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【ロードバイク旅ライドの思い出】続 自走de秋田 その3

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池袋本館】長山 靖 21年10月28日

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こんにちは。池袋本館の長山です。

 

 

これまで発信して参りました2014年9月のロングライド

「自走de秋田」

  その1 その2 その3 その4 その5 その6

 

の続編その3をお届けします。

続その1 続その2

 

本レポートで、健脚自転車・ロードバイクの醍醐味の

一端を少しでもお伝え出来ればと思います。

また、旅に出にくい昨今、このレポートで僅かばかりでも

旅気分を味わっていただけたら幸いです。

 


 

ライド1日目(通算4日目)

2014年10月27日(月) その3

 

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漆黒の闇に包まれた雨降る峠道が続きます。

周囲に明かりは全く無くなり、緊張感が高まります。

ごくたまに車が通り、その瞬間だけ心強くなるのですが、

すぐに雨音だけの闇に戻ります。

去りゆく車よ、待ってくれー!という気持ちが湧いてきます。

 

獣除け&気を紛らわすために

ベルを鳴らしながら走っていましたが、

雨音でかき消されてかなり微妙。

 

 

そこで、久々に歌を歌いながら走りました。

(この時の)10年ほど前、山梨県・闇の夜叉神峠から

単独で下るハメになった時に編み出した知恵です。

ばかみたいに声出して歌っていると、

怖楽しい?変なテンションになるのです。

ただ、今回は降雨があるためテンションは上がりにくい。

しかも先を急ぎめの登坂なため、息が弾んで歌い辛い。

とにかく、淡々と漕ぎ続けるしかない。

 

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なかなか車が通らず心細いと思っていたら、いきなり

対向車が4、5台まとまって通り過ぎ、また静かになりました。

17:34

 

 ふと、時代小説で読んだ、山賊対策で集団になって山越え、

という場面を思い出しました。

 

只今、自転車で絶賛一人漕ぎ中!

まさか、現代に山賊なんて出ないよなぁ、

と思いながら漕ぎました。

 

 

10年前(2004年)にここを通った時、

頂点にはスノーシェッドがあったと記憶していました。

記憶の通りスノーシェッドが現れ、ピークへ登頂!

少しホッとして、峠の下りへ。

 

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が、下りがまた、寒い!!

ゾゾゾ~ッと来ます。

フツーに歌を歌っていたのが、

徐々に〇渕剛調の渋い?歌い方になり、

だんだん歌うのもしんどくなり、

遂には奇声を発してごまかすようになり。

 

「しゃびぃー・・・」(寒い)

「アブ!」(筋肉)

 

・・・等々、呟きながら走ります。

普通に考えたら明らかにキチガイですが、

追い込まれると、なりふりかまっていられなくなるものです。

どーせ誰も見ていないし。

 

 

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 雨の日は、獣はあまり動かない。

 という、もっともなような、根拠の無いような説を

勝手に自分に言い聞かせながら前進。

この阿仁(あに)エリアは、熊、マタギの本場です・・・。

17:42

 

 

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18:00 雨の勢いは衰えを見せず、

表示気温は6℃まで下がってきました。

 

寒い。

 

としか言いようがありません。

 

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来し方を振り返ると、闇。

雨の中、こんなところを走って来たのか・・・。

 

 

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阿仁熊牧場のノボリ。 18:05

(牧場のTOPページだけ見ると、熊かわいい!?)

近くには温泉宿の打当温泉マタギの湯があります。

以前、雪ライドで来た際、お世話になりました。

 

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(2009年1月14日)

 

立派で快適な旅館だと、効率の悪い独り者は断られがち。

でも、すんなり受け入れて泊めてくれて、大変有難いことでした。

また泊まりに来たい。

 

・・・てか、今、泊まりたい!

だってもう18時過ぎですよ、旦那。

この雨と寒さと闇の中で!

 

 

・・・という自らの心の声をぐっと抑え、前進。

 

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愛車は、そんなことにはお構いなく、

水も滴る何とやらで黙々と走ってくれます。

 

 

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18:14 道の駅あにで自販機休憩。

 

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とにかく寒くて寒くて、ホットドリンクを三本飲みました。

それでも寒い。

 

自動音声の自販機から、元気いっぱいな声で

 

「いらっしゃいませ!冷たいお飲み物はいかがですか!?」

 

と言われました。

 

その冗談、寒いよ・・・。

 

 

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ここには、マタギの里らしい木彫りが並びます。

 

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チェーンソーでいろいろ造ってしまうというから凄い!

 

・・・と感心しつつ、休んでいても

体の温もりが復活するわけでは無し。

気を引き締め、再び走り出します。

 

 

 

寒い寒い下り基調、たまの登り返しがあると嬉しくなります。

負荷が掛かって、少しでも身体が温まるからです。

 

 

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普段は嫌いがちなトンネルも、中は少し暖かく、雨宿りにもなります。

トンネルでこんなにホッとするのは珍しい?

19:14

 

 

 

そんな悪戦苦闘を経て、思い入れのある町、阿仁合に到達。

19:30

私の曾祖母と祖父のふるさとです。

 

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かつて銅山で大きく栄えた町も、今は素朴な夜景の中にひっそりと。

トータル4日目の走行で、ここまで轍を刻みました。

 

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自宅から約663km。

じわじわ、感動が湧き上がります。

しかも雨の降りしきる夜7時半、というストイックな状況。

素晴らしい思い出となること間違い無し。

 

この周辺に何箇所か知人がいますが、こんな時に

「峠越えて自転車で来ました!」

なんていきなり訪ねても、オバケの出現みたいで

胆をつぶしそうと思い、ゆっくりの再訪を誓ってパス。

時間的にも厳しいですし。

 

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街の玄関口、阿仁合駅だけちょこっと寄り道。 19:42

 

せっかく来たのに、誰にも会わず

ただ通過する寂しさをかみ締めながら

ふと気配を感じて空を見上げると、

 

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えーーっ!?

 

なんで星空が!?

さっきまでザンザン降りだったのに!?

山の方角では、一瞬雷が光りました。

今いる所だけの晴れ間です。

 

少ししたら、星空はすーっと雲に隠れていきました。

かつてのふるさとの町での、天の粋な計らいでした。

 

 

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阿仁合を出るときには再び冷たい雨が降り出し、もの凄い寒気。

19:58

やばい、いよいよ寒さが鋭くなってきた。

ここから北秋田市の中心、鷹巣に至るまでは山間の道のり。

ここは早く抜けないと、寒い!

ひたすら歌と奇声を交え、テンションを鼓舞しながら突っ走ります。

この奇行、かなり前向きに言い訳すれば

武道の掛け声みたいなモノでしょうか。

 

 

 

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20:17 阿仁前田で、久しぶりのコンビニ。

なんて神々しい明かりなんだ!!

角館エリアを過ぎてから、ずっとコンビニはありませんでした。

 

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ホットドリンクを2本と、

 

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にくまんを2つ。

 

温もりが沁みるぜ!

 

 

 

米内沢(よないざわ)で直角に国道を曲がるところがあるも、

闇で看板を見落とし、違う方向へ数百メートル前進。

危なかった。

 

でも、やたら明かりのついていない里の暗さが、妙に心に響きました。

明るい方が便利なのでしょうが、この暗さは素朴で、

自然に近しい感じがしました。

そんな中にもポツポツと僅かに灯る明かりに

生活感を感じ、グッときます。

 

 

 

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うおっ、また星空!!

20:45

 

口をぽっかり開けて見上げていたら、すぐまた雲隠れしていきました。

ずっと星空が見えているのも良いでしょうが、

ザンザン降りの合間に突然現れるという

レアな展開はシビれます。

 

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晴れている合間に何とか写真を撮りましたが、

正直、寒くて堪りませんでした。

ここまで寒くなかったら、もっといろいろ撮り試ししてみたかったなあ。

 

 

 

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ローカルコンビニ登場、めちゃくちゃ気になる! 21:42

でも、時間(と心)の余裕なくて外の自販機でガマン。

 

このルート、またゆっくり来たいです。

こんなに星が見えるなら、夜も良いな!

雨はしばらくカンベンです!

 

 

 

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寒い、寒い、寒い!

雨粒の落ちる速度が、しばしばフワフワと遅くなります。

雨と雪の境界線です。

この辺り、白神山地が至近。

吹き付ける冷風、雪女の息吹か!と思いました。

 

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そんな時に明るい建物を見ると、

それだけで少し温かい気持ちになります。

22:18

100%、気のせいなんですが!

 

 

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米代(よねしろ)川に架かる橋。 22:21

写真では判りづらいですが、道は背後に向かって登りです。

10年前(2004年)、ここを地元の学生がシティサイクルで

ぐいぐい登っていたのに感心したのを覚えています。

懐かしいなあ・・・。

 

 

 

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22時半で既に消灯していた鷹ノ巣駅で、

やっと大館までたどり着けるという確信が芽生え、

ビジネスホテルに電話。これで今晩の宿はOK!

あとは大館まで20km弱を、走るだけ!

 

 

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国道7号に入り、進路は東へ。

日本海からの風か?

強い西風が吹いていて、追い風。

これは頼もしい!

 

 

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道中、道路にちょくちょく気温計がありましたが、

気温と体感温度は全く別物だと、身に染みてよく分かりました。

数字が高くても寒い時や、数字が低くても少しマシな時など、

いろいろありました。

  

 

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また星空が出た。

雨や曇りベースなのに、時折星空が出るという不思議。

 

 

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それだけ荒れた天気だったのでしょう。

こんな劇的な天気、晴れよりも当たるの難しいんじゃないか!?

実は、物凄くツイていたのかも知れません。

 

 

時刻は23時半を回り、日付変更は近い。

13時半過ぎに角館を出て以降、食べたまともな食料は、

これまでに書いた

ぼだっこおにぎり、学生調理、にくまんx2個。

あとは合間にスナックを少々とホットドリンクのみ。 

 

・・・ハラ減った!!!

でもゴールは近い、我慢、我慢。

 

 

そして、日付を越え・・・

 

 

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2014年10月28日(火) 0:03

遂に、当初の目標地点、大館に到達!!

やった・・・!

 

二回に分けた分、正直ワクワク感は少し落ちましたが、

それを補って余りある、厳しくも劇的な道のりでした。

険しい方が、ゴールした時の感動も大きいものです。

 

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自宅から、サイクルコンピュータ値で約718km。

 

大館は、私の曽祖父の代より以前のふるさと。

 

このシーンには、NHKこころ旅」の、

火野正平さんが到着時によく呟く、優しい語り口の

 

「来たよ」

 

というセリフが、とてもしっくり来ました。

 

 

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先ほど予約したビジネスホテルへ。 0:08

支払いのためにデイバッグから財布を取り出そうとしたら、

バッグ内から冷気がふわりと立ち上がりました。

 

以前、寒空の箱根山中から下った後の温泉受付で

山から下りてきたことを話したら

「お客様から冷気が漂ってきますよ」

と言われ、まさか冗談!と思っていたら、バッグを開けて納得、

本当に冷気が漂っていた、という思い出が蘇りました。

 

 

ホテルの温泉は0時までで終了でしたが、

寒そうな姿を見かねてか

特別に開けてくれると提案して下さいました。

が、悪いし、とにかく腹ペコなので

先ずは食いたい!!

ということで遠慮しました。

 

嗚呼、湯船、入りたかった。

 

でも、その人情は、温かかったです。

 

 

 (当時は)近所でもお馴染みのコンビニ

サンクスで、弁当を2つ獲得。

 

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温度差によるカメラのレンズ結露か?

画像がほんわか曇っていますが・・・、

ただのコンビニ弁当が

物凄いごちそうに見えました

 

0:31 いただきます!!

 

ガツガツばくばく。

 

うまい、うますぎる!

 

後日、東京で同じハンバーグ弁当を見かけた際

この時の感動が蘇り、また買って食べてしまった、

それほどの感動でした

 

 

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デザートにはスギッチまん。

スギッチは、秋田県のマスコットキャラクター(※当時)です。

 

 

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目標コース走破をかみ締めながら、秋田地酒で祝杯。

 

・・・なんですが、緊張からの解放で呆然として、

なかなか飲み進みませんでした。

相当、疲れたようです。

 

 

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でも、ここまで無事に来れて良かった!

おやすみなさい。

 

 

走行距離:146km

獲得標高:1122m

走行時間:6時間57分

 

 

当初定めた川崎~大館コース、四日間の総計

走行距離:718km

獲得標高:4490m

走行時間:32時間38分

平均速度:22km

 

 

その4へつづく

 

CATEYE INOUで取った記録

その2 その3

 

 

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