走るシーンに合わせて軽量モデル/エアロモデルを使い分けみたいな流れがちょっと落ち着き、万能モデル1台で平坦から山岳までカバーするようなケースが増えてきた昨今のレースシーン。
で、トレンド的にもリザルト的にも現在主流なのはポギさんのV4路線。
軽量モデルをベースにエアロ要素を加えるといったアレです。
にもかかわらずSCOTTを使うDSMは、平坦/山岳ステージ問わず空力マシーン然としたカタチのFOILを使っているという。バルデなんて脚質クライマーなのに。
もしかして・・・FOILってただのエアロロードじゃないのでは?
というわけで。
エアロダイナミクスを極めた機能的な形状
SCOTT FOIL RC20 ¥1,045,000-(税込)
〇まずは見た目
デゲンコルプやヤコブセンのようなスプリンター勢が好んで乗るというなら何の問題もないのですが、実際にはバルデやバルギルがこれに乗って超級山岳を飛ぶように登っていくという。
実車を前にしてもそんなイメージが全く湧きません。それくらい山岳ステージで活躍できそうなオーラが出ていない。
〇乗ってみての第一印象
特に重くもないし硬くもない。普通にペダルが回ります。こんな仰々しい見た目なのに。
BB周りのボリュームがスゴいと勝手に思っていましたが、ダウンチューブそのものはかなり薄く作られているので、トータルで考えるとそこまで過度な剛性になっていないのではと足元を見て気付かされました。
だとすると、気になってくるのが加速性能。
本当に登りもいけるのか、試してみたくなる軽快感
〇乗り心地
薄い空力フレームは横には撓むとしても縦にはしならないというイメージが強め。なのに何故か乗り心地も良好。エラストマー内蔵シートポストだけではこのしっとり感は出せないはず。設計時に全体の剛性バランスをしっかりと追い込んでいるのでしょう。
今回はチョイ乗り試乗なので、100kmオーバーのようなロングライドで実際どうかは未確認ですが、路面からのインフォメーションがビシビシきて辛いとか跳ねるという感覚はなかったので、意外とあっさりこなしてしまうのかも。
〇加速性能
ここでやっと見た目と乗り味のイメージが重なります!
硬すぎないBB周りのおかげかダンシング時の振りが軽快でリズムも取りやすい。そんなことを考えていたらあっという間に速度が上がっていました。自慢のエアロ効果でそこから先の速度の維持も余裕ですしスピードの落ちも穏やか。
ここまで扱いやすいと、もしかしてヤワいバイクなのでは?という考えが一瞬頭をよぎりましたが、DSMでは最上級カーボンのHMX SL機ではなくこのRC20と同じHMX機のPROを使っているっぽいので、よっぽどのことがない限りパワー負けすることもないでしょう。
見た目に騙されてはいけない、傑作万能機!
〇総評
DSMの選手達はもしかして大人の事情でFOILに乗っているのでは・・・とちょっと穿った見方をしていたことを謝らなければならなそうです。
実際に乗ってみたら予想を超えたオールラウンダーっぷり。バルデは山岳ステージで勝つためにFOILを選んでいたと言われても納得です。振りの軽さを活かして登りをこなし、エアロ効果が活かせる下りでタイムを稼ぐという戦略は十分アリでしょう。
となると、俄然気になってくるのがADDICTの立ち位置。次期ADICCTが独立したモデルだとすると間違いなくエアロ要素が強化されるはずですが、FOILでこれだけ走れるとなると差別化が大変なのでは・・・と他人事ながら心配になってきます。
そういえば、初代FOILはその路線で高い評価を得ていたような。
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