バイオレーサーの中の人です。
ここ1~2年流行している
ショートサドル
↑写真はプロロゴのディメンション
当社で取扱いできない(-"-)ス○シャライズドのP○WERサドルが先鞭をつけて、SHIMANO PROやPROLOGOなどのフォロワーが登場してきたジャンルです。
形状・スペック的な特徴は、
全長が短い
(前側がノーマルサドルよりも30mm程度短い)
後部の幅が比較的広め
(プロロゴのディメンションTIROXで143mm)
短いので軽い
(同、TIROXで179g、カーボンレールのNACKで実測159g)
モデルによっても異なりますがおおよそこういった特徴を備えています。
流行ってますし、調子いいというインプレも多いので使ってみようかな、という方も多いと思います。
その前に。
ショートサドルがご自身に合うかどうかしっかり考察されましたか?
ショートサドルの特徴や合う合わないを理解していますか?
そもそも前乗りがどんなものかご存知ですか?
一番基本的なこういった情報が世の中にほとんど無いな、と思いおせっかいにもまとめてみました。
個人的にも3か月使ってみてショートサドルについて理論と実践両面で理解を深めましたので。
【ショートサドルの導入基準】
どんな人にショートサドルが必要か?
これを一言で言うと、
前乗りしたいかどうか?
(前乗りが必要かどうか?)
です。
まあ当たり前と言えば当たり前ですが(^^;
最も分かりやすい前乗りのイメージはこんな感じですよね↓
TTバイクのDHポジション。
今回取り扱うのはこれではなくて「ロードバイクの前乗り」についてです。
TTほど極端に前乗りはしないけど、従来の伝統的ロードポジションとは異なる乗り方です。
流行ってるとか、軽いとか、かっこいいとかは二の次です。
ましてや「人がイイと言ってる」とかでもない。
人に合うからと言って、自分にも合うとは限らないですからね。
たぶん「イイ」と言っている人は「前乗りが必要」かつ「ショートサドルが必要」な人だったはずです。(その自覚があったかどうかは別として)
ややこしいですが
「前乗りが必要」と「ショートサドルが必要」
は必ずしも一致しません。
じゃあ、どんな人に前乗りが必要なのか?
どんな人にショートサドルが必要なのか?
前乗りの特徴とは何なのか?
という核心の話の前に、ここでの「前乗り」という言葉の定義をはっきりさせておきましょう。
【そもそも前乗りとは何か?】
どこかに堅苦しく決められた文言がある訳ではありませんが...
一般的には、
BBに対する“ニュートラル”な着座位置よりも前に着座すること
と理解され、浸透していると思います。
では「BBに対する“ニュートラル”な着座位置」って何?って話ですが...
これは「KOPS」という伝統的な着座位置を言います。
KOPSとは、Knee Over Pedal Spindleの略で、
「クランク3時位置で膝(の皿の裏)をペダル軸の垂直線上に位置させる」
ポジションのことです。
↑よく入門書に出てくるコレです。
好みや、乗り方の振れ幅を考慮しない、スタート位置の着座位置です。最大公約数的な着座位置とも言えますね。
バイオレーサー5000の着座位置調整も(特に希望が無ければ)ここを基準にしています。
この「ニュートラルな乗車位置」よりも前に着座するのが「前乗り」です。
前乗りは「BBに対して」「体が」「ニュートラル時(KOPS)よりも前にあるか」どうかが基準なので、サドルの位置がどこにあるか?は原則関係ありません。
(結果として体をサポートするためにサドルが前寄りになります)
前乗りには以下の2つのパターンがあります。
①ニュートラルなKOPSでセッティングされたサドル上で前の方に着座する方法
⇒ちょこん型前乗り
②サドルに深く着座してもKOPS位置より前に膝が位置するようサドルをセッティングする方法
⇒しっかり型前乗り
さて、前乗りとは何か?とその種類が分かって頂けたと思うので、核心に迫ってゆきましょう。どんな人に「前乗りが必要」なのでしょうか?
【どんな人に前乗りが必要か?】
簡潔にお答えしましょう。
登りや平坦の巡行が多い
中~高強度の運動比率が高い
上死点からしっかりとペダルに体重を掛けたい
ご自身に上記のような「ニーズ」があれば、前乗りがマッチするかもしれません。ニュートラル位置よりも(適度に)前寄りに着座することで、ペダルに対して体重を乗せやすくなります。
すると、登りや平坦での中~高強度の運動時に加えた力と体重が有効にトルクに活かされます。また、踏み込み中の「足首」の余計な角度変化が減らせるので身体的な負担も減り、動きが効率化されます。
逆に運動強度が低く、速度域も低く、登りもあまり行かず平坦巡行もガツガツ行かないなら必要のない乗り方です。簡単に言うと「ゆるポタには前乗りは不要」ということですね。
また、重心が前寄りになるのでバイクコントロールがシビアになりますし、肩・腕・手への荷重も増え、体幹で上半身を支える度合いが増えます。下りのバイクコントロールに習熟していない方や、体の使い方が適切でない方、筋力が弱い方にはお薦めできません。
比較的ガチ度高めの乗り方と言えるでしょう。
同じような強度・ケイデンスでの登坂時のペダリングをKOPSニュートラルと前乗りとで比較してみましょう。
【KOPSニュートラル】
【前乗り】
ここでは図の左下、ペダリングベクトルの違いに注目してください。
前乗りの方がベクトルが全体的に「真下」を向いているのが分かります。どちらも2~3時のベクトルはほぼ同じ向きを向いていますが、その前後のベクトルが大幅に違います。
前乗りは1時の漕ぎ出しで力をあまり使わず、効率的な2~4時の位置に力を集中できています。また、4時のベクトルは明らかに前乗りの方が接線方向に沿っています。力を使うべき箇所に集中できていると言えるでしょう。
ペダリング効率はほぼ同じですが、体感的な体の動作の楽さは全く異なります。前乗りの方が足首の余計なモーションが少ないので体感的に断然楽です。より踵が下がりにくいペダリングが出来ています。
※足首の動きの効率性はサドル高にも影響されます
【どんな人にショートサドルが必要か?】
こちらも簡潔にお答えしましょう。
前提として上記した「前乗りが必要な人」な上で、
ノーマルサドルでの「ちょこん型前乗り」が不快な人
(不快=痛い、骨盤をしっかり支えられない)
UCI規則※が適用されるレースに出るけど前乗りしたくて、かつノーマルサドルでの「ちょこん型前乗り」が不快な人
※UCI規則でサドルの先端はBBよりマイナス50mm、というのがある(身体特徴による適用除外あり)
逆にここに当てはまらなければショートサドルは必要ありません。ショートサドルが必要ないのは、
ノーマルサドルで「ちょこん型前乗り」しても不快感が無い
(痛くないし骨盤も安定する)
ノーマルサドルに「ちょこん型前乗り」すると不快だが「しっかり型前乗り」なら快適で、なおかつUCI規則が適用されるレースに出ない
というケースです。
前者ならUCI規則適用レースに出ようが出まいが関係ありません。今のサドルとサドル位置で思う存分前乗りしてください。
後者なら「しっかり型前乗り」ができるようにサドルをニュートラルよりも前にセッティングしましょう。座骨をサドルの真ん中~後方の広い面で「しっかり」支えられます。
↓後者のセッティング例
(松山店の関さん。ヒルクライムレースでシングル順位に入る実力の持ち主)
↑
ただしこのセッティング、当然ながら
「UCI規則適用のレース原則不可」
さらにUCI規則が関係ない人でも
「ダンシング・シッティングの切り替えで
レーパンが引っ掛かりやすい」
という欠点があります。
そうした欠点を克服するべく誕生したのが実はショートサドルなのです。もう一度前掲の図を出してみましょう。
上の関さんバイクのセッティング(しっかり型前乗り)のまま、サドルの先端を数センチカットすればUCI規則もクリアできるし、レーパンも引っ掛かりにくくなる「ショートサドル前乗り」になります。
そして「しっかり型前乗り」の「座骨をサドルの真ん中~後方の広い面でしっかり支える」というメリットも享受できます。
ワイドな中間~後部の幅で、前乗りしつつも座骨をしっかりサポートできる
さらにフラットで先端まで溝のある形状により前ちょこん乗りでも骨盤が安定する
(前部の幅に関してはPROのステルスの方が顕著に広い設計)
これがショートサドルが
「前乗りポジションに最適化されたサドル」
と言われるゆえんです。
ポジションの前乗り化という時代の要請が生んだ今時なサドルな訳ですね。ショートサドルは「しっかり型前乗り」に伴う様々なデメリットを回避しながら前乗りできるのがメリットなのです。
いかがでしょうか?
前乗りとは何か?
どんな人に前乗りが必要か?
どんな人にショートサドルが必要か?
「前乗りが必要」と「ショートサドルが必要」は必ずしも一致しない。
といったことがお分かり頂けたでしょうか。
分からなかったら私の文才が無いということで...(-_-)
【セッティングのポイント】
今までの説明を理解していればあり得ないことですが...
残念なNGセッティングは、ショートサドルなのに通常のKOPS基準でポジション合わせをしてしまうこと。
このセッティング、意味が無いとは言いませんが...急坂でちょこん型前乗りができないただの不便なサドルになってしまうのでお薦めできません。KOPS基準で合わせたら、それはそもそも前乗りじゃないので前乗り用のショートサドルは不要ですよね(^^;
次に前乗りセッティングする上で大事なのが、サドル上面の角度。
特に前半1/3~前半半分にかけての角度。
一般的にはここを水平、もしくは前下がりにセッティングするのがポイント。恐らく前乗りする方は前傾姿勢が深い、サドル~ハンドルの落差が大きい方が多いでしょうから会陰部の圧力を逃がすためにこの角度にします。
どの程度の角度にするかは、
「骨盤の収まりが良くて」
「股の不快感が一番少ない」
状態を水平からスタートしてトライ&エラーで探ってみてください。サドル全体としては割と前下がりな見た目に映るかと思います。
【ペダリングのポイント】
先ほどのペダリングモニターでの解析の通り、前乗りは上死点からクランク3時位置に向けて真下方向に踏み込む動作がしやすくなります。
主観的な表現ですが「踏み込みがスカーンとクリアーにできてトルクが増す」感覚です(分かりづらいか...)。
その反面、ペダリングの基本的なスキルが身に付いていないと下死点まで踏み込み過ぎてしまい、トルクにならない無駄な踏力を使いかねません。上死点から早め早めに踏んでクランクが4時位置を過ぎたら速やかに脱力する、という基本のペダリングを前乗りでも徹底しましょう。
また、前乗りは体重を乗せての踏み込みがしやすいので前腿の筋群に頼ったペダリングをしがちですが、臀筋群・ハムストリングスという後腿の筋群も使うバランスの取れた筋肉の使い方が、ノーマルセッティングに増して必要です。前腿の筋群は持久力が無いのでこれに頼るとすぐに売り切れてしまいます。
踏みのストローク終盤に力を掛かる膝主導ペダリングではなく、ストローク前半の動きを主とする骨盤主導の大きなペダリングを心掛けましょう。
私個人はプロロゴのディメンションを8月から使っています。
元々ノーマルサドルで「前ちょこん型前乗り」から始めて「しっかり型前乗り」に移行したという前乗り経歴で、前乗り歴自体は長いです。
3か月使ってみての感想は、元から前乗りしていたので劇的な変化はなし(すみません...)。
ただしノーマルサドルからの移行なので、ダンシング・シッティングの切り替えでレーパンが引っ掛かりにくくなりストレスが減りましたし、骨盤の座りも良くなりました。
もちろん、登坂時・平坦巡行時に上死点から3時のポイントに向けてクランクを真っすぐ踏み込める、という前乗りのメリットはばっちり享受しています。座骨をしっかりサポートされた状態でこの踏み込みを出来るので、ペダリングが効率的で快適です。
自分、ちょこん型前乗りだと長距離を乗るとオマタが痛く痺れてしまい、さらには鼠径部に出来物ができてしまうタチだったのですが、「しっかり型前乗り」+「ショートサドル」の組み合わせなら(全く痛くないとか大げさなことは書きませんが)非常に快適です。
当社のスタッフでもショートサドル使用中のスタッフがいますので以下ご参考までに。
【インプレ】プロロゴのショートノーズサドル「ディメンション」ってどうなの??
【StaffBike】サーベロ S3ディスク
(ブログの中ほどにPRO ステルスについて書かれています)
以上、この記事で皆さんのショートサドル選びと、前乗りへの理解が深まれば幸いです。
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