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【ロードバイク】ブレーキキャリパーだけDURA-ACEにするとタッチが激変!?実はそもそもの構造が違うんです!!【ブレーキ】

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横浜ワールドポーターズ店】松野 望士 24年11月17日

横浜ワールドポーターズ店松野です。

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そろそろニューバイクが届きそうなので一足先にカスタム用のパーツを購入しました!

 

SHIMANO BR-R9270

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フロント:¥20,631(税込)
リア:¥19,995(税込)

フロントとリアは付属のマウントやボルトが異なるのみで本体やパッドなどは同じです。

 

12s ULTEGRAの完成車を1年ぐらい待っているのですが、ブレーキキャリパーだけはDURA-ACEに交換すると以前から決めていました。
実はリムブレーキの頃は軽量なDURA-ACEよりも、肉抜きのされていない105の方がカッチリとしたタッチだったりしたのですが、油圧ディスクブレーキ2世代目であるBR-R9270はULTEGRAや105とは構造が異なり、圧倒的にタッチが良いのでアップグレードする事にしました。

 

 

DURAだけはモノブロック!

ロードバイク用の油圧ブレーキキャリパーの中ではDURA-ACEだけの違いが一つあります!

左に並べたのはULTEGRAのBR-R8170です。反対側から見比べてみると違いがありまして…。

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DURA以外のキャリパーは左右のブロックをがっちり固定する大きなボルトが2本見えるはずです。

 

 

DURAは表から見ると大きな丸いパーツが埋まっています。なんかかっこいいですね。

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モータースポーツが好きな方なら馴染みがあるかもしれませんが、DURA-ACEはキャリパーが一塊である「モノブロック」キャリパーなんです。

 

 

と、言うのもブレーキキャリパーは実はかなり複雑な構造です。お馴染みのカットモデルを用意しました(笑)

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フルードを密閉&ピストンを引き戻すためのシールがはまる溝の他、ピストンまで圧力を伝えるための細い通路も見えます。当然ながらフルードが漏れないようにかなり精密に切削加工がされています。

 

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複雑な内部機構を簡単に作るために、左右のブロックを分割で作ります。こんな風にドリルなどで外から切削加工をして最後にボルトでがっちりと締結しているんです。

 

しかしDURA-ACEはモノブロック。左右で分割されることなくすべての加工を外側から行っています。

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外側からガボっと切削してシリンダーを成形し最後に外から大きなフタで塞いでいます。

 

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裏から見える小さなネジは内部の通路を加工するためにあります。外側からドリルで穴をあけ、最後にフタをしているわけですね。
位置から察するに左右のシリンダーを繋いでいる通路かもしれません。

当然ながらモノブロックの方が加工や設計が大変です。ただフルードが通ればいいだけではなく、エア抜けのしやすさなども考慮しなければいけません。

 

 

 

タッチ&クリアランスが◎

そんな感じで加工が大変なモノブロックキャリパーなのですが、一番のメリットはキャリパーの剛性が高いことです!

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ブレーキレバーを握りこむとフルードが圧力をキャリパーに伝え、ピストンがパッドを押し出してローターが左右から挟まれます。
テコとパスカルの原理で非常に強い力でピストンを押し出すことが出来るのですが、逆に言うとキャリパーもピストンから押されるんです。

その結果、キャリパーが左右に開くように僅かにたわみます。キャリパーをよく見ながらレバーを強く握ったり離したりすると観察できます。

 

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モノブロックは加工が大変な反面、構造的な弱点である"つなぎ目"が存在しません!なのでキャリパーの剛性が非常に高いのでブレーキのタッチがかなりカッチリとしてくれるんです。
もちろんレバーの感触だけでなく、力が逃げないので強くレバーを握った時もしっかり制動力を発揮してくれます。

 

 

さらにDURA-ACEはパッドとローターのクリアランスも広く安定しています。

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油圧ディスクブレーキのクリアランスを決定するのはピストンに接しているシールです。シールが取り付けられている溝部分はシールよりもわずかに広くなっているため、ピストンに引きずられるように変形し、レバーを放すと弾力でピストンを引き戻してくれるわけですね。

 

 

この仕組みが実は結構繊細でして、シールのはまる溝の加工精度、ピストンの表面の粗さや汚れなどにかなり影響を受けます。
実はULTEGRAのBR-R8170はロットによりクリアランスが安定しない"ハズレ個体"が存在し、多くの自転車屋さんやメカニックを悩ませています(笑)

おそらく加工精度が高いからだと思うのですが、ULTEGRAや105と比べるとDURA-ACEはこのクリアランスが安定しているんです!

余談ですがキャリパー剛性もクリアランスに影響します。強く握りこんだ際にキャリパーが外に開いてしまうとピストンが余計に出てしまい、一時的にクリアランスが減ることもあります。

 

 

 

実はピストンは樹脂製…!?

これはDURA-ACEだけの特徴ではないのですが、12sになってからピストンの素材が変更されています。

 

先代までは白いセラミックス製のピストンを採用していました。セラミックスは断熱性が高い素材なのですが、「ブレーキなら熱を逃がすために熱伝導が良い方がよくない?」と思うかもしれません。

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しかし熱を通しやすい素材でピストンを作ってしまうと、パッドからの熱がフルードに伝わり劣化を早めたりヴェイパーロックを起こしやすくなってしまいます。
各社熱を通さないような素材や形状に工夫しているみたいですね。セラミックスは硬い反面もろいのでメンテナンスの際に扱いを間違えると上の写真のように簡単に割れたり欠けるという弱点がありました。

 

 

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さてDURAのキャリパーをよく見てみるとなんだか黒いですよね。実際にどういう素材なのかは公表されていないのですが、どうやらフェノール樹脂(ベークライト)なんだとか…!?自動車のブレーキピストンでも使われている素材で、自転車ではSRAMなんかもフェノール樹脂製のピストンを採用しています。

 

 

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例によってカットモデルになっているSRAMのGUIDEのキャリパーから取り出したピストンがあったので…

 

 

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1300℃ぐらいのターボライターで加熱してみました!うっすら煙が出るぐらい加熱したところ、ブチブチという音とともに表面が荒れて気泡が発生しましたが溶けたりはしませんでした。一瞬ですが樹脂が溶けたような臭いがして非常に身体に悪そうなので終了です…。

 

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ちなみに断熱性が高いので加熱した反対の面を触っても少し熱いかな?と言ったぐらいの温度でした。

※安全に配慮したうえで実験しています。絶対に真似しないでください。

 

 

 

旧型STIとも互換性あります!

ST-R9250やST-R8150と言った12sのDi2レバーだけではなく、105や旧式のレバー等とも互換性が保たれています!
ただしパッドクリアランスが広くなっているのでレバーの遊びも少し大きくなりますのでご注意ください。

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