バイオレーサーの中の人です。
昨年9月から始まった連載ブログ、
【月刊ディスクロードをガチインプレ!】
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遅くもないけど速くもない、アラフィフのおっさんが毎回最低100kmをノルマにハアハアしながら最新ディスクロードをガチ(おっさん的当社比)でインプレします。
インプレだけじゃなくて、メリット・デメリットや規格の話など「ディスクロードの基礎知識」も紹介しています。
(リンク先は特設サイトと同一ページです)
近年の自転車界の一番のイノベーションは、ロードバイクへのディスクブレーキの搭載・普及です。
ただディスクブレーキを付けただけではなく、それが引き金になってロードバイクの性能自体が一歩上の次元に引き上げられた点が大きな進歩です。
今回もそんな「ロードバイクの最先端」を脚でジャッジすべく、街から山まで沢山乗り込んできましたよ!
※本記事内のステム位置はメーカー推奨外の仕様ですが、今回の試乗に限った一時的なセッティングとなります
参考:安全に関する重要なお知らせ (2017年1月6日改定)
2020 BIANCHI OLTRE XR3 DISC ULTEGRA
¥468,000+税
メーカーサイトはこちら
伝統のイタリアンブランド、ビアンキの誇る振動除去素材「カウンターヴェイル」を採用。プロユースモデルのXR4に次ぐエアロレーシングバイクの中軸モデルです。
画像はメーカーサイトより
【バイクのキーポイント】
実走感をお伝えする前にこのバイクのキーポイントをご紹介。
>>>振動除去素材カウンターヴェイル採用
>>>剛性と強度を向上させながら振動を最大80%除去
>>>機械的なシステムを付加しないので軽量
>>>XR4譲りのエアロ形状
>>>「さいたまディレーブ」や海外女子チームも実戦使用
他と一線を画すという新素材の乗り心地、プロチームが採用するミドルグレードバイクの戦闘力、今回も興味津々でライド&チェックです!
↑イギリスの女子チームBIANCHI DAMAも使用中!
いつも通り、結論から。
“スーパーシルキー!”
ホントに振動“除去”してる!
巡航ヤバい!
剛性高く登りもスプリントもOK!
味付けは基本レーシー!
バランス良好ど真ん中バイク!
では、どんなポイントがそう感じさせたのか、いつも通りちくちく綴って行きましょう!
・職場~自宅往復 54km
・自宅からR299経由で正丸峠、名栗路へインプレライド 105km
計159kmです。
【事務所でポジション出し】
もう恒例ですね。本職のバイクフィッティングシステム「バイオレーサー」でマイポジションを落とし込み。
↓こちらの身体スペック(174cm胴長短足)で、サイズ53・ステム140mm 84度でポジションを出しました。いつも通りの前乗り仕様です。
バイオレーサーオリジナルツールのサドルセンターゲージでポジション出し。
サドルが前回、前々回と同じFIZI:KのANTARES(人気ですねw)だったので、ちゃちゃっと前回の寸法データの再現でポジション出し完了。
※本記事内のステム位置はメーカー推奨外の仕様ですが、今回の試乗に限った一時的なセッティングとなります
参考:安全に関する重要なお知らせ (2017年1月6日改定)
ハンドルからフレームまでのワイヤー類は全て外装。
※フレームからは内装
上位グレードのXR4と比べて整備とポジション調整が容易なので、まだポジションの固まっていない初中級ライダーに優しい仕様です。
では、マイポジションがばっちり落とし込めたので、いざ実走!
【XR3でR299~正丸峠~名栗路へ】
エアロロードのXR3を試すなら緩斜面だろ、ということでいい感じに緩斜面が続くR299を飯能から遡上します。
R299を淡々と登り、正丸トンネルから旧道に入り、正丸峠経由で名栗路の緩斜面を下るルートです。
緩斜面&市街地のアプローチで巡行性能を、正丸峠で登坂性能を見る、という狙いです。
【本当に振動を“除去”するのか?】
振動の角が取れてる!
いや、ホントに。
他のバイクと乗り心地が全く違う。
機械的システムで大きな衝撃をいなすサスペンション的なやつじゃなくて微振動が"除去"されるという、他の素材と根本的に違う乗り心地。
また、中弾性のカーボン素材から来るマイルドさや、高弾性のカーボン素材から来る振動収束の速さとも、全く違うところから生まれてくる乗り心地。
「吸収」じゃなくて、まさに「除去」。
例えば中弾性カーボンなら、入ってきた振動がフレーム内でじわ~っと、ぼよ~んっと「吸収」されます。
高弾性カーボンなら振動がシュン!と一瞬で「収束」します。
でもカウンターヴェイルは、そもそも振動が「除去」されてるからフレームに入ってこないような感覚。
2年前にXR4に乗った時も驚きましたが、2年経っても色あせない唯一無二の驚きの性能。
サスペンション等の機械的システムだと重量面のデメリットがあり、中弾性カーボンだと「キレ」が失われるというデメリットがありますが...。
カウンターヴェイルにはデメリットが無い!
軽さもキレも保ったまま、振動を除去してくれます。
唯一の対抗馬は高弾性カーボンですが、それでも「吸収」しているのには変わりがなく、振動が入ってこないかのような「除去」とは振動の処理に掛かる時間が違います。
スゲーなコレ。
欠点?とは言えないと思いますが、大きなギャップからの衝撃は普通に伝えてくるので、そこは機械的システムや中弾性カーボンに軍配が上がります。
ただ、軽さとキレを持ちながら極上のシルキーライドが楽しめるのは、今のところカウンターヴェイルだけなのではないでしょうか。
走り始めだけ気持ちよく感じるような、良くあるインプレプラセボではなくて、105kmのインプレライドを終えるその時までシルキーさを感じられました。
もちろん、走り終わってからの疲労感も振動からくるものは大幅に軽減されているように感じます。
ロングライド用途に良いのは当然として、レース派でも終盤まで体力を温存することができるのではないでしょうか。
この振動除去性能は間違いなくアドバンテージになりますね。
【ペダリングフィール】
上にも書きましたが、振動を除去しているのにキレを失っていません。
バイクの立ち位置はミドルグレードですが、全体の剛性感は高い部類です。
ミドルグレードにありがちなぼんやりしたキレの無さとは無縁です。
ハイエンドほど硬さに振っていないので、ほど良いマイルドさも持ち合わせています。
フロントエンド~ヘッドチューブ~BBのパワーセクションがしっかりしており、力を逃がさず踏み込めます。
スルーアクスルによるフロントエンドの一体化も効いているようで、フロントに体重を乗せた立ち漕ぎも軽快、BBから力が逃げる感じも無し。
非常に気持ちよくペダリングできます。
う~む。これなら自分よりもずっとずっと脚力のあるプロ(さいたまディレーブ)が使うのも納得。
ミドルグレードながら味付けはGTカー的な方向ではなく、基本レーシー。
「振動除去」というワードから緩めの走りを期待すると、全く逆のキャラなのでご注意を。
XR4の方がより一層キレがありますが、その差は僅差。
扱いやすさという点では敢えてのXR3、という選択も大いにありです。
唯一残念なのはホイールの重さ。
FULCRUM RACING 418。レーシング4のビアンキOEM版。1700g弱らしいので特別重いホイールでも無いですが剛性のせいかな?少し脚を引っ張られる感覚はあり(こう見えてアルミホイールです)。
まあこれは完成車の価格の制約上、致し方ないところ。
購入後に自分の乗り方に合わせてホイールでカスタムできる楽しみが残されているとポジティブに考えて頂ければ!
【得意・苦手なシチュエーションは?】
>>>平地の巡航、緩斜面の下り
ヤバいですね。
振動除去と相まって、シルキーにす~~~っと気持ちよくスピードを維持できます。
気持ちいい♪
これでサイクリングロードとか走ったら最高ですね~。
DHバー付けたらトライアスロンのようなTT的な走りも行けるでしょう。
シートピラーのヤグラはオフセット0にもセットできるので、メーカーもそこは意図しているようです。
この巡行の良さにはこのエアロ形状も貢献しているはず。
>>>登坂
ホイールを考慮すると登りは苦手かな?と思いましたが意外と?カッチリと良く登ってくれます。
踏力が逃げたり、よどむような感じがありません。
むしろ登坂は得意なシチュエーションだと思います。
BB剛性が高いので、ペダリングを深追いせず3時位置で綺麗に踏みやめればカチッと進んでくれますよ!
>>>緩斜面の登り
苦手だったのが、実は緩斜面の登り。
あえて今回緩斜面コースを選んだのに(^^;)
前回のハイエンドエアロロード、LOOK795BLADE RSのように緩斜面が得意かと思いきや、ちょっとペダリングに重さを感じる。
これ、フレーム性能ではなくてホイール性能に引っ張られている様子。
常に中強度の踏力を加え続けないといけない緩斜面では、ホイールの重さが支配的になるのかな?
半面、5%を超えるような登坂では高強度の踏力を加え続けるので、ホイールの重さよりもフレームの剛性の高さの方がペダリングフィールに対して支配的になり、ネガティブさを感じないのかもしれません。
恐らくPINARELLO PRINCE DISKの例のもあり、ホイールを交換すれば、カッチリ、グイグイと緩斜面も進むバイクに化けてくれるでしょう。
例えばMAVICのホイールに変えるとして、軽やかさが欲しいならアルミのキシリウムプロUST&エリートUST、軽やかさ+空力ならキシリウムプロカーボンUSTのSL&無印、空力重視ならコスミックプロカーボンUSTのSL&無印、というような候補になるでしょうか。
(プロかエリートか、SLか無印かは、カッチリなら前者、マイルドなら後者、となります)
ここは、予算と用途&好みで選択肢が多岐に渡るので、ぜひ店頭スタッフにご相談くださいね。
あと、コスト¥0で改善するならペダリングでw
クランクを11時の位置から前方に蹴りだして回すようにし、深追いせずに2時には踏みやめるようにすれば、重めのホイールも緩斜面で気持ちよく転がってくれます。
ペダリングも自転車のパッケージに合わせて乗りこなしましょう。おためしあれ。
>>>スプリント
掛かります。伸びます。
自分の踏力(15秒で700w台、30秒で600w台の並脚)ときっと合っているんだと思いますが、トルクを加えてスピードを乗せていくのが気持ちいいし、レスポンスもイイ。
カッチリとかキレッキレッ系ではありませんが、バランスの良い剛性だと思います。
パワーセクション、特にBB周りのマッシブな造りが効いているのでしょう。
リアバックから力が逃げる感覚もありません。
スプリント性能も良いですね~。
【重量】
ペダルレスの実測重量で8.2kg。
アルテグ、ディスクブレーキ、1700g弱のホイール、28cのタイヤ、これらを考えあわせたら上出来な重量。
軽量性は機械的システムに頼らず振動をキャンセル出来るカウンターヴェイルならではのメリット。
振動をキャンセルしつつ、走りのキレが共存できるのもカウンターヴェイルならではのメリット。
改めてスゲーなコレ。
【まとめ】
>>>振動除去は本物!スーパーシルキー!
>>>プロチームも使うキレのある走り!
>>>巡行、登坂、スプリント、全てこなす優等生!
>>>価格もスペックもど真ん中ミドルグレード!
う~む。この性能が¥468,000+税とは。
仮にキシリウムプロUST DISCでホイールチューンナップしてもプラス¥145,000+税だから¥613,000+税か...。
決して「安くはない」ですが、ハイエンドモデルならフレームだけでこの値段以上するのはザラですからね。
性能差の少ないコンポをダウングレードして、105仕様を選ぶのもコスパ的には良いかもしれません。
OLTRE XR3 105 DISCなら¥388,000+税。
アルテグラ、105、どちらの仕様を選んでも「長く使えるミドルグレード」にステップアップを考えているライダーにお薦めのバイクです。
何度も書きますが
プロも使ってるミドルグレード
ですからね♪
【おまけ】
この日のランチ。
名栗の旧道沿いにある肉屋さんでコロッケとメンチ。
何と2つで¥110!やっす!
某バス旅番組でも確か出てましたね。
2つでざっくり500kcalくらいかな?揚げ物だからね...。これ結構大きいし。
あとはカロリーメイト的なやつを2つ(200kcal)、持参したドリンク2本(400kcal)、メープルミルクセーキ(150kcalくらい?)、で締めて1250kcalの補給。
消費カロリーは1551kcalなんで、なんとかマイナス収支♪
何にもしなくても消費する基礎代謝分もあるしね。
(この日のインプレライドが正月太り解消を兼ねていたのはここだけの秘密です)
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