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【ロードバイク】乗り換えどき⁉フラッグシップの進化を探る~TREK編

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ワイズロードオンライン(通販)】石澤 貴志 24年08月02日

ワイズロードオンラインの石澤です。

ロードバイクはここ数年で新技術、新理論が出そろい、機材が大きく進化しています。
そんな中、今年になってフラッグシップを刷新した大手ブランドの一つが、アメリカを代表するバイクブランド「TREK」!
今回はTREKの新旧フラッグシップを振り返り、5年間でどれだけ進化を果たしたのかを見てみましょう…!

MADONEの歴史

その前に、「MADONE」がどのように誕生したのかを見てみましょう。

 

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TREKが最初に「MADONE」を発表したのは2004年のこと、いまからちょうど20年前にさかのぼります。
それまで4桁の数字で表記されていたTREKの車体。
カーボンのロードバイクには5000番台の数字が充てられていましたが、当時TREKがサプライヤーを勤めていたプロチームのエースがトレーニングで走っていた峠の名前を冠し、新たに「MADONE」の名が生まれたのです。

今となっては笑ってしまうような話ですが、登場当時はダウンチューブやシートチューブのフィンで空気抵抗が減るという、今でいう「エアロロード」という謳い文句でした。

2019 Madone SLR 9 Disc

 

MadoneSLR9Disc_19_24247_A_Primary

そこから15年の月日が流れ、同じ名を冠するモデルは第6世代に。
現代でも目にする「エアロロードらしい」スタイルは完成しており、隔絶の進化がうかがえますね。
フレーム素材には当時最新の「OCLV700」が奢られ、素材レベルから軽量化が図られています。

 

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各チューブの断面は、涙滴断面の後ろ1/3を切り取った「カムテール」を規範とした「KVF」という形状。
涙滴断面とほぼ同等の空気抵抗ながら、横風に優れた耐性を発揮します。

 

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この世代のMADONEの特徴は、振動減免機構である「ISOSPEED(アイソスピード)」を搭載していること。
これはいわば、シートチューブをトップチューブやシートステーから切り離すことで、路面からの突き上げが直接サドルに伝わらないようにするメカニズムです。
ちなみに「切り離し加減」はアジャスターで調整でき、好みの剛性感へのセッティングが可能です。

 

 

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ハンドルバーとステムがトータルで設計された専用コクピットとなっており、空気抵抗を最小限に抑えつつ、セッティングの変更も容易になっています。

全体的にみると、「エアロダイナミクスを優先して設計しつつ、チューブ形状に起因する剛性の高さは搭載メカニズムでちょうせいする」というコンセプトで作られていますね。

2025 Madone SLR 9 Gen 8

 さて、そこから更に5年が経過して、ついに生み出されたのが最新のMADONE、第8世代でございます。

 

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素材には最新の「OCLV900」が投入され、前世代よりも強度を20%アップしました。
同じ強度を目指せばそのぶん軽量化にも振れますので、より軽量なフレームも制作できます。
実際に最新のMADONEはEMONDAと同重量を達成し、このことで二つのモデルは1ラインに統合されました。

5年前、2世代前のMADONEと比べると、かなりすっきりとした細身のシェイプになっていることがお分かりになるでしょうか。
これは空気抵抗に対する考え方を大きく改めたため。
旧世代までのMADONEも含め、多くのエアロロードでは、各パイプごとに空気抵抗の低減を狙って形状設計が行われています。
これに対し第8世代のMADONEは、専用設計された「RSL Aeroボトル&ケージシステム」を装着することで、車体全体が一つのフォイルとして振舞うよう設計されているのです。

 

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 ボトルを装着した状態であれば、「45km走行テストでGEN6と比較して60秒ものタイム短縮を実現させている」と謳われる前作「GEN7」と同等の空気抵抗を誇ります。
空力についての考え方を大きく改めたことで、フレームをスリム化しながらも優れた空気抵抗の低減を達成しています。

 

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そして、5年前から大きく変わった部分がシートポスト周辺。
GEN6で採用されていた「ISOSPEED」が取り払われ、代わりに大きな穴が設けられています。
この穴が、新たに採用された構造「ISOFLOW」。
効果的に空気を受け流すことで空気抵抗を低減しつつ、シートチューブやシートステーからくる衝撃がシートチューブに直接伝わらないよう迂回させます。
各チューブの形状が一回り細くなったことと相まって、ISOSPEEDを採用していたころの5年前よりも軽量化しつつ、より高い振動吸収性を発揮するのです。
前世代のGEN7でも採用されていたISOFLOWですが、フレーム形状の改良も相まって垂直方向の振動吸収性は80%もアップ。
複雑な機構なしに快適な乗り心地を実現しています。

また、タイヤのワイド化のトレンドを盛り込み、標準で28C、最大で32Cのタイヤに対応。
GEN6は標準が25C、最大で28Cだったので、タイヤの太さでも速さと快適性をもたらします。 

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専用のエアロハンドルは軽さと剛性を求め、再びハンドルとステムが一体化しました。
フラットハンドル部にはバックスイープが与えられ、乗車時の肩の張り出しを抑えることで人体の空気抵抗も減らします。
また上ハンと下ハンで幅が異なるフレアも設けられ、ダンシングの安定感が要求される下ハンと、空気抵抗を下げて巡行するための上ハンとでフォームを変えて走るためのサポートも行います。

 

 

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TREKが第2世代のMADONEから採用し続けていた「BB90」。
フレームに直接ベアリングを取り付ける規格でしたが、前世代のGEN7から改められ、大径のシェルにねじを切った「T47」に改められています。
精度が確保しやすくなっただけでなく浸水などのトラブルも減り、よりユーザーフレンドリーな規格に変更されたのは好印象ですね。

 空力を維持しながら多方面で軽さを追求した結果、5年前の同グレードと比べ、MADONEはなんと-600gもの軽量化を実現しました。
実際のところ、最近では重量はあまり走行性能に影響を与えないことが分かっています。
それでもゼロ発進や反応性については軽いほど有利なことは事実なので、より汎用性が高まったと言えるでしょう。
実際に上位グレードではMADONEとEMONDAは統合され、平地と山岳を一つのバイクでこなせるようになりました。
試走したスタッフのインプレッションでも、得意領域の拡大は実感できた模様。
高速域の速さに特化した旧モデルに比べ、全速度域で走りの軽快さを味わえる一台になっています。

 

 

 

歴史を通じてだけでなく、5年間でも大きな進化を実感できるALL NEW MADONE。
あなたのバイクを更新する材料は、いまここに揃っています…!

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