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【ロードバイク】乗り換えどき⁉フラッグシップの進化を探る~PINARELLO編

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ワイズロードオンライン(通販)】石澤 貴志 24年08月06日

ワイズロードオンラインの石澤です。

ロードバイクはここ数年で新技術、新理論が出そろい、機材が大きく進化しています。
そんな中、今年になってフラッグシップを刷新した大手ブランドの一つが、イタリアでもトップをひた走るバイクブランド「PINARELLO」!
今回はPINARELLOの新旧フラッグシップを振り返り、5年間でどれだけ進化を果たしたのかを見てみましょう…!

 

DOGMAの歴史

 

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いまでこそカーボン技術の集大成のように思われている「DOGMA」の名ですが、初登場の2002年の段階では金属フレーム、それも今見てもレアな「マグネシウム合金」をメイン素材にしたフレームでした。
当時はトップブランドの最上位グレードでもカーボンは少数派で、アルミ、もしくはシートステー、場合によってはシート/チェーンステーだけをカーボン素材で製作する「カーボンバック」がメインの潮流でした。
マグネシウム合金は実用金属中でもっとも密度が低く、また振動吸収性にも優れていることから、軽くてトラクション能力に優れるバイクを生み出すことができると期待されたのです。

かくして、マグネシウム合金のメイン素材+カーボンバックというスタイルで生み出された「DOGMA」は当時のサプライチームだったファッサボルトロに供給され、トップスプリンターのアレッサンドロ・ペタッキに数多くの勝利をもたらしたのです。

2019 DOGMA F10 DISK

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それから17年の時が経った2019年当時、最先端モデルとしてラインナップされたのが、トータルで第10世代目であることを表す「F10」の名を冠して生まれたDOGMA F10。

先代の「F8」(なぜF10の前がF8なのかというと、F8の軽量バージョン「F8 X-LIGHT」が、内部的にはF9という扱いだからです…)にTTバイクの「BOLIDE」の空力設計を融合し、平地から山岳まであらゆるコースをこれ一台でこなすコンセプトで生み出されました。

 

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シートチューブ周辺には空気抵抗を低減するための「フラットバック」形状が採用されています。
全体的にボリュームを過度にせず、かつ空気抵抗を削減する形状にされています。

 

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フォークには初代DOGMAに採用されるのと同じ名を冠する「ONDA」を装着しますが、その形状は全く異なっています。
根本側が正ベント、先端付近で逆ベントになる特徴こそ共通ですが、よりストレートに近い形状が与えられました。

 

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ディスクブレーキフォーク用に開発されたフォークフラップは、ブレーキキャリパーを保護すると同時に、エアロ性能を向上させるように設計されています。

 

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PINARELLOの製品開発コンセプトに「THINK ASYMMETRIC」というものがありますが、これは自転車全体にかかる応力を解析し、左右非対称のフレーム設計をするというもの。
自転車にかかる力は、チェーンが右側にだけある影響で左右対称にはなっていません。
この応力の不均衡に対応するため、各パイプは左右非対称に設計されています。
実はこの設計、チェーン近くのパイプだけでなく、フォークブレードのように一見無関係そうな部位にまで適応されています。
徹底的に応力を解析し、ライダーの推進力を生かしつつ快適性を確保しようというPINARELLOの野心的な取り組みなのです。

 

2025 DOGMA F

さて、そこから更に5年が経過して、ついに生み出されたのが最新のDOGMAでございます。
代が変わるごとに命名規則も変わるためわかりにくいのですが、誕生から数えて第14世代とでもいうべきモデルですね。

 

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全体的な雰囲気は過去作のそれを踏襲しているように見えますが、部位を見つめていくと確実なアップデートが感じられます。
特に今作から完全にディスクブレーキ専用設計となったため、キャリパーブレーキの装着を考慮しない設計の洗練が見受けられます。

 

また、長らくメイン素材として採用し続けた東レの「T1100」に代わって、同じく東レの「M40X」というカーボンをメイン素材に据えたのもトピックです。

T1100では多くの勝利を飾ってきましたが、トレンドリーダーであるPINARELLOだからこそ、素材を知り尽くしたPINARELLOだからこそ、T1100からM40Xへ変更するという大きな決断ができたのだと思います。
M40Xは非常に高い引張強度を持ち横剛性の向上に貢献しています。
既にBOLIDE F(TTバイク)やDOGMA XC(MTB)などのモデルには採用されているため、性能は折り紙付きという事でしょう。

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 もう一つの大きなトピックが空気抵抗の低減です。
PINARELLOは登坂時に有効な軽量化よりも、あらゆるシーンで有効な空力性能の向上にスポットを当てました。
その結果、空力と重量の完璧な均衡を見つけ、空力抵抗係数(CdA) 0.2%の改善に成功したのです。
たったの0.2%と思われるかもしれませんが、これはグランツールのコース全体を走行した時にバイクを175gの軽量化した事と同じとされています。

 ヘッドチューブ周辺はフォーククラウンと一体化した造詣に改められたうえで、後方に気流をスムースに流すデザインに進化。
フォークコラムも横に幅が広い楕円断面となり、ケーブルルーティングを改めたことでより洗練されたヘッドチューブの造詣に改められました。

 

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 前後のスルーアクスルはシャフトが開口していましたが、これをふさぎ、外観と気流の両面でスムースなデザインに改められています。

 

前述の通り、PINARELLOは空力性能UPを念頭に開発を進めたのにもかかわらず、完成車重量で108gもの軽量化にも成功しています。
ホイール次第では、SRAM RED完成車で6.63kgを実現しています。

 

 img11 (1)BB周辺もボックス状のセクションを設けるとともにチェーステー根本がフィン状に強化され、剛性と空気抵抗の両面で強化されました。

 

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競合他社とは対照的な仕様となっているのが、ボトムブラケット。
現在ほとんどのブランドの上位グレードの車体が、剛性を求めて大口径、もしくは幅の広いBBシェルを採用しています。

一方で、PINARELLOが歴代のDOGMAに採用しているのは、古典的なねじ切りのBB規格であるイタリアンサイズ(シェル幅70mm、ねじ寸法24x36)。
ごく短期間、オリジナルの「MOST OVERSIZE BB」という規格を採用していた時期もあったのですが、「メンテンナンス性に優れており、かつ実用上充分な剛性がある」ということですぐさまイタリアン規格に戻しています。

ちなみに大口径BBの代表的規格が「BB30/PF30」。
こちらはそれぞれ、フレームにベアリングやカップを直接圧入するタイプのBBだったのですが、運用上のトラブルとして異音が多いことが取りざたされました。
異音を避けるため、同様のサイズを保ったまま新たなBB規格が誕生したのですが、それが圧入ではなくねじ切りに改修された「T47」というもの。
異音のトラブルを避けるためにねじ切りに回帰してきたわけですが、そう考えると当初から一貫してねじ切りタイプのイタリアン規格を採用し続けていたPINARELLOには、先見の明があったと言えるのではないでしょうか?

また、ここ数年エアロロードと軽量ロードに共通する技術が投入されていった結果、両者の境界線があやふやとなり、カテゴリーが統合されたケースも増えています。
PINARELLOは当初から一貫してエアロロードや軽量ロードなどの得意分野に傾注せず、オールラウンドにあらゆる環境で速く走れるバイクを設計し続けていたことも、やはり先見の明があると言えるでしょう…!

歴代のモデルを通じて、革新的な変化が目には見えにくいDOGMAですが、「THINK ASYMMETRIC」のコンセプトで最適な剛性を提供しつつ、空力と軽さの両面を洗練し続けているBRAND NEW DOGMA。
あなたのバイクを更新する材料は、いまここに揃っています…!

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