今年もやって参りました。
ツール・ド・おきなわ市民210km
ホビーレーサーの甲子園。
今大会総参加数はなんと5,000名!!
そしてこの市民210kmには約450名程が参加!
距離210km/獲得標高:約3000m
という国内屈指の難易度に加えて、
記念すべき30回目を迎える今大会の市民210kmの参加メンバーも恐らく過去最高レベルかと思う程に有名人が数多く出場。
優勝候補ロッポンギエクスプレス・前回王者高岡さん、前回2位松木さん、全日本選手権8位の井上さん、山の神・森本さん、バルバ寺崎選手、そして今年のJBCF/E1レースにおいて最も勝率の高い紺野選手、ニセコクラシックを制した岡選手、
チーム新潟・田崎選手、SHIDO中尾さん・・・
ダークホース的な存在として乗鞍を制した中村選手、
ヒルクライムでもお馴染み、練習も何度かご一緒させて頂いた兼松大和選手・・・
毎年ですが、名前を出し始めるときりがないくらいに有名な方々が出場されるのが
この市民210km。当然レベルも高い。
それは、それは・・・大変な削り合いが行われるわけです。
早速レースレポートへ。
前日土曜日に沖縄入りをし、寝たのは23時回っていたかな?
起床は朝5時だったような
シード権があるので、7時前に会場入りできるように時間を過ごす。
大きな大きなアグー豚の前で。原寸大です。(ウソです。)
スタート前にフラ~としていると後ろから声をかけられる。
兼松大和さんだ。
このような大きな大会で知人とお会いできることはいいものです。
スタートは7時27分。
前年の成績が反映されシード権を獲得しているので、
優先的に前列の方に並ぶことができます。
近くには昨年ゴールまでご一緒した河合さんが。
スタート前に少しお話したけど、昨年と同様とびっきり爽やかで男前でした(笑)
少しだけ緊張。
そしてカウントダウンがスタート。
号砲と共に7時27分。
戦いが始まる。
昨年よりも後方でのスタート。
後ろに下がっても(恐らく)上がっていけるという事は昨年で実証済み。
焦らず、落車回避に集中する。
私の沖縄ブログを読んで下さっている方は御存知かもしれませんが、
山岳に入るスタートから70km地点までが
400名オーバーの大集団での高速巡行。
道幅が狭くなったり、中央にコーンがあったり、
色々なレベルの選手が出場していること、その他様々な要因があって
落車が起こります。
それも100%。
それに巻き込まれては脚を使うことにもなるし、
100%の状態で臨めなくなるかもしれない、
最悪骨折、バイク破壊により続行不可能DNFにも成りかねない。
どれだけ注意していても避けることができない時はできません。
まずはそこを抜けることが最初の難関になります。
前との安全マージンを確保しながら、後ろからの突っ込みに恐怖しつつ、
その速度は時に50km/hを超え、
コーナーの度に加減速を繰り返し400名を超える大集団は進んでゆく。
©Makoto.AYANO/cyclowired.jp
公道を完全封鎖し、
道幅いっぱいに400名以上の選手が走る姿はまるでツール。
一度この光景を目にすると感動的ですし、ドキドキしてきます。
途中でワイズロード志木店の田中店長と集団内で遭遇し、軽く言葉を交わす。
山岳地帯に入るまでに私の前方で2回落車発生。
そして、いよいよ山岳に入るという65km程あたりだったでしょうか。
私が外側から上がっていく最中、
斜め左付近で大落車が発生。
速度も乗り始めていたので、惨事になった模様・・・。
後の集団内を走っている時に悟ったことですが、
やはり有力選手も何名か巻き込まれた様子。
スタート前に健闘を誓い合った河合選手も巻き込まれリタイヤを・・・。
(怪我を負われた方の一日も早い復帰を願っております。)
それでも今はレース中。
集団は当然止まらないし、レースはいよいよ最初の山岳・普久川の上りへ。
昨年と同様ペースは速くない。
パワーメーターを見つつ、淡々と上り余裕を持って上ってゆく。。
ただし、後方で上りをクリアするとその後のアップダウンで脚を消耗することになるのである程度の位置でクリアする必要がある。
コーナーリングが不安定な選手が前に何名かいるので
これは早めにパスしておいた方が良さそう。
最初の補給地点ではスポーツボトル一つ補給。
昨年と同様残り人数は非常に多く感じる。
それでもようやく人数が減り、危険はかなり減ったかなと。
二度目の普久川の上りに入るまででおよそ90kmを消化するのだったかな?
まだ勝負所に入るわけでもないので、どれだけ消耗を抑えれるかを考えがら淡々と
だけども最高のコースを堪能しながら進んでゆく。
二回目の普久川の上りも変わらず。
脚にダメージを残さないようにインナーで。
山の神様が先頭にあがり集団を引き始めるが
引きちぎるような強烈なペースではないので問題なく。
その後のアップダウンも無難にクリア。
補給地点を通過。
真横にはヤマトさんがいる。
とりあえず、持っている水の余りをヤマトさんにもバシャバシャとかけまくる。
「もっとかけて~」
余裕ありますねw
ちょっとした和みの時間。
そのすぐ後に下りへと突入!
ここは攻めておかないといけない下りだ。
快調に飛ばしていると・・・
前方の選手の、
ボトルが転がってくるではありませんか。
しかも、
モロに私の進路上に。
What's ?
速度は恐らく80km/h近く出ている。
これはオワタかも・・・。
南無三!
グワッシュ。
予想通り前輪が高速でボトルを捕らえフロントが斜めになりながら
宙に浮く。
転倒を覚悟したが、若干着地の際にバランスを崩したのみでクリア!!!
うおー!!
コワカッターー!!
本気でレース終わったかと思ったどーーーー(´;ω;`)!!
二度目の普久川の上りを越えた先頭グループは加速していき、
直ぐに“セレクション”のかかる学校坂へ。
毎年ここで集団がある程度減る。
私も2016年に消えていった経験があります。
セレクションがかかると言うだけのことはあり2km程の上りペースが上がる。
パッとしかパワーメーターを見ていないが、体重比6倍は出ていたハズ。
苦しいけれど、脱落するほどのレベルではない。
今年は去年よりも上にいきたい。いくんだ。
頂上が見えるまで安堵はできないが、今年もまずはここをクリア。
勝負はここからだと気持ちを切りかえる。
©Makoto.AYANO/cyclowired.jp
オレンジバーテープ目立つでしょう?
そして、程なくして事件は起きる・・・。
残り距離50km?60km?くらいだったでしょうか。
集団から少し外側の離れた位置から集団のメンバーを確認しようしとしていた矢先に
集団内で落車が起こる。
数名が巻き込まれたようだが、先頭集団25名くらい?は止まらない。
しかも慌ただしく加速し始めている。
チラっと落車時に見えたのは青のジャージと赤青のジャージ、そして黒のジャージ。
一気に速度が上がり高い強度でのローテーションが回り始める。
落車した中に優勝候補3名が入っていたのだ。
3連覇中の高岡さん、最強のフィジカルをもつ井上さん、
山の神・森本さん。
もの凄く調子がよいことをアピールし、集団内でも飛び出したりと動き回っている
紺野選手が声をかけローテーションがグルグルと回りだす。
これでいいのか・・・?
この展開での順位に意味がるのか?
と思ったのだが、
私は『昨年を超える為にここにいる。』(←勝つではアリマセン。)
今年は結果を優先すると決めていたのだ。止まれない。
©Makoto.AYANO/cyclowired.jp
チェック選手は昨年2位の松木さん、7位の清宮さん、ニセコを制した岡選手。
なるしま小畑さん。バルバの寺崎さん。
寺崎さんは昨年までと違い明らかに長距離耐性を付けてこられているように感じた。
チーム新潟の田崎さん、バンさんも調子は良さそう。
そして紺野選手。
明らかに好調で集団内の常に先頭におり、レースを作り始めている。
後ろとの差は“1分”と告げられる。
高岡さん、井上さん、森本さんが協調して本気で踏めば
この集団への復帰もあり得るんじゃないかと思いはしたのだが、
この集団の速度も相当速く、このまま行けば恐らく復帰は無理だと思えた。
私は先の事を考えていた。
私より走力が上の選手は何名もいたとは思いますが、
この後の展開を考えれる程にまだ余力は残っていた。
“これはひょっとしたシングルが見えてくるのではないか。”
そんな甘いというか、後先のことを考えていた残り45km?付近。
最後の補給ポイントのある“慶佐次”前の平坦中に
メカトラ発生。
クランクが回らない!?!?
クランクに目をやるとチェーンが外側に飛び出している。
しかもなぜかチェーンが一周円を描いてだ。
ウソやん。
思わず二度見する・・・。
ウソやんw
フロントディレーラーの動きだけでは絶対戻らんやつやん。
練習中も、これまでも一回とて
こんな奇跡起こったことないのになぜこの場面で(;_:)
私の顔はさぞ悲壮感に溢れていたことでしょう(;_:)
もはやバイクを降りて戻すしかない。
(後日バイクを点検してみるとチェーンのリンクが十数cmにわたり捻じれている箇所がありました。レース前の整備段階ではなかったのことなので、レース中の変な負荷、変なタイミングでの変速によって捻じれてしまったのだと思います。そこがアウターとFメカの隙間をすり抜けていったのでしょう。機材は何も悪くなく使い手の問題だったということです(-_-;))
急ブレーキをかけ、路肩に停車しチェーンを戻す。
が、直ぐには戻らない。
焦る。焦る。焦る。
追いつける。
まだ追いつける。
という願望。
再スタートを切る。
全力だ。
コーナーを曲がり慶佐次の上りに入る。
前方に・・・・
集団の姿はなかった。
せめて上ってる途中でのメカトラならば・・・
集団復帰の可能性も考えれらたのだが・・・
平地で速度が乗っていた状態からの上り。
もはや見えない集団。
あのまま加速を続けているのだからもはや復帰は不可能。
不可能・・・。
なんだそれ?
沖縄に向けて1年やってきて、出力も過去最高に仕上がった。
さぁこれからというところで・・・。
これで終わりかよ・・・と。
心が折れそうになる。
だけど、
結果が望めないことを理解した上で全力をかけて上った。
お店のスタッフがSNSで応援してくれた際に
【出場させてもらえることに感謝して例え何があっても諦めずに最後まで頑張るわ(^-^)】
って返事したんだった。
(こんなことが起こると予見していたわけじゃないけど、まさかですよねぇ・・・。)
上り切り、踏み続ける。
とにかく最後まで。最後まで。
後ろを見ても追走はいない。
やはり高岡さんたちとは相当な差が開いていたようだ。
残り45kmをただひたすらに独りでいく・・・。
長いな・・・。
今思えば頭では理解していたけど、気持ちの面で上り切れば集団が見えるかも・・・
みたいな甘い希望を持っていたに違いない。
だからオールアウトするんじゃないかという勢いで踏んでいたのだと思う。
途中で落ちてきた2名と走るが何個目かの上りで離れていった。
後ろをみると
赤いヘルメットが坂の途中で目に入る。
・・・。
高岡さんきたよ・・・。
しかも一人だよ・・・。
やっぱり化け物です。
とても背骨折っているとは思えない。
私の頭の中には
映画ジョーズの音楽が流れておりました。
そして程なくして追いつかれる。
上りで下ハンダンシングをしていらっしゃる。
しかもギアが私より2,3枚重い。
まじか。この人は本物だ(^-^;
その後、付き切れする私。
間違いなく先頭集団に追いつきたいと全力で上った箇所のツケがきました。
いや、そんなことは言い訳で圧倒的に地脚が違う。
高岡さんに千切られてからはただひたすらに独り。
去年、勝負所となる羽地ダムへの上りと続く最後の平坦区間で
ロマンを求めて飛び出していった区間を通過。
色々な思いが頭の中を流れていくが今はひたすらにゴールを目指すのみ。
誰一人として落ちてこない。
前には25名程がいるということか。
最後の羽地を上る。
今年は脚が攣っていない。淡々といく。