまったことでその日一日がつぶれると考えると片側1万円早めに出しておきましょう。

話は少しそれましたが、タイヤの劣化にも段階があります。

1,新品状態-保護剤などが塗られており長期間の保管を想定した状態。表面に油やワックスが多く付着している為性能は不完全

2,10km~100km-馴染み出しをしている段階。エア漏れが無くてもシーラントの馴染みやタイヤとリムの馴染みを出すために少し走った方がいいです。

3,500kmぐらい-おそらくインプレッションをするベストなコンディションがこの辺り。馴染みが出て油の抜けも適度でケーシングや全体の伸びも少なく例えばリムテープやシーラントなどの劣化もまだまだという状態。

4,1000kmから寿命ライン(1500km-3000km)-劣化との闘い。これが長いモデルは寿命が長いといえる。

これを踏まえてAGILESTは寿命は短いと思います。へばり付くようなしなやかなタイヤという点が走行距離的な寿命を縮めています。更には時間的な寿命も特別長くはないと思います。グリップが良いですから。

今回私は1000kmぐらいしか走っていない為実際に何キロぐらいがリミットなのかは把握していません。。28と302セット同時進行だったのでその前に半年経過してしまったので交換しちゃいました。

半年経過したタイミングでたまたま30cの方がパンクしました。たぶん何か鋭利なものを踏んだ感じの穴ですね。丁度私の中ではレース系タイヤの時間的な寿命を3-6カ月と勝手に見積もっているのですが、レース系なのでレース本番でノーパンク完走が自信もってできる期間がそのぐらいという認識です。

上の「運が良ければパンクしない」という状態までが比較的早く訪れるという評価です。

そもそもレース系のタイヤなのでたくさん走る人が使うという事もあり時間的な寿命は気にしなくてもいいかもしれませんが、ホビーユースで月MAX500kmぐらいしか乗らない私の様なライダーが使う場合は少し気にした方が良い期間だと思います。

というわけで総評です

これまでのタイヤサイズとは違う新ETRTO規格で作られたタイヤなのでまずはどのサイズを買うべきなのかを明確にしたほうがいいです。そのうえでベストなサイズに行き着いた場合に、グリップ、クッション性、反応性の速さが非常に優秀です。高速巡行性能に関しても欧州ブランドに引けを取らない高いレベルにあります。

フィッティング性に関しては特に問題はないと思いますが、薄さの為か比較的空気の抜けは早い印象。とは言え一日のうちに影響が出るレベルではないので問題というほどではないと思います。気になる方はシーラントの方で工夫をすれば解決する話です。

耐パンク性能はタイヤの鮮度が高いうちは砂利道でもなんでも走れるしっかりとした弾力とプロテクションもあってかなり安心して使えるタイヤです。ですが、ソフトなゴムと薄手なタイヤもあって時間と距離によって大きくプロテクション性能は落ちてしまう印象。タイヤのコンディションがいいうちに使い切る実走派の人とか摩耗する前に変えちゃうという方は問題ないと思います。いい状態のままで使いたいのであれば最長5-6カ月ぐらいが目安かなと思います。

価格は1万円を超えないタイヤの中でもクオリティは非常に高く価格面では他のどのタイヤと比較しても優秀ですね。

私は新しい商品が出ると試したくなるので次にいつ使うかはわかりませんが、ヒルクライムシーズンになって超軽いタイヤがその時に出ていなければ再び使うと思います。

そんな感じのインプレ?となります。タイヤを使っていたのは半年ほど前になるので頭の中で色々とイメージを整理しての最終的な判断になります。次に使うとまた新しいタイヤを使っている経験から別の発見があるかもしれませんが、大きくは変わらない感想になると読み返してみても思います。

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