初心者の方から非常に多いのがチューブのサイズについてのご質問です。自分の自転車のタイヤのサイズがよく分からない方や、タイヤのサイズは分かるけどお店に行ってみたら種類がたくさんあってどれが合うのか分からないという方もいらっしゃると思います。
そこで今回はタイヤのサイズの確認方法やチューブの選び方についてお話していきます。
タイヤのサイズはどうやって確認する?
まずは自分の自転車のタイヤを見てみましょう。よく見るとタイヤにはいろんなことが書いてあります。
こうやって印刷してくれていると分かりやすくて助かりますね。このロードバイクのタイヤは大きさが700㎜ほど、横幅が25㎜ほどです。
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こちらのマウンテンバイクのタイヤは大きさが29インチ、横幅が2.40インチです。
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印刷してくれていると見つけやすいですが、多くのメーカーはこんな風に刻印になっています。これは注意して見ないと気付きにくいですね。しかもズラズラといろんな数字が書いてあることが多いです。
何だかややこしそうに見えますが、実は同じことが違う単位で何回も繰り返し書いてあるだけです。自転車の部品は世界中で販売されているので、どこの国の人でも分かりやすいように大事な情報はいろんな国で使われている単位で併記してあります。このタイヤの場合、インチ表記にすると大きさが28インチで横幅が1.35インチ、ミリ表記にすると大きさが700㎜で横幅が35㎜、という意味になります。
チューブのサイズを確認しよう
次はチューブのサイズの選び方です。チューブの箱にもタイヤと同様にいろんな単位で対応サイズが書いてあるので、タイヤのサイズを調べた時に書いてあった数字を参考に探します。
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チューブは【大きさが〇mmで横幅が〇mm~〇mmまで対応】という感じでサイズが書いてあります。このチューブだと、大きさは700Cで幅18㎜から28㎜までのタイヤに対応しています。自分のタイヤのサイズがチューブの対応範囲に含まれているものを選びましょう。
バルブの長さにも注意!
こちらの2つのチューブ、対応しているタイヤのサイズは同じですが、よく見ると違うところがあります。
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正解はバルブの長さの違いです。左はバルブの首の長さが42mm、右は60㎜です。
自転車の車輪はリムというタイヤが嵌る部分の背の高さが違います。ほとんどの自転車は25㎜前後の高さですが、車種によっては30㎜以上の背が高いものもあります。ここの背が高い場合はチューブも首が長いものが必要です。
大まかな目安としては、リムの背の高さ+1.5㎝ぐらいの長さは最低限必要です。たいていの自転車は4~5㎝ほどの長さのものを選んでおけば大丈夫ですが、迷ったら長い方を選ぶ方が良いです。短すぎてバルブの先があまり出ていないと、うまく空気が入れられなくなってしまいます。
折りたたみ自転車やミニベロは特に注意が必要
ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイクは比較的間違えにくいですが、注意が必要なのが折りたたみ自転車やミニベロなど車輪が小さい小径車と言われる自転車です。
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こちらのタイヤはどちらも20インチのタイヤですが大きさが違います。タイヤの太さが違うとかいうことではなく、直径が全く違います。
ブログの過去画像にちょうど良いのがありました。左側が406規格の20インチ、右側が451規格の20インチのホイールです。車輪自体の大きさがこんなに違いますが、どちらも20インチです。他にも14・16インチなどほとんどのインチ数で複数の規格があって、それぞれ使えるタイヤ・チューブのサイズが異なります。
国によってサイズの測り方や部品の製造ルールが違うのが原因で、クルマ業界ではこういう問題をなくすために国際的に統一されたルールがありますが、自転車業界はそうしたルール作りが遅れており、こう言ったややこしい問題があちこちに残っています。
いちばん正確な数字はETRTO
この問題に対して考案されたのがETRTO(エトルト)です。ETRTOは車輪のタイヤが嵌り込む部分の直径を測った数字で、取り付け部分の大きさが書いてあるので、その数字を参考にタイヤやチューブを選ぶのがいちばん失敗しにくいです。20インチのタイヤで406や451と言っていた規格もこのETRTOのことです。
こちらのタイヤは「32-406」と書いてありますが、タイヤが嵌る部分の大きさが406㎜でタイヤの横幅が32㎜という意味です。
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こちらは「28-451」と書いてありますので、タイヤが嵌る部分の大きさが451㎜でタイヤの横幅が28㎜ということになります。
先ほどのクロスバイクのタイヤの刻印にも、いちばん左に「35-622」というETRTOが書いてあります。タイヤが嵌る部分の大きさが622㎜でタイヤの横幅が35㎜という意味です。
マウンテンバイクのタイヤにも別の場所に刻印がありました。右側のカッコ内に書いてある「61-622」がこのタイヤのETRTOです。タイヤが嵌る部分の大きさが622㎜でタイヤの横幅が61㎜という意味ですね。
こうしてETRTOを見てみると、ロードバイク用の700Cの車輪とマウンテンバイク用の29インチの車輪は、タイヤの嵌り込む部分の直径の大きさだけ見ると同じだということが分かります。なのにロードバイクやクロスバイクは700C、マウンテンバイクは29インチというのも不思議な話です。
「〇〇C」や「〇〇インチ」はアテにならない
昔から自転車のタイヤのサイズは「取り付けて膨らませたらだいたいこれぐらい」という感じでかなりテキトーに表記されてきました。ロードバイクと車輪の大きさは同じでも、マウンテンバイクは太くて大きいタイヤを付けるので、膨らませるとタイヤの大きさも含めて29インチぐらいになりますよ、ということですね。
マウンテンバイクや一部のグラベルロードに使われている27.5インチはETRTOが584㎜です。このサイズは別名「650B」とも言われますが、ロードバイクの26インチのことを「650C」と呼ぶので注意が必要です。同じ「650」と付いていますが650CのETRTOは571㎜ですので、650Cと650Bは全く違うサイズです。実際には26インチのロードバイクはほぼ絶滅種で現在では販売しているメーカーもほとんどないので、今となってはかなり珍しいサイズになりますが、それでも20~30年前の自転車を手入れして大事に乗っている方がいるので、お店にチューブやタイヤが並んでいることがあります。
ちなみにマウンテンバイクの26インチはETRTO559㎜で、やはりロードバイクの26インチとは違うサイズになります。もっと言うとママチャリの26インチはETRTOが590㎜で、これも違うサイズです。ここまで来ると自転車のタイヤのサイズ表記がどれだけテキトーなのかがお分かりいただけると思います。
またロードバイクやクロスバイクで標準の700Cというサイズも、インチで言う時にはメーカーによって27インチだったり28インチだったりします。同じドイツのメーカーでもコンチネンタルは27インチ、シュワルベは28インチと書いてあります。これでは初心者の方が混乱するのも当然ですね。
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このチューブなんか29・28・27.5と書いてあって、結局どのサイズのタイヤに合うのかよう分からん、という感じですがETRTOを理解していれば迷うことはありません。
下の方にズラッと対応しているサイズのETRTOが書いてありますね。この中に自分が使っているタイヤのサイズが含まれていればOKです。このようにETRTOが分かるようになればチューブやタイヤのサイズを間違って買ってしまうこともなくなります。
自分で見ても良く分からない時は、とりあえずタイヤに書いてあるそれらしい数字をスマホで撮影して、お店でその画像を見せて頂ければスタッフもご案内しやすいです。
自分で修理しない人も予備チューブは持っておくべき
遠出するようなサイクリングにも行かないし、自分で修理しないから予備チューブはいらない、という方もけっこういますが、それでも予備チューブは用意しておくべきです。
というのも、クギ・ガラス片・画鋲のような大きい異物を踏みつけてパンクすると、ママチャリ屋さんで一般的な修理パッチを貼って穴を塞ぐ方法では修理できず、チューブごと交換しないといけないことが多いからです。ママチャリ屋さんではスポーツ自転車用のチューブを置いていないことも多いので、たまたまパンクした近くに自転車屋さんがあっても修理できないケースも考えられます。
もし通勤中・通学中にそんなことが起こったら相当面倒ですよね… 立ち往生して困らないように自分で予め準備しておくのが重要です。自転車は免許証が必要ない代わりに、何かあったらまずは自分でなんとかするのが基本の乗り物です。もしもの時のための備えは必ずしておきましょう!