シーズンが終わったので新兵器のインプレッション
当ブログをお読みの皆様こんにちは!
新宿クロスバイク館の藤平です。
私は「シクロクロス」という競技を趣味でやっています。
2022-2023シーズン中盤より使用しているバイクにタイヤインサートという新兵器を投入しました
その後シーズンの終わりまで走った為再度インプレッションとなります。
使用環境、ライダープロフィール
ライダーウェイト:約56㎏
マシンウェイト:約8㎏
タイヤ:MAXXIS ALL TERRANE(700×33C)
[ysid 4717784032436]
ホイール(リム):HED ARDNNES+(リム内幅21mm)
シクロクロス参戦カテゴリはME2で、だいたいいつも真ん中くらいの順位を取る平均的シクロクロスホビーレーサー
シクロクロスバイクはレース以外で乗る事はほぼ無く、普段は29erのマウンテンバイクに乗っている為33C幅のタイヤにはあまり慣れていません。
MTBに長く乗っていた為抜重など自転車を縦に動かすのは他のライダーに比べ得意な所もありますが、トレーニングという物をした事が無いので基礎的な体力が低めです。
VITTORIA AIR-LINER GRAVEL
[ysid 8022530025355]
装着編は別途の記事で投稿しているので省略
使用初戦 茨城CX大洗ステージ
割と高速コースながら砂利や荒れた芝、砂浜などを含む路面変化に富んだレイアウト
コンクリートの段差が何カ所か含まれていた為タイヤやホイールのトラブルを起こす選手が続出していました
空気圧は砂浜重視で前後1.2Barにて出走
装着前でこの空気圧ならば砂利区間で石がホイールに当たるコツコツとした感触があるはずですが、特に問題無し。
舗装路のコーナリングでもタイヤのヨレが少なくなっており安心♪
砂浜区間では他選手達よりもスムーズに速く走る事が出来ました
一度段差にて抜重をミスした気がしますが、インサートのおかげで全く問題ありませんでした。
普段より順位良く終了。
使用二戦目 シクロクロス東京(お台場)
コースの半分近くが砂浜という通称「砂地獄」のコース
インサートを入れた理由も砂地獄対策と言っても過言ではありません。
開催直前に左手首を怪我して出走すら危ぶまれましたが、テーピングとサポーターでガチガチに固めてなんとかスタートグリッドに並べました。
半分が砂浜、半分が森林区間で構成されるコースで、空気圧セッティングが非常に難しいレイアウト
森林区間では木の根が各所に張り出している為空気圧を下げ過ぎるとリム打ちパンクのリスクが倍増しますが、今回は手首への振動を出来るだけ少なくしたかった為0.9Barという砂浜特化の超低空気圧で出走
スタートは二列目からで、目の前の選手が上手く道を開いてくれた為労せず3位で1コーナーへ突入
スタートループ(1周目に入る前に走る区間)の砂浜セクションでは他の選手が苦戦する中グイグイと駆動力を掛けられる為なんとトップを独走という今のカテゴリでは初めての経験(会場に居た知人によると後続を50メートル近く引き離していたそうです)
スタートループ終了時点でも二位で、そのまま森林セクションへ突入
手首の痛みで自転車を縦に動かすのが困難ですし、握力もほぼ無い為ハンドルに頑張ってしがみつくしかありません。
抜重などほとんど無しで、マシン任せに木の根を乗り越えますがインサートがかなり良い仕事をしてくれました。
上半身をほぼ使えなかった為結果的には途中で脚が売り切れガクっとペースを落としてしまいましたが、疲労状態でも砂セクションだけは他の選手よりも速かったですね。
怪我をしている割にはいつも通り真ん中くらいの順位でフィニッシュ出来たのも、最初の砂浜で得たアドバンテージがかなり大きかったです。
木の根をゴリゴリと通過していたにも関わらずタイヤトラブル無しで走りきれたのはインサートのおかげでしょう。
CX東京は二日目のチームエンデューロにも参加
初日よりも轍が出来た事によって砂浜の乗車が楽になっていましたが、そんな中でも「あ、有利だな」と感じられました。
カテゴリーレースと違いMTBなどの太いタイヤを使用している選手も居ましたが、砂浜で十分に戦えました。
使用三戦目 茨城CX取手ステージ
芝、土メインで平坦の高速コース
本来であればタイヤインサートが活躍する事はあまり無い路面のはずですが、今回は手首の痛みを和らげる為に低めの1.2Barで出走
ストレートを走っている時は全く存在を感じませんが、コーナリングや片斜路ではタイヤのヨレが減少している為大胆に攻められます。
おかげでコーナリング苦手な私でもテクニカルセクションで置いていかれずに集団に食いつけました。
こちらも中団フィニッシュという事で怪我をしている割にはいつも通りの順位。
使用四戦目 土浦レイクサイドバイクロア ファストクラス
前日に降り続けた雨でドロドロの路面は他レースを走った選手達により練り込まれ滑りやすく重い泥
テクニカルセクションには木の根が張り出しておりタイヤへのダメージが懸念されるレイアウトでした。
濡れた木の根はとても滑りやすいので、接地面積を増やす為に空気圧低めの1.2Bar
スタートグリッド付近も泥のコンディションでしたが、接地面をしっかり使えるトラクションのおかげでトップでスタート出来ました
木の根を乗り越える際はインサートが大活躍
シケイン(立て板の障害物)をバニーホップで越える際もタイヤの変形が抑えられる事で低めの空気圧設定の割に跳びやすかったです。
土浦のコースは三度目ですが、木の根を越える際の安心感はインサートがあると段違いです。
他の選手に驚かれるようなライン取りを駆使して表彰台の端っこを獲得出来ました。
カテゴリーレースと違い格上の選手とも混走なので良い結果です。
使用五戦目 茨城CX涸沼ステージ
ダイナミックな上り下りが特徴のハイパワー&テクニカルコースです。
今回は強い雨にて地獄のような泥コンディションに変貌
出走するカテゴリが遅い時間帯だった為、他のクラスに踏み荒らされたテクニカルセクションは落車どころか自転車に跨る事すら難しく、ただ歩いていても転ぶレベルの路面でした。
シクロクロスを始めてからけっこう長い私ですが、初めて「ココは絶対乗車クリア出来ないな・・・」と思うレベルにひどく荒れていました。
空気圧は濡れた路面に対応するため下げめの1.2Bar
スタートは二列目でしたが、スタート直後の砂利道でグイグイと順位アップ
舗装路の1コーナー(緩めの左)では他選手がブレーキを掛ける中、空気圧低めの接地面積を活かしアウトから追い越し
低圧でも高速コーナリングの遠心力でタイヤがヨレにくいのは本当に強い!
なんとトップに躍り出て涸沼名物の激坂へ
空気圧が低いので坂でペダリングを乱すとタイヤが潰れますが、ココでも多少インサートが効果を発揮しているような・・・?
インサート導入前に走った前回の涸沼はドライコンディションだった為比較は出来ませんでしたが、空気圧の割にはペースが落ちずトップのままメイン会場セクションへ
片斜路の多いメイン会場もタイヤの食いつきが良くちゃんと駆動力が掛かります
テクニカルセクションの泥だけで後続から10秒以上のタイムアドバンテージを稼ぎ裏山の乗車不可セクションへ
自転車に乗れないセクションではインサートも意味を成しません(笑)
ランニングはとても苦手なのでココで順位もタイムも落としまくり
体力もどんどん消費してスタミナを切らしレース後半は惰性で走るモードに切り替えました。
最終的には真ん中よりちょっと上くらいの順位で終了
マシンは完璧な仕事をしてくれていたので、これはライダーが悪い(笑)
タイヤインサートのデメリット
重量に関しては正直全く気になりませんでした
脱着に関しても今回の組み合わせ(リム内幅21㎜のHEDリム+MAXXISタイヤ+VITTORIAインサート)においては苦労しませんでしたが、これに関してはサンプル数がまだ少ない為なんとも言えません。
個人的に気になったのはインサートを固定している結束バンドの部分
CXタイヤの幅(33C)で空気圧をベタベタまで下げた状態にして舗装路を走ると「コツン・・・コツン・・・」と地面に接触します。
気にしなければ大丈夫とも言えるレベルなのですが、空気圧0でも1時間の走行が可能(ランフラット化)という事を考えると心配です。
とはいえタイヤの指定空気圧を大幅に切った状態での話なので、普通に使用していてこの症状が出る事があるとは思いませんが。
価格はちょっと高めに感じますが、開発費や生産量を考えれば仕方ない所でしょう。
タイヤインサートはいいぞ。
低空気圧信仰の私としてはかなり良いアイテムでした。
1Barを切る状態でも不安を感じさせずレースが出来るのはちょっと昔なら考えられません。
総合的な評価として「レースを速く走れるようになる」というよりも「安心感をUPしてセッティングの幅を広げられるツール」というのが私の感想ですね。
上手く空気圧セッティングを変更すれば色々な路面コンディションに対応出来ますし、タイヤのおいしい所を使えるのでタイヤ幅に制限のある(※上位カテゴリに限る)シクロクロスという競技においてライバル達に差を付ける事が出来るでしょう。
今回はVITTORIA社製の物を使っていますが、他メーカーから販売されている物も試してみたいなぁ・・・