横浜店松野です。
ちょっと前から何かと話題のニッセンワイヤー。
コイル構造でしなやかなアウターワイヤーと
つるつるで抵抗の少ないインナーワイヤーが評判ですね。
で、今回そんなニッセンワイヤーでの組み立てをご依頼されました。
コンポーネントはCampagnolo 12s Super Record。
12速化を果たした最新のコンポーネントですね。
で、早速タイトルの通りなんですが
リアディレイラーにニッセンのインナーが使用できませんでした!!
何がダメなのかと言うと…
まず正しい位置にワイヤーを固定します。
目視してもしっかり正しい位置に固定されています。
もちろんボルトは規定トルクで締まってます。
シフトレバーを操作し、ローギア⇔トップギアまでを何回か往復すると
急にワイヤーが外れました。
何回やっても同じ状態になってしまいます。
ちなみにワイヤーが外れた状態でも
固定ボルトは規定トルクで締まっています。
という事は、「ボルトが緩んでワイヤーが外れた」のではありませんね。
いろいろ観察して気が付いたんですが
12速のリアディレイラーの
ワイヤー固定部分。
ワイヤーを挟み込むスリットが広いんです。
ちょっと分かりにくいんですが矢印の部分です。
そもそもワイヤーを固定する部分と言うのはほとんどの場合
ワイヤーを通す溝があります。
ワイヤーを完全に潰してしまうと傷んでしまうので
溝でそれを防ぐためです。
しかしなぜなのか、12sのリアディレイラーだけ隙間が大きいんです。
右側がRECORD 12sで左がPOTENZA 11です。
固定ボルトが同じ大きさなのですが
比較すると明らかにRECORDの方が隙間があります。
いくら隙間が広いとはいえ純正ワイヤーではこんなこと起こりません。
が、さらにニッセンワイヤーの特徴が悪さをしており
ニッセンのシフトインナーは太さ1.1mm。
純正インナーは1.2mmです。
わずか0.1mmの差ですが先ほどの大き目のスリットのこともあり
ワイヤー固定力に影響しているようです。
そして最後にインナーワイヤーの素線の太さと本数。
ニッセンは独特なしなやかさを出すために
31本の細い素線から作られています。
対して純正は19本のすこし太めの素線です。
試しにこんな風にラジオペンチで潰して比較します。
しなやかなニッセンは束ねられた素線が潰れてしまいました。
太い素線で作られた純正ワイヤーはなかなか潰れません。
全力で握っても潰れることはありませんでした。
…と、言うわけで
①ちょっと広めのスリット
②0.1mm細いワイヤー
③しなやかな反面潰れやすい
と言う原因で上手く固定できていないみたいですね…
②と③は他のコンポーネントでは問題にならないレベルなんですが
カンパ12sとの相性がよろしくないようです…
今回は純正ワイヤーにて交換しましたが
12sカンパをお使いの方はご注意ください!!